Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「初期仏教」(岩波新書)読了

2018年08月31日 20時40分37秒 | 読書


 「初期仏教 ブッダの思想をたどる」(岩波新書、馬場紀寿)を読み終えた。
 30代の初めころ、中村元氏の「原始仏典」や岩波文庫のさまざまな仏典を読み漁った私にとっては、それ以来の初期の仏教を垣間見るいい機会だと思って購入した。私などは繰り返しが多い韻文による仏典の方が古い形をのこしているのだとばかり思っていたが、この本ではそうではなかった。
 私は中村元氏の訳したり編纂した原紙仏典を読んで、『「輪廻」から如何に脱出して、何もない死後の世界を求める』という徹底した無神論、唯物論として読んでいた。この読み方自体は中村元氏の本意ではないと思いつつ、この無神論、唯物論にとても惹かれた。古代インドで強く流通していたと思われる「輪廻」のいう共同幻想からの脱出、ここにブッダの「革命」を私は嗅ぎ取っていた。この直観とはこの「初期仏典」はまるで違っている。
 あまり詳しく述べる力などはまったくないのだが、出来るだけ古い姿に迫ろうとする姿勢は伝わった。しかし一方で「四聖諦(ししょうたい)」「縁起」「五蘊(ごうん)」「六処(ろくしょ)」「十二支縁起」などという煩雑な概念や議論がごく初期の口頭伝承で伝えられたのか、という疑問はつきまとった。難解な議論ではなく韻を踏んだ平易な教えが口頭で流通としていた、という方が私には受け入れやすい議論である。
 むろん私などが議論にかみ合う能力も研究もしていないので、何事も云える立場ではないのだが‥。そして中村元氏の「信」という立場が見えない議論の方が、信仰とは遠い地点にいる私などには嬉しい。すくなくとも私にはそのように思われた。




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