老夫婦が45年間住み続けたマンハッタン島南西部のイースト・ヴィレッジのエレベーターのない5階の部屋を売却してエレベーターのある部屋に移り住もうとしたところ、ペットの老犬が椎間板破裂で入院し、近隣でテロ騒動が起こってテレビはその話題で持ちきりになり不動産価格が暴落し、夫婦は売る側でも買う側でもてんてこ舞いするという展開の小説。
2009年の作品が映画化に合わせて翻訳されて日本で文庫版で発売されたものです。
子どもがいない老夫婦がペットの犬に示す愛情と負傷入院への焦燥感、若い頃社会主義を信奉し、非米活動委員会の査問にも節を曲げず、国語教師として、正しさ・正義を大切に生きてきた妻ルースの、自宅売却で策略を弄したこと、自己の利益を優先することへの罪悪感・自己嫌悪といったことがテーマになっています。
老いた者たちが、誰かの世話になるというのではなく、日常と降りかかる問題に、主体的に取り組み、夫婦で助け合い支え合う姿が、淡々と、またコミカルに描かれているところが爽やかに思えます。

原題:HEROIC MEASURES
ジル・シメント 訳:高見浩
小学館文庫 2015年11月11日発行 (原書は2009年)
2009年の作品が映画化に合わせて翻訳されて日本で文庫版で発売されたものです。
子どもがいない老夫婦がペットの犬に示す愛情と負傷入院への焦燥感、若い頃社会主義を信奉し、非米活動委員会の査問にも節を曲げず、国語教師として、正しさ・正義を大切に生きてきた妻ルースの、自宅売却で策略を弄したこと、自己の利益を優先することへの罪悪感・自己嫌悪といったことがテーマになっています。
老いた者たちが、誰かの世話になるというのではなく、日常と降りかかる問題に、主体的に取り組み、夫婦で助け合い支え合う姿が、淡々と、またコミカルに描かれているところが爽やかに思えます。

原題:HEROIC MEASURES
ジル・シメント 訳:高見浩
小学館文庫 2015年11月11日発行 (原書は2009年)