初期の新型インフルエンザの対応を見ると、感染者は隔離対策を取った国としては、日本・中国・韓国・台湾・香港などアジア方面が多かった。
特に、中国では10日あまりのホテル監禁。
大変な騒ぎになったのはSARSでの経験からである。
もし、感染してバタバタ死亡者がでるようなら、医者たち医療関係者も逃げ出すことになる。
実際香港や台湾の医者が逃亡。
今、新型インフルエンザワクチンの接種希望医療関係者が最初の予想をはるかに超えて希望者が殺到している。
感染者の死亡が拡大し感染速度が速まると、患者の保護対策がおろそかになり、患者や人間の尊厳などは向こう回しに、厄病神扱いにされ、感染そのものを校評することは危険な状態になってしまう。
こと人間社会は利害関係で動くのであり、たとえ家族と言えども守られるかどうか、その辺のところは実際に起こった段階で異なってしまう。
社会犯罪で殺人を何人も行った場合は普段どんな善良な人間であろうとも殺人鬼の名を着せられてしまう。
そうした場合家族はどういう対応を取るか、結構、高学歴の家庭ほど冷やかになるという。
つまり学歴社会とは他人との差別化である。特に日本などは他人と異なる高い地位に位置すれば他人は奴隷と考えられる場合が多い。一見日本社会はヨーロッパなどよりも差別は緩やかに考えられているが、そうではない。
中世からの比較論でヨーロッパと日本とを比べても、城の概念が全く異なる。
ヨーロッパでは城郭の中に庶民を囲うように住むが、日本では庶民は城郭の外に住む。
人口が増えた江戸時代でも明治までは武家屋敷と町民はまったく異なる地域に住まわされていた。
このように庶民を見下す態度は親会社と下請けとの関係によくあらわれている。
肝炎被害者は他人に別段被害を与えるものでない。それゆえに同情が起こる。
しかし、今でもらい病患者は誤解の最中にいる。黒川温泉のらい病患者拒否でホテルがつぶれるまでに問題が肥大化したが、らい病患者の感染はあまり気にならなかった。感染するという風評があったときから気にならなかったのである。
インドの聖なる地ベナレス(ヒンズー教=バナラシ仏教=ブッダガヤ)へ行くとらい病患者が沢山物乞いにくる。鼻はちぎれ、瞼は溶け、手足もない。まっ黒になった白い包帯を身体中に巻いている。昔見た、ミイラ男の番組さながらである。
日本人観光客は彼らが近づいてくると逃げ出す。私は持っている金をいくらか御普請させていただいた。気持ちの根底にはフロベールの『三人つの物語』が影響していると思う。文学とは偉大である。
しかし、この新型インフルエンザは感染の確率は高い。強毒なモノへの変異の可能性もある。
そうなるとわが身が可愛いという、人間の自然本能が矛先を表し、理性と言うものが顔をひっこめるであろう。
今、一番悩んでいるのは医療従事者である。
病院に並んでいる患者の顔にモザイクを張らないTV局は、34歳の殺人が疑われる女の顔を保護しているのは間違いである。
注意一生感染1秒?
日刊スポーツ
新型インフル、中国本土で初の感染者
中国衛生省は11日、米国から四川省に帰国し、中国本土で初めて新型インフルエンザ感染が疑われた男性(30)の感染が確認されたと発表した。男性の容体は安定しているという。衛生当局は、同じ国内便に搭乗していた乗客乗員ら140人以上を隔離観察して感染の有無などを調べている。中国メディアが同日伝えた。
中国では2003年に新型肺炎(SARS)が大流行した際、初動の対応が遅れて感染が急速に拡大した経緯があり、今回は空港での検疫強化など水際対策を一段と強める方針だ。
隔離観察の対象となったのは国内便に同乗していた乗客130人と乗員10人のほか、感染が確認された男性の家族ら。男性と同じノースウエスト航空29便で成田から北京に来た乗客も144人(うち外国人75人)いた。
北京市衛生局は11日、市内でノースウエスト機の乗客ら62人を隔離観察していると明らかにしたが、男性と同じ国内便に搭乗し、その後北京に戻った乗客乗員も含まれている可能性があるという。
中国衛生省の発表によると、感染が確認された男性は米国の大学に留学中で、7日に米セントルイスを出発。翌日、成田空港から北京に向かい、9日、四川省成都に到着した。
中国の入管当局の統計によると、2008年の中国の出入国者(香港、台湾、マカオとの往来を含む)は延べ3億5000万人で、1日平均96万人。ただ、香港では1日、上海経由で上陸したメキシコ人男性がアジア初の感染者と確認された。移動を完全には把握しきれない乗り継ぎ客を含めた水際対策は容易ではない。(共同)
[2009年5月11日15時10分]