週刊誌記者を辞めてビデオジャーナリストになり、その初仕事で発掘したネタと映像が、当時当初は勘の鋭い少女、後には超能力者としてテレビ局のマスコットになっていた11歳の少女諏訪礼をニセモノと暴き、後ろ盾になっていた元超能力者宮城大悟をも宮城が語った言葉をすべてカットして攻撃する番組に仕上げられることになって、後味の悪い思いをしていた楠瀬薫37歳の下に、その番組の頃に両親が離婚して母と2人暮らしになった諏訪礼が、最近ストーカーに追われているとして転がり込み、そこから楠瀬薫の周囲で事件が続き、楠瀬が週刊誌記者時代にスキャンダルを報じた政治家が大臣となったこととあわせ過去の事件の謎もクローズアップされ…という展開のミステリー小説。
冒頭シーンで、かつて両親の離婚の際に親権の押し付け合いとなり一時児童養護施設に収容されてそこでまわりの人の様子を窺って育ったことから相手の言動を観察し分析することに長けているという設定の楠瀬薫が、取材相手の心理を事細かに分析する描写があり、これがタイトルの意味かと思わせています。そこが、巧いというべきなのか、伏線と見るべきなのか、目くらましというべきか。

本多孝好 新潮社 2014年9月20日発行
冒頭シーンで、かつて両親の離婚の際に親権の押し付け合いとなり一時児童養護施設に収容されてそこでまわりの人の様子を窺って育ったことから相手の言動を観察し分析することに長けているという設定の楠瀬薫が、取材相手の心理を事細かに分析する描写があり、これがタイトルの意味かと思わせています。そこが、巧いというべきなのか、伏線と見るべきなのか、目くらましというべきか。

本多孝好 新潮社 2014年9月20日発行