Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

読了「西行 歌と旅と人生」

2024年07月18日 12時18分21秒 | 読書

   

 「20.西行から芭蕉へ」、「21.文化史の巨人・西行」、「おわりに」に目を通し終わり、「西行 歌と旅と人生」(寺澤行忠、新潮社)を読み終えた。
 芭蕉の西行の歌を念頭に措いた句について、これまでは知らなかった多くの指摘があり、参考になった。
 しかし芭蕉は西行の歌や生きざまに何を見、何を汲み取ろうとしたか、何を捨象したか、判らないところがある。芭蕉という俳人について自分が理解できていないことの証左であるのだろう。

 「通常の社会生活を断念ないし放棄した人間が、かえって同時代ならびに後代に、きわめて大きな影響を与えたことは、歴史上の一種のパラドックスとも言うべく、単に和歌史の上のみならず、思想史、文化史の上で、稀有の存在・・」(21.文化史の巨人・西行)

 この結語については、これまで幾度も違和感を記載した。時代や社会との格闘・軋轢、政権上層部との意識的な接近と緊張感こそが、西行説話の源である、という私の持論は手放したくない。