shuの花日記

山や近所で見かけたお花をエピソードを添えて掲載しています。お花の説明は主にウィキペディア、花図鑑を参考にしています。

雪解け直後の尾瀬で見かけた草花

2021-05-27 19:30:14 | 山行・旅行
机の上に1冊の冊子があります。既に廃版となった古い本です。


表題は『尾瀬の草花』。副題には「尾瀬への誘い ポケット図鑑」とあります。

監修は伊東良朗さん。小冊子には伊東さんの略歴がなく、どのような方なのか分かりません。
1999年4月1日発行で、スズキ教育ソフト株式会社が発行しています。

今回は、この冊子に記載の順に、私が観た草花をご覧いただきたいと思います。
なお小冊子には草本以外の花(ミネザクラなど)も載っていますが、このブログ記事では草本のみを記載します。

■ フキ(キク科フキ属の多年草)




何故だか分かりませんが、『尾瀬の草花』で真っ先に登場するのはフキです。
写真は見晴のテント場で撮影しました。見晴は標高が1415m(見晴十字路)で、テント場はそれより5mほど高いところにあります。
我が家の庭で3月下旬に観られるフキの花が、尾瀬ではこの時期に咲きます。

■ ニリンソウ(キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)


見晴から元湯山荘、温泉小屋へ向かう途中で見かけました。
今回ニリンソウを観たのはここだけでした。
『尾瀬の草花』には、山ノ鼻、三平下、御池の名前があります。

■ リュウキンカ(キンポウゲ科リュウキンカ属の多年草)






リュウキンカは、ミズバショウと共に、この時期の尾瀬を代表する花です。尾瀬ヶ原の各地で観られました。
この花やミズバショウは、流水の栄養分の多いところに生育するようです。

■ ミズバショウ(サトイモ科ミズバショウ属の多年草)




ご存知のお花です。
尾瀬では栄養分のある川沿いや流水のあるところでのみ生育しています。高層湿原の中では生育できません。

ここで高層湿原についておさらいしておきましょう。
高層湿原とは、気温が低く微生物によるミズゴケなどの分解が制限され、生じた泥炭が多量に蓄積されて、周囲よりも高くなった湿原をいいます。
周囲より高いため、地下水では涵養されず、雨水のみで維持されている貧栄養な湿原です(水は流れ出る一方で、入っては来ない)。
この湿原は、1年間に1mm弱しか堆積しないそうです。もし人が靴で踏みつけて2cmへこむと、回復するまでに20年以上かかるということです。
尾瀬ではかつてアヤメ平が人に踏みつけられて破壊されました。そのようなことが再びないように、木道が整備されています。

■ ショウジョウバカマ(シュロウソウ科ショウジョウバカマ属の多年草)






尾瀬ヶ原の各地で観られました。
まだ他の植物が芽吹いていない枯草の中から、ピンクの花がすくっと出ているので、遠くからでもよく目立ちました。
また、今回観た花はピンク色が多く、下の写真のような紅紫色の花は少数でした。

オオタチツボスミレ オオバタチツボスミレ(スミレ科スミレ属の多年草)




写真を拡大して観たところ、側弁に小さな毛があることからオオバタチツボスミレのようです。
上の写真は見晴で、下の写真は鳩待峠から山ノ鼻に向かう途中で撮りました。

■ ワタスゲ(カヤツリグサ科ワタスゲ属の多年草)




ワタスゲの白い果穂はご存知でも、花はご存知ない方が多いようです。『尾瀬の草花』でも綿毛の写真だけが載っています。
目立たない花ですが、木道沿いにたくさん咲いていました。『尾瀬の草花』でも尾瀬のいたるところの湿原で観られると書いています。

ご存知の果穂はこちらです(2018/07/19尾瀬沼で撮影)。


■ オオバキスミレ(スミレ科スミレ属の多年草)


