伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック

2023-04-22 23:30:58 | 小説
 3年前に密室殺人事件が、犯行不可能故無罪となって以来、密室殺人事件が激増した日本で、その無罪となった密室殺人事件の元被告人と同級生でたった2人の文芸部でミステリーを書き合っていた高校2年生の葛白香澄が、10年前に著名なミステリー作家が客を招待して演じ、誰もその謎を解けない密室内でのフランス人形殺害事件の伝説の現場でミステリーファンの聖地となっている「雪白館」を訪れた際に、連続密室殺人事件が起こるというミステリー小説。
 雪白館に集まった人々が、何故どのように集められたのか、とりわけ葛白香澄の同級生密村漆璃が何故雪白館を訪れたのか、殺害された者の殺害された理由、殺害の動機がほとんど説明されずぼやっとした説明も説得力がなく、基本的な設定が無理があるように感じられ、またいかにもラノベって感じの文体もリアリティを削ぐ印象ですが、こと密室殺人のトリックに関しては、よくこれだけ考えたねと感心します。作者も、とにかく密室殺人のトリックが書ければいいと思って書いているのでしょうから、そこを読むことに徹した方がいいのだろうと思います。


鴨崎暖炉 宝島社文庫 2022年2月18日発行
2021年「このミステリーがすごい!」大賞文庫グランプリ受賞作 
コメント
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