日本の文化は明治維新(1868)でかなり殺されてしまい、旧制の中学高校では、ほとんど古典軽視の方向に進んでしまった。
島崎藤村の『夜明け前』は主人公青山半蔵が国学を学び国学にて身を立てるべく生涯を国学に費やした。時は幕末ペリー来航から明治維新に至る頃合いである。
当時、国学は衰退の一途を辿り、世を挙げて洋学志向の時代になっていく。優秀な人々は帝大から海外留学を果たし、あらゆる面の学問芸術は洋学一辺倒になっていた。世に、「和魂洋才」という言葉があるが、「洋魂洋才」を目指していたのである。
「大和心を人問はば、……」
「そんなの関係ねぇ~」の、世の中に至っていたのである。
『夜明け前』は日本文学の中でも、傑出した文学であると言える。
夏目漱石は『破戒』を読んで驚倒したのである。もし『夜明け前』を読んだら即死したかもしれない。文壇で藤村は嫌われ者であった。出版社からも本を出さずに自費出版で儲けるなど、とかく孤立しやすい性格の持ち主であった。姪っ子に手を付け子どもを生ませ、そして創作のために子どもを餓死させる。いわゆる芥川龍之介が描いた『地獄変』の絵師のような人間である。藤村はそのことを『新生』に現している。これを読んだ志賀直哉はかなり立腹したが、それでも創作のためなら自分もそうするだろうと告白している。鬼神と共に生きる修羅の世界が芸術家の生きる場所である。
国学が世に受け入れられ出したのは、評論家小林秀雄や作家石川淳などが本居宣長や荻生徂徠などを世に問うたからである。江戸期の思想家が表舞台に出てきたが、その当時のインテリは挙って国学を繙こうとした。しかし、それもつかの間、今では書店にもほとんど並んでいない有様である。
国学は置くとしても、古典文学は万葉・源氏・吾妻鏡・義経記・太平記・短歌・俳句とサークルなどが沢山出来、大人のドリルなどでも人気を博している。
ただし、口語辞書を駆使して読むと言うよりは和文翻訳を用いての読書である。
それでも長文は中々判読しがたいという場合に役に立つのが古典漫画である。
あるいは岩波の少年文庫で読むのもよい。
杉浦明平の名訳である。
子供が生まれてくる。赤ん坊が生まれてくる。
その赤ん坊はすでに何をやるかどういう人生をたどるかは、はたして決まっているのであろうか?
島崎藤村の『夜明け前』は主人公青山半蔵が国学を学び国学にて身を立てるべく生涯を国学に費やした。時は幕末ペリー来航から明治維新に至る頃合いである。
当時、国学は衰退の一途を辿り、世を挙げて洋学志向の時代になっていく。優秀な人々は帝大から海外留学を果たし、あらゆる面の学問芸術は洋学一辺倒になっていた。世に、「和魂洋才」という言葉があるが、「洋魂洋才」を目指していたのである。
「大和心を人問はば、……」
「そんなの関係ねぇ~」の、世の中に至っていたのである。
『夜明け前』は日本文学の中でも、傑出した文学であると言える。
夏目漱石は『破戒』を読んで驚倒したのである。もし『夜明け前』を読んだら即死したかもしれない。文壇で藤村は嫌われ者であった。出版社からも本を出さずに自費出版で儲けるなど、とかく孤立しやすい性格の持ち主であった。姪っ子に手を付け子どもを生ませ、そして創作のために子どもを餓死させる。いわゆる芥川龍之介が描いた『地獄変』の絵師のような人間である。藤村はそのことを『新生』に現している。これを読んだ志賀直哉はかなり立腹したが、それでも創作のためなら自分もそうするだろうと告白している。鬼神と共に生きる修羅の世界が芸術家の生きる場所である。
国学が世に受け入れられ出したのは、評論家小林秀雄や作家石川淳などが本居宣長や荻生徂徠などを世に問うたからである。江戸期の思想家が表舞台に出てきたが、その当時のインテリは挙って国学を繙こうとした。しかし、それもつかの間、今では書店にもほとんど並んでいない有様である。
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杉浦明平の名訳である。
子供が生まれてくる。赤ん坊が生まれてくる。
その赤ん坊はすでに何をやるかどういう人生をたどるかは、はたして決まっているのであろうか?