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伊東良徳の超乱読読書日記

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エアヘッド! 売れっ子モデルになっちゃった!?

2013-04-05 10:02:35 | 小説
 フェミニストでコンピュータゲーム好きの17歳女子高生エマソン・ワッツが、巨大ショッピングセンターのオープンイベントでの巨大モニター落下事故で致命傷を負い、同時に脳死したスーパーモデルのニッキー・ハワードの体に脳移植され、目が覚めたらスーパーモデルになっていたという設定の青春小説。
 メグ・キャボットの日本で出版されたものとしては最新作・新シリーズです。原書では1巻に当たるこの本が2008年3月、2巻の "Being Nikki" が2009年5月、3巻の "Ranaway" が2010年4月に出版されて完結しているようですが。
 一夜明けたら美人でナイスバディのスーパーモデルになっていてイケメン男たちに迫られるセレブライフが待っていたという憧れの設定に、それが見てくれのよさを競う女たちを生気も個性もないゾンビと罵りモデルの頭は空っぽ("Airhead")と評価する学業成績はいいフェミニストのオタク高校生に訪れるという落差を組み合わせたところがこの作品のポイントになっています。1巻にあたるこの本は、その落差をエマソンのモデル業界の連中に対する反感と体が変わり周囲の反応が変わることへの戸惑いという形で示し、それでもたせていますが、2巻以降はどうなっていくでしょうか。すでに仕事面では、半裸に近い姿で女性差別を思わせる媚びたポーズをとることになれてしまったようですし。内心と恋・友情の面でも、エマソン自身がイケメンたちへの憧れと反発を覚える上に、キスされるとノーと言えないニッキの体に挟まれ、エマソンの友人にして想い人のクリストファーはエマソンの死に落胆してスーパーモデルがアプローチしてもほとんど無視状態ですがこれもどこまでそういう態度が続くのか、あと2巻分そのまま続けるわけにも行かないでしょうし。美貌とグラマーな肉体が勝つのか、友情とフェミニズムが勝つのか、まぁさすがに美貌の全面勝利にはしないでしょうけど、エマソンのフェミニズム志向をどこまで日和らせるのかに注目しておきたいと思います。


原題:Airhead
メグ・キャボット 訳:代田亜香子
河出書房新社 2012年8月30日発行 (原書は2008年)
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