FEEL ambivalence

毎日、いろんなことを思います。
両極端な感じで。

両面価値。
同一対象に対する愛憎共存。

『容疑者 室井慎次』 ※ネタバレ注意!

2005-09-01 20:36:55 | 映画
見てまいりました。
秋田出身ということも相まって、『踊る』シリーズ放映当初から大ファンの室井さん主演映画。

全体を通して思うことは、現代の縮図。
今だ消えぬ階層社会と、価値観の相違による現代人の混乱。

まぁ、難しい話はさておき。

室井さん、カッコよすぎです。
手錠はめられてても、ノータイで無精ひげでも。
サイコー☆

今回の脚本・監督は君塚良一さん。踊るシリーズの脚本を手がけ、さらには、『Team』という社会派ドラマも手がけている。どうしてもぼくのイメージだとソレが本当に君塚さんの描きたいような気がして。だから、映画の公開前から、きっとテーマは重く、そして、簡単に解決できるような問題は提起しないだろうと思ってた。

作品中に色濃く漂うのは、重厚さ。音楽の松本晃彦さんも、「とにかく打ち込み(音楽)を減らした」と何かで言われていたような。生の音だから表現できること。室井さんのテーマ『G-Groove』もアンプラグドで流れてた。感じるのは権力を失ったことによる身軽さと不安定さ。壮大な演奏の影に室井さんのテーマが見え隠れする『THE SUSPECT』(CMで流れてるあの曲)。悲壮な室井さんのテーマが背後に飲み込まれるように消えていく。まさに、今回の映画を象徴するような楽曲。音楽、やっぱりいい。

で、作品に戻るけれど。
今までの踊るシリーズでは描かれなかった、本庁と警察庁のみなさん総出演!
これは、見てて楽しかった。島津さんが、一倉さんが。てか、監察官の人も公安部さんも。懐かしいなぁ。

結局、誰もが権力争いというか、派閥争いというか。とにかく子供じみた争いに身を投じていた。そして、それらから距離を置く新城と沖田。新城は、自分の信念がやはり存在し、沖田は室井さんに借りを返そうと奔走する。

価値観のすっかりずれてしまった娘を守るためになんでもする、という父親の狂った価値観。権力に対して異常なほどに抵抗する灰島弁護士。両者の影に本庁と警察庁の権力争い。

挙句、価値観のずれたお嬢さんがとどめを刺す。

まさに、これは現代の縮図。

ただ、救われるシーンが2つ。

一つは、拘置された室井さんの下に面会人が訪れるシーン。もーね、サイコーです。スリーアミーゴス。泣いちゃいましたよ。ぼくは。そして、はっとするほど綺麗になった沖田管理官。いやぁ、やりすぎ?(笑)
もう一つは、室井さんが新宿北署で檄を飛ばすシーン。走り出す現場の刑事達。こういうのに弱いのだ、ぼくは。

現実的ではないかもしれないけれど、信じたくなるし、感動する。だって、そこに存在するのは、無条件の信頼感だから。


今作で描かれている、階層社会、または、格差が激しい社会。そして、ありとあらゆる価値観があるゆえの、理解できない混乱。

この映画は深い。深いぞ。いくらでも深読みできそう。

この映画は『踊る』から打ち出された究極の社会派映画だと思う。見た人それぞれが全く違うことを感じるだろう。それでいい。ぼくは、室井さんの独白に涙し、厚い信頼に涙し、新城と沖田に光を見た。そして彼女の価値観の違いに嫌悪を覚え、身が引き締まる思いがした。

室井さんが大好きのぼくとしては、満点の評価だけれど。
ちょっと醒めて見ちゃうと、君塚さんの自己満足?とも思えなくもない。
あれもコレもと主題を詰め込みすぎ、どれもが中途半端に。「本広組」のつくる映画じゃないとこうも違うのか、と驚くよりも納得する。
室井さんが大好きな人は大丈夫だけれど。普通に続き物を見に行くような気分だと落胆しそう。

と、言うわけで。
今回の評価は
★★★★☆(星4つ!)


あっ!

パンフ買うの忘れた!!
こりゃ、もう一回行かないとなぁ。

年末の『警視庁捜査一課 木島丈一郎』も楽しみですなぁ。
[踊るニュース]「警視庁捜査一課 木島丈一郎」制作決定!