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伊東良徳の超乱読読書日記

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プレゼンテーションzen [第2版]

2016-02-21 23:22:50 | 実用書・ビジネス書
 テキストで溢れたパワーポイントのスライドを読み上げる現在の日本で「標準的な」退屈で記憶に残らず刺激もない非効果的なプレゼンやスピーチから脱却するためのプレゼンテーションに対する考え方、方法論を述べた本。
 準備段階についての指摘では、このプレゼンの究極的なメッセージは何か、「もしたった一つのことしか聴衆の記憶に残らないとしたら(それでも、覚えてもらえるだけラッキーである)それは何であって欲しいか?」(73ページ)、そしてそのメッセージはなぜ(聴衆にとって)重要なのかをよく考えるべきということが、とても重要に思えました。
 本論の部分ではないかも知れませんが、スライドと自分用のプレゼンメモの他に、きちんとした配付資料を作成し、詳細を知りたい人にはその配付資料を後で読んでもらうことにし、スライド自体はあくまでもプレゼンを効果的にするための道具に過ぎず、スライドだけでは意味をなさないものとなるはず(スライドだけでプレゼン内容がわかるならプレゼンターはいらない!)だから配布しないようにすべきという指摘(78~82ページ)、20秒毎にスライドが自動的に進み20枚合計6分40秒で強制終了する「ペチャクチャ」を紹介し「7分以内で話の本質を語ることができない場合は、そもそもプレゼンテーションなどすべきではないのかもしれない」とする指摘(51ページ)は、なるほどと思います。
 スライドの作成段階のアドバイスでは、徹底的に無駄な情報をカットしてシンプルにすることに関しては、私などはオリジナルの図表を加工することに躊躇してしまいがちですが、聴衆へのアピールを第一に考えればその通りだと思います。顔とテキストを組み合わせるときはテキストを顔の視線の先に置け(183~185ページ)とか、注目を集めたいものは画面の3×3分割線(グリッド)の交点に置け(189~191ページ)いうのも実践的です。スライド作成に関しては、聴衆の側で何を見たいかということを考えればいいということだろうと思います。私も、読めないような小さい字がぎっしりのスライドでの説明には、ずっと不満を持ってきましたし。
 終盤のプレゼンの実施に関する部分は、実は、ドリカムのライヴからプレゼンを学ぶという6ページ組の記事(286~291ページ:全文引用のようです)が一番わかりやすく、それと、著者が敬愛するスティーブ・ジョブズのプレゼンについて分析した記事(301~305ページ)に尽きている感じです。
 指摘にはもっともな点が多く、頷かされるところがとても多い本ですが、シンプルで聴衆の感情を揺さぶる短く印象的なプレゼンを推奨するこの本の趣旨からは、もっと短くシンプルに書けたのではないかなぁと思うところも多々ありました。


原題:PRESENTATION ZEN:SIMPLE IDEAS ON PRESENTATION DESIGN AND DELIVERY ,2nd Edition
ガー・レイノルズ 訳:熊谷小百合
丸善出版 2014年2月20日発行 (原書は2012年)
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