万博の民族学博物館、オセアニアコーナーにひときわ目立つ船が展示されています。
チェチェメニ号の説明書きを転載します。
製作者:マルイ 地域:サタワル島 国名:ミクロネシア連邦 年代:1970年代製作
サタワルにおける島しょ間航海および漁撈用のカヌー。伝統的な技術によって作られ、船体の断面はⅤ字形で、
船首と船尾が同じ形をしている。アウトリガー側から風を受けて帆走する。サタワル島から沖縄まで3,000㎞の
航海をなしとげた記録を持つ。
航海中、船尾にはカヌーをまっすぐ進めるための踏み櫂を操る男が座ります。カヌーはプラットホーム(風下)側に帆を
張って腕木(風上)側から風を受ける構造です。
船首は腕木の抵抗もあり風上側に向きます。この櫂はカヌーが風上側に向く性質を抑えるための一種の舵です。その
点で、船の進路を左右する舵とは役割が異なります。
踏み櫂は、厚板の上部に取っ手をつけただけで、船尾の風下側の舷縁 に掛けて網で固定し、下部を海中に踏み込み
ます。
荒れた海で上下する船尾に座って片足で櫂を踏み続けるのは、曲芸師のような機敏さが要求されます。踏み櫂の役は、
見習いの航海士がうけもち、「海の男」としての試練に耐えることになっています。
アウトリガー(腕木)は、船体中央の舷縁から張り出した二本の支柱とその先端部に着けられるバランサー(浮き木)から
なります。
このタイプのカヌーはアウトリガー側(風上)からの風をプラットホーム側(風下)に広げた帆に受けて進むために、つねに
風下側に重心がかかります。
そのために、浮き木は風下側にかかる重心を風上側に戻す、つまり重心の均衡をたもつ役目もしています。浮き木は
カヌーに浮力をつけるのではなく、カヌーの左右のバランスをはかる重しなのです。
腕木の太さや長さ、浮き木の長さや幅などは一定の基準があります。
腕木は船体と同じ長さが基準ですが、それより短いとスピードは出るが転覆しやすい、長いと安定しているが遅い。
また、浮き木は船体の竜骨(船底部)の長さの半分が良いといわれますが、それらの寸法は船大工が経験によって決めます。
アウトリガー(腕木)
プラットホーム(荷台)
帆
今の船のようにまったく機械に頼らない、人間の知恵と力と自然によって航行しているのはすごいですね。
私の若かりし頃は、何でも手作りでした・・・・・
END
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