蛇口が取れた

4年半の杭州生活を終え、ついに帰国。現在、中国人化後遺症に悩まされ、好評リハビリ中。

実はみなそう願っているのです

2009-09-10 00:12:55 | 中国・その他地域
中原シリーズ最終回。

最終日、杭州へ戻る前に、
鄭州にある河南省博物院へ。

三角形の非常にユニークな形をした博物館。
ピラミッド形といったほうがいいのかな。
とにかく、街中でも非常に目立つ感じがする。

入場料は無料。
中国は無料の博物館が多く助かる。
日本の博物館は、致し方ないところもあるが高い。
特に特別展なんて、べらぼうに高いものもある。
横浜の「海のエジプト展」なんて一人2300円だったし。
あれには、ちょっとビックリしたねえ。

さすが、中原。
いいものをたくさん持っている。
見ているだけで、楽しくなってくる。
則天武后が除罪をするために作成した金簡(金で作った札)なんてのが展示されていた。
しっかりと、則天文字も使用されていて、思わず食いついてしまった。
(ご存じだと思うけど、水戸光圀の「圀」って則天文字なんだよね)

なんか、中国の遺物を見ているとよく思うんだけど、
古い時代の遺物の紋様や造形って、愛敬あるよね。
怪獣を描いていても、どこか愛くるしかったりして。
写真のもの(尊=酒器)も、なんかヤッターワンみたいだなあって。

ちょっと残念だったのが、
現在修理中で二部屋しか見られなかったこと。
郭守敬の天文関係の展示なんて、
非常に興味があったんだけど。

さて、空港へ向かう前に寄ったので、
当然、大きい荷物を持っていた。
しかし、博物館には持って入れないので、
先にロッカーに預けなくては行けない。

ロッカールームには、管理人としておばちゃんがいた。
ロッカーに荷物を入れ、鍵を取り、ノートに記帳する。
名前、出身、電話番号、鍵番号を記す。
当然、ボクは出身欄に「日本」と書いた。

ボクが博物館に行ったのは、先の衆院選の二日後。
つまり、民主党が政権交代を果たした選挙の直後。
中国のテレビでも長々と特集が組まれたり、
新聞では一面でそのことが報道されていた。
中国の一般人も大変そのことに興味があるのであった。

なので、おばちゃん、食いついてきた。
選挙のことを一生懸命聞いてきた。
「自民党と民主党はどこが違うのか」なんて、
一言じゃ話せませんよ、っていうような質問までする始末。

そして、こう言った。
「日本人は羨ましい。
だって、自分たちの意志で政権を変えられるんだから。
一人一人の力が、もの凄い力を持っている。
私たちは、リーダーたちの言うことを聞いて、
静かに安寧に暮らす以外できないんだよ。」と。

選挙に興味ない、とか、
どうせ何も変わらない、とか、
そんなこと言って、
投票する権利をむざむざと無駄にするのはどうなんでしょう、
と考えさせられた。

贅沢なはなしなんだよねえ、
「投票しない権利」って。

常に権力争いの中心であった中原にて、
自国の政治について考えさせられた一瞬だった。