この花も『尾瀬の草花』に載っていた写真と撮影場所が近いところで観たので、名前を記載しました。
側弁の内側に毛があるそうですが、そこまで観察しませんでした。
山ノ鼻から川上川沿いに鳩待峠へ向かう、木道脇で見かけました。

■ コミヤマカタバミ(カタバミ科カタバミ属の多年草)




まだ花が開いていませんが、葉の形と花の色、大きさからコミヤマカタバミとしました。
葉は睡眠運動をし、夜は小葉が閉じるそうです。
鳩待峠と山ノ鼻の間の、木道脇で見かけました。

■ ヒメイチゲ(キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)


この花は『尾瀬の草花』には載っていません。
ニリンソウ同様、見晴から元湯山荘、温泉小屋へ向かう途中で見かけました。

これでこの時期に尾瀬ヶ原で観た草花のご報告は終わりです。
もう2週間もすると、お花の種類がかなり増えると思います。
その頃に、三条の滝へ再挑戦したいと思いますので、お花についてもご報告したいと思います。
ご覧いただき、ありがとうございました。


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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まさに早春の (なつみかん)
2021-05-27 21:17:45
shuさん、こんばんは。
季節を巻き戻したような花々、素敵ですね!
こんなところを歩いてみたいです~
ワタスゲの花、まさにスゲの花ですね。
知らなかったら、別のスゲだと思ったかもしれません。
ショウジョウバカマも咲いているんですね。
最後のヒメイチゲ、可愛いですね。
2週間後ですか。
さくっと行けるのが羨ましいです。
私もどこかにまた行きたくなりました。
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初めの写真は (fukurou)
2021-05-27 21:29:47
shu様
おはようございます。
初めの写真は知っている花が出てきて安心しましたが、やはり途中から知らない花になりました。(笑)
オオバキスミレ、オオタチツボスミレは知らない花です。
ワタスゲの花、ヒメイチゲも知っていました。
返信する
なつみかんさん こんばんは (shu)
2021-05-27 21:51:00
コメントありがとうございます。
尾瀬ヶ原はようやく雪解けが終わったばかりで、周辺にはまだ雪が残っています。
標高が1400mあるということより、雪解けが遅いことが開花時期に影響していると思います。
ワタスゲはイネ科で、地味な花ですね。これからもっと花数が増えると思います。
ショウジョウバカマはどれも小ぶりでした。生育地によって大きさが違うようです。
ヒメイチゲは小さくて見逃すところでした。ニリンソウも木道の陰で、目立たないところにありました。
目立つところは、もしかしたら、シカに食べられてしまったのかもしれませんね。
尾瀬は京都からは遠いですね。私のお勧めは、石川県にある白山高山植物園です。
開園は6月です。ちょうど緊急事態宣言の再々々延長が終わることだと思います。
https://garden.hakusanmab.org/
ここなら京都から日帰りも可能です。もちろん温泉がたくさんありますので、お泊りいただくとなおいいと思います。
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尾瀬の花 (さざんか)
2021-05-27 22:06:43
スプリングエフェメラルのような花が咲いていたんですね。
2ヶ月は季節が戻ったような。
見当は付きますがはっきりした名前は分からない花が多いです。
フキとショウジョウバカマは分かります。
ヒメやオオが付く花は正確には分かりませんでした。
大自然の中で咲く花は健気ですね。
可愛いお花を見ながら歩かれて、羨ましいです。
見せて下さって有難うございました。
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fukurouさん こんばんは (shu)
2021-05-27 22:07:25
コメントありがとうございます。
尾瀬ヶ原の標高が1400mで、開田高原とほぼ同じですね。
緯度を考慮すると、若干尾瀬の方が開花が遅いかもしれませんが、fukurouさんにはお馴染みの花が多いと思います。

