本日の喫茶店、とても読書に集中できなかった。席を変わったものの、イライラとした気分が納まらなかった。
私が座った席に後から、至近距離の隣の二人掛けの席が埋まった。若い物静かな女性が座り、対面に年上の女性が座り、面談らしきものを始めた。話の内容は隣の席の私に筒抜けである。
しかし話の内容はいたって深刻。若い女性は派遣された職場で、ハラスメントもどきの扱いを受け、派遣元に訴えたらしい。その聞き取り調査のようであった。物静かな若い女性は、誠実そうで好感は持てるが、的確には状況が説明できないところもある。端で聞いていてもどかしい気分も伝わってきた。
聞き取りの女性は、ノートに派遣先の職場にいる職員の配置図、氏名などを記入し、話は進んでいった。聞き取りをしている女性は経験もあるようで丁寧な説明はしている。要領も良さそうである。しかしそこに血が通っているかどうかは、私は判断はできない。
この若い女性は、ハラスメントをした社員に抗議の意思表示はしたようだ。ハラスメントをした職員は謝罪の意向は示しているようだが、被害を受けたこの女性にとっては、それだけでは納得はいかないようだ。ここについては私も十分了解できる。
私がイライラしたのは別のことである。こんな大事な相談事を、しかも個人名が飛びかうような聞き取り調査を、短時間利用の一服客を対象にした喫茶店で、そのうえ狭い席の隣の私に筒抜けの会話で、済ませようという派遣会社の対応のひどさである。
派遣先職場とは離れているのかもしれないが、少なくとも派遣元の会社の一室で、彼女の発言や訴え内容が外に漏れないように配慮する義務があるはずである。
こんな派遣会社に採用されているこの若い女性にいたく同情した次第である。聞き取り調査をしている女性の対応がひどいものではなさそうなのが少しは救いであったが、それでもこのような喫茶店を選択したのが、彼女であることにもイライラした。
相談を求めている若い女性は、一人では決して強くはない。労働組合もないのであろう。働くものを守る仕組みが、派遣企業の苦情処理のシステムしかないというのも悲しい現実である。
この件が、相談を求めている若い労働者に良い方向で解決されることを切に願いたいものである。