コロナ禍で収入を失い生活できなくなった性風俗の世界で働く女性たちが、著者が運営する無料生活・法律相談窓口「風テラス」に相談を寄せ、それに対して相談担当者がどう対応したか、相談活動を維持するための支援者募集やクラウドファンディングなどの経験を綴った本。
タイトルからは風俗店側の生き残り戦術とかをレポートした本かと見えましたが、相談を受ける側、支援者側の実情が中心です。
「相談者の中には、相談員が自分の欲しい答えを言ってくれないことが分かると手のひらを返したように攻撃的な態度をとったり、一方的に通話を切ってしまう人もいた」「苦しい中で心の支えになったのは、時折LINEやツィッターで届く、以前対応した相談者からの報告や感謝の言葉だった」(72~73ページ)…相談という仕事をしていると、何処も同じ、ですねぇ。
風俗事業者が持続化給付金の対象外とされたことについて集団訴訟が企画され、応募してくる事業者はいたものの、「しかし正直なところ、費用を出せる事業者、出したいという事業者が誰もおらず、クラウドファンディングで資金調達をしなければいけない時点で『負け』なのでは、と感じた」「性風俗産業は、決してお金のない人たちの集まっている世界ではない。市場規模は少なく見積もっても数兆円を超える。他の業界と同様に、高級車を毎年のように買い替えている経営者、愛人を多数抱えている経営者、キャバクラで毎晩豪遊している経営者もたくさんいる。仮に訴訟費用でトータル500万円かかるとしても、その程度の金額は、1人の経営者が数カ月キャバクラ通いを我慢するだけで、あるいは車の買い替えや愛人への投資を控えたりするだけで、簡単に捻出できるはずだ」(136~137ページ)…弁護士をやっているとしょっちゅう実感することです。私の場合、お金持ちの経営者の依頼は受けませんが、庶民というかふつうの人の場合も、車や子どもの教育費には躊躇なく払う金額でも、弁護士費用になると高いと感じるんですね。人生がかかっている大事な訴訟だというのに、そこでケチるんですかと思いますが、着手金50万円+消費税(私の場合着手金はこれ以上は取らないことにしています。もちろん、結果が出たときの報酬金は別途いただきますが、それは得られた利益の範囲内でいただくものですので)で高いと言われると、本人にとってのこの訴訟の重要性はその程度なんだなという判断になります。

坂爪真吾 ちくま新書 2021年4月10日発行
タイトルからは風俗店側の生き残り戦術とかをレポートした本かと見えましたが、相談を受ける側、支援者側の実情が中心です。
「相談者の中には、相談員が自分の欲しい答えを言ってくれないことが分かると手のひらを返したように攻撃的な態度をとったり、一方的に通話を切ってしまう人もいた」「苦しい中で心の支えになったのは、時折LINEやツィッターで届く、以前対応した相談者からの報告や感謝の言葉だった」(72~73ページ)…相談という仕事をしていると、何処も同じ、ですねぇ。
風俗事業者が持続化給付金の対象外とされたことについて集団訴訟が企画され、応募してくる事業者はいたものの、「しかし正直なところ、費用を出せる事業者、出したいという事業者が誰もおらず、クラウドファンディングで資金調達をしなければいけない時点で『負け』なのでは、と感じた」「性風俗産業は、決してお金のない人たちの集まっている世界ではない。市場規模は少なく見積もっても数兆円を超える。他の業界と同様に、高級車を毎年のように買い替えている経営者、愛人を多数抱えている経営者、キャバクラで毎晩豪遊している経営者もたくさんいる。仮に訴訟費用でトータル500万円かかるとしても、その程度の金額は、1人の経営者が数カ月キャバクラ通いを我慢するだけで、あるいは車の買い替えや愛人への投資を控えたりするだけで、簡単に捻出できるはずだ」(136~137ページ)…弁護士をやっているとしょっちゅう実感することです。私の場合、お金持ちの経営者の依頼は受けませんが、庶民というかふつうの人の場合も、車や子どもの教育費には躊躇なく払う金額でも、弁護士費用になると高いと感じるんですね。人生がかかっている大事な訴訟だというのに、そこでケチるんですかと思いますが、着手金50万円+消費税(私の場合着手金はこれ以上は取らないことにしています。もちろん、結果が出たときの報酬金は別途いただきますが、それは得られた利益の範囲内でいただくものですので)で高いと言われると、本人にとってのこの訴訟の重要性はその程度なんだなという判断になります。

坂爪真吾 ちくま新書 2021年4月10日発行