私はスミレの仲間は全く自信がありません。
なんでこんなに細かく分けなければいけないのかというほど、種類が多いですね。
オオタチツボスミレ、オオバキスミレは、共に日本海側の山地で咲く代表的なスミレのようです。
オオタチツボスミレはshuの花日記に初登場で、オオバキスミレは徳本峠越えで観ていました。
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さざんかさん こんばんは (shu)
2021-05-27 22:14:25
コメントありがとうございます。
まだ雪が解け終わったばかりで、お花の数は少なかったです。
もう2週間ほどすると、タテヤマリンドウ、トキソウが観られると思います。
どちらも私が大好きなお花です。

お花の種類が一番多いのは7月です。
また、7月になると至仏山にも入れるので、多くの高山植物が観られます。
私は他にも行きたい山がたくさんあるので、今年はその時期は別の山に行こうと思います。
いずれにしても、噴火したばかりの山でなければ高山植物が観られますので、またブログで紹介させていただこうと思います。
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おはようございます^^ (attsu1)
2021-05-28 06:00:27
尾瀬の花々、こうして見せていただくと、
春の花、オンパレード(@_@)
尾瀬は、まだ、春が来たばかりのよう、
気温の低さを感じます。
もう一度、春を楽しませていただきました^^
そして、これから初夏に変化していくんですね。

三条の滝ととも、再挑戦されるんですね^^
尾瀬の初夏を楽しみにしています。
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attsu1さん おはようございます (shu)
2021-05-28 07:04:38
いつもコメントをいただき、ありがとうございます。
そうです。仰るとおりです。
尾瀬は雪が解けたばかりです。

数年前、大型連休中に出かけたことがあります。
鳩待峠から山ノ鼻へ通じる道は、半分ほどが雪に埋まっていて、木道を外れて雪の上を自由に歩くことができました。
山ノ鼻のテント場も雪があり、寒かったです。
尾瀬ヶ原はというと、雪解けの水が洪水のようになって流れていました。
もちろんお花はひとつもありませんでした。

至仏山へ登りましたが、すべてが雪に覆われ、夏山より歩きやすかったです。
スキーの人もいましたし、ヒップそりを使っている人もいました。

これから7月の盛夏まで、どんどんお花の数が増えていきます。
三条の滝を観に、もう一度出かけてきます。今度は日帰りになるかもしれません。
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お疲れ様でした (山歩き)
2021-05-28 10:36:05
 Shuさんこんにちは。長編の尾瀬紀行、めでたく完結いたしました、お疲れさまです。
 テント泊の様子も写真入りの詳しい説明でよく分かりました、寒さに震えたり浸水騒ぎに遭遇することもなく、流石に熟練熟年キャンパーだなと思いました。

 水芭蕉以外の花はどれもコレも馴染みのあるものですが、オオタチツボスミレは見たことがありませんでした。私も手持ちの図鑑で確認したところ、尾瀬で撮影された写真が載っておりました。
 隣には尾瀬で撮影されたオオバタチツボスミレも載っており、側弁内の毛の有無が見分けるポイントとのことです。
 スミレは本当に厄介で毛の有無など現地での確認は困難です、この色の場合は、標高などで判断しスミレサイシン、タチツボスミレ、ミヤマスミレと片付けてしまいますし、黄色の場合は、オオバキスミレ、キバナノコマノツメ、タカネスミレで片づけます。

 改めて調べると、広義のオオバキスミレは形態的な変異に富み、ミヤマキスミレ、エゾキスミレ、ナエバキスミレ、ダイセンキスミレなどに分かれることが分かり、地域が限られる場合は良いですが、そうでない場合は面倒だなと思いました。

 これだけの労作ですから、専門誌に投稿されては如何でしょうか、その前に読ませていただきありがとうございました。
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山歩きさん こんばんは (shu)
2021-05-28 17:36:26
コメントありがとうございます。
あらためて『尾瀬の草花』並びに山渓ハンディ図鑑を確認しました。
そして、写真を拡大して観たところ、側弁に小さな毛があることが分かりました。
したがって、オオタチツボスミレではなく、オオバタチツボスミレに訂正します。
いつもご示唆をいただき、本当に感謝申し上げます。
ありがとうございました。
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