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『千年前の人類を襲った大温暖化:文明を崩壊させた気候大変動』

ブライアン・フェイガン、2008、『千年前の人類を襲った大温暖化:文明を崩壊させた気候大変動』

先ごろは、日本の九州など各地で洪水が起きた。梅雨の末期の豪雨によるわけだが、最近のこうした気候変動は温暖化によるとの解説が目に付く。しかし、グローバルに見るとアメリカ中西部から東部にかけて、また、東アフリカら中央アフリカ、西アフリカでは干ばつである。今年は、エルニーニョ/ラニャーニャ(南方振動)が起きているという。

本書は、中世(BC1000-1300)における温暖化が地球規模で何が起こったかについて詳しく述べられているのだが、ポイントは、温暖化=湿潤化ではないということである。温暖化=氷床後退+海水面上昇=液相の水の増加、すなわち湿潤化と連想が働きがちだが、湿潤化により環境的メリットが生まれる地域が生まれる場所ができる一方、干ばつによって文明崩壊がおこる(食糧難になるだけでなく、疫病が蔓延する)ことを強調している。被害を受けたところで犠牲になる人々の多くは記録を残さない貧しい人々であって、記録を残す人々の受ける被害はさほどではなく、干ばつによる文明崩壊は記録に残りにくいという。

気候変動のメカニズムとしては、エルニーニョ/ラニャーニャ(南方振動)仮説であったとしても、人類は気候を管理できない。しかし、洪水や干ばつにおける被害をゼロにすることは難しいとしても、可能な限り被害を少なくすることは、政治や経済、国際関係の運営いかんによっては、できる可能性がある。グローバルな視点にたって、気候変動(温暖化にせよ、寒冷化にせよ)に対処する手段を見出すことが必要なのだが・・・。

千年前の人類を襲った大温暖化:文明を崩壊させた気候大変動
ブライアン・フェイガン
河出書房新社

2012-07-22 15:17:40 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


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