紫蘇の効用

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下谷万年町物語

2012年01月18日 | ストレートプレイ
のち

シアターコクーンのリニューアル記念公演、下谷万年町物語を観てきました。

 キティ・瓢田:宮沢りえ
 洋一:藤原竜也
 文ちゃん:西島隆弘
 お市:六平直政
 白井:金守珍
 お春:大門伍朗
 軍医/軽喜座の役者/娼夫:原康義
 耳なしお蜜:井手らっきょ
 ヤクザ/娼夫:柳憂怜
 娼夫:大富士
 軽喜座の座長:沢竜二
 男/大人の文ちゃん:石井愃一

2回の休憩をはさんで3時間半の長丁場。
椅子席としては最前列だったのでエネルギーがどっと消費される3時間半でした。
お席にはあらかじめビニールシートとタオルがおいてあります。
一部の前には「水がかかりますので」ということでしたが、三部の前にもう一度ビニールが配られ、「血のりが飛んでくる可能性がありますので」と。
血のりとな?スプラッターじゃ。

この芝居の感想ってことで書くと猥雑で退廃的な世界だし、戦後の闇な部分・・・ヒロポンの事、鶯谷辺りの空気、昔は某という街があつた、池があった、こんな事件があった、というような色んな事を知っていないと難解で何を言いたいかってことがわからりません。
だけど感覚的には恍惚感のようなものも感じるアングラ独特の空気に酔ったような気がします。
実際にあった東京の風景、人々を描いているけど、現実離れしてる空想的な街、出来事。
リアルに戦後の荒れた感じの街並みで暗黒っぽいけど、くどいまでに華やかなオカマの世界はイマドキのきれいなおネエとは違う、非常にマイノリティな扱いで痛々しい。
きれいじゃないのよ、みんな。
その中でまさにはきだめに鶴のようなりえちゃん。
ヒロポン中毒で精神が錯乱した退廃的な女だが神々しく美しかった。
ヨゴレ役を、汚い人がやってるのは見るに絶えないけど、綺麗な人がやるから切なくはかなく刹那です。
りえちゃんは池の中から藤原君が抱き上げての衝撃的な登場。
やたら水を使う蜷川演出でも、これは今までで最大の効果だわ。
りえちゃんは第一声からセリフまわしが良い。舞台出演を重ね、本当にうまくなってると思いました。
しかし声がかすれてる 毎日本水に浸かって、喉やられちゃったか?

藤原君もかすれ声で絞り出すような発声で、ちょっと観ててつらい感じだな。
西島くんの文ちゃんのできがとっても良かった。

たくさんのオカマの男娼が目に毒なことしてるシーン連発なんだけど、独特の輝きをはなっていたのが六平さん。
あの風貌でオカマですから、そりゃ「えぇ?」って目をひくにしても、ハデハデくどくどな舞台面の中でひときわ存在感を感じました。
その六平さん登場の三幕で、血のり飛びのシーン。
レコードプレーヤーのハリの部分にナイフをつけ、レコード盤に洋一の手を置くと指が切れて血しぶきがぁぁ~
スプラッターでした。

随所で電蓄から流れるタンゴが昭和初期の空気を醸し出して胸がしぼられるような気分になる芝居でした。
観る芝居じゃなく感じる芝居・・・かな。

下谷万年町物語
2012/1/6(金)~2/12(日)
シアターコクーン



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