11年近く前の2010年の夏、北海道旭川市を訪れたときに、俳人西川徹郎の「西川徹郎文學館」を訪れた。しかし難しい俳句との印象で、気にはなったが、そのままにしていた。名前は忘れずにいたし、いつか句集を読みたいという欲求は継続していた。
11年前に「文學館」で印象に残った句をこのブログに書き留めてある。
★緑青の卵管見える金閣寺
★夜毎慟哭蛍は沖へ出でて帰らず
★蓮池で金襴濯ぐ秋の寺
私にも少し理解できたように思えた句も、今ではかえってわかっていなかったと思える。
本日、たまたま神奈川大学の生協の書籍売り場で、「銀河の光 修羅の闇 西川徹郎の俳句宇宙」(小林幸吉、西川徹郎文學館新書)が目に入った。著者の小林幸吉氏が神大の事務局長で「神奈川大学評論」の編集委員であることから書籍売り場に置いてあった。
2200円が割引で1980円もしたが迷わず購入。この本は2010年10月発行なので私が旭川を訪れた時には刊行直前だったようだ。
理解できずともとても気になっていた西川徹郎の俳句の理解の助けになればありがたい。 「眼の神殿」と並行して読むことにした。
キャンパスから歩いて15分ほどの喫茶店にて、序章と第1章を読んだ。小林幸吉氏による文章は宮沢賢治の諸作品と埴谷雄高の死霊と西川徹郎の句の世界が、詩を読むように行きつ戻りつ、跳躍しつつ論が進められているのでわかりにくいところも多い。しかし西川徹郎の俳句理解の一歩にはなるのではないか。
★尖塔のなかの死蛍を掃いて下さい
★山脈となる迄死者の椅子を積む
★竹原に父祖千人が戦(そよ)ぎおり
第1章を読み終えたばかりであるが、生い立ちや家族関係のゆえか、「死」が濃厚に漂う作品が並ぶ。またそれが大きな特徴となっているようだ。