本日は「絵画の政治学」の第6章「ファン・ゴッホ、ルヌアールとリヨンにおける職工の危機」、第7章「レオン・フレデリックと〈労働者の人生の段階〉」を読み終え、第8章「ドガとドレフュス 反ユダヤ主義者としての画家の肖像」へ読み進めた。
この著者はどうもプロパガンダとしての絵画におおいに興味があり、同時にそれに惹かれるところがあるらしい。絵画・芸術を語るときに「労働者階級一般」が同一の意志や党派に領導された同一の政治的主張を声高に叫ばなければならない存在として描いてしまっては、画一的な人間像しか描けなくなる。誤読であることを祈っているが、どうもこのことを否定するような文章の書き方にはなっていない。ということで、引用して書き留めておく気分にはならないが、最後まで読みとおすことにはしている。
ゴッホがルヌアールという当時の都市のプロレタリアートとされる職工の出口のない貧困の世界を描いた画家に惹かれていたことを知ったり、ユダヤ人問題がヨーロッパの全体に大きな影を落としていること、それは絵画の世界にも対立と混乱を招いていることを改めて知った。このことはこの本を読んだことの「成果」ということにしておこう。
もう少しで読み終わる。読み終わることが待ち遠しい書物というのは少々悲しい。
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