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伊東良徳の超乱読読書日記

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スペース・コロニー 宇宙で暮らす方法

2021-09-24 23:39:09 | 自然科学・工学系
 地球外での居住に向けた研究・技術開発の現状について解説する本。
 多数の人が執筆していることもあり、語る熱さやわかりやすさもさまざまです。でも、研究開発がそれなりに進んでいる領域もあるとは言え、国際協力グループの宇宙探査計画(GER)で、最終的なターゲットを有人火星探査においていることを紹介して「公開されて大きな話題となった映画『オデッセイ』の世界は、すぐ前まで来ているのです」(49ページ)というのは、ずいぶんと煽りすぎに思えます。
 無重力環境での生活で骨量が減少し筋肉も萎縮するというのはよく聞きますが、この本ではそれに加えて血液の量が減り心臓のサイズが小さくなり機能が低下する恐れ(ただし、ここは仮定形で書かれていますが:77ページ)も指摘されています。宇宙での生活には、SFや映画ではなかなか想像できない難しさがありそうです。
 宇宙では、空気や水、食料は、現地調達や完全な再生(再利用)ができない限り補給しなければいけないわけですが、ISS(国際宇宙ステーション)での空気の漏れ量は1日あたり0.363kg程度だそうです(204ページ)。だいたい300リットルくらい…多いのか少ないのか判断が付きにくいですが、そんなに頻繁に補給できない条件で、人間の生存に絶対必要なものを補給し続けないといけないのはたいへんでしょうね。ましてや距離が桁違いになる月や火星となると。


向井千秋監修・著、東京理科大学スペース・コロニー研究センター編・著
講談社ブルーバックス 2021年5月20日発行
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