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伊東良徳の超乱読読書日記

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労働法実務解説2 賃金

2016-02-24 00:23:01 | 実用書・ビジネス書
 日本労働弁護団の中心メンバーによる労働法・労働事件の実務解説書シリーズの「賃金」関係の部分。
 2008年に刊行された「問題解決労働法」シリーズの改訂版です。
 賃金に関する様々な問題について、通達と判例を丁寧に紹介し、判例の判示文言にとらわれずに実務的な判断基準を示していたり、判例や通達上労働者側の主張が認められていない領域ではいくつかこういう主張が認められるべきだという意見を付けていて、労働側の弁護士にはとても参考になります。
 ふだんあまり検討しない最低賃金法とか、変形労働時間制と時間外労働などは、勉強になりましたし、退職金の没収・減額の判例の整理の仕方も参考になりました。他方、裁判でよく争われる残業代請求についてはもう少し詳しい解説が欲しかったと思いますし、降格関係ももう少し踏み込んで欲しかったなと思います(降格関係は、たぶん誰もうまく書けなくて、読んでストンと落ちるきれいな分類・解説は、いまだに見たことがないのですが)。
 給料の差押え禁止額の上限を「4分の3または21万円のいずれか低い額」(55ページ)としているのは、「4分の3または33万円のいずれか低い額」の誤り。21万円は、2004年の法改正前の規定です。労働者の自家用車を社用に用いたときのガソリン代支給が実費弁償でなく賃金だということで引用している「昭26.2.10基収6212号」(17ページ)は、「昭28.2.10」の誤り(すぐその上では正しく「昭28.2.10」で引用されています)。他にも誤植、脱字の類が多い感じなのは残念です。


小川英郎 旬報社 2016年1月25日発行
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