小林美希の取材日記(つぶやき)

取材を通して思う素朴な疑問や、日々の出来事を紹介します。 

記憶力

2011-07-23 13:53:51 | Weblog

 一昨日から台風一過の影響で涼しく過ごしやすい日が続いているが、なんだか寝付かれずに昨日は睡眠時間1時間半で朝から、つくばまで行って夜まで取材などが続き、疲労困憊。昨夜はさすがに、すぐに眠って、10時間くらい寝たのだが、まだ、ぼんやりしている。

 が、昨日はとても充実した1日だった。

 つくばの取材では、今まで問題だと思ってきたことが科学的に裏付けられ、遠くまで行った甲斐があった。

 夜の部では、久々に福島みずほさんの市民政治スクールに取材に行った。慶応大の金子勝先生が講演すると前日に知り、慌てて申し込んだのだった。金子節も勉強・刺激になったのだが、金子先生とは、現在の若者の労働問題を広げてくれた一人である。

 私がエコノミストで初めて若者の非正規雇用の問題を特集したのは2004年5月。「お父さんお母さんは知っているか 息子と娘の“悲惨”な雇用」が組まれた。それまで、当時は「労働問題は売れないからやらない」という風潮があり、何度も企画は廃案となっていたが、粘り続けた結果、第2特集ではあったが実現した。当時、内部ではあまりウケが良くなかったのだが、金子先生がその特集を見て朝日新聞の論壇時評で取り上げてくれたのを機に(同時期に日経新聞の経済論壇でも取り上げられた)、編集部でも若者の雇用問題を続ける気運が高まり、その後、11月には特集『子供を産めない職場の現実』を企画し、読者からの反響を受け、12月には伊藤忠商事・丹羽宇一郎会長(当時)インタビュー「中間層の崩壊」についてと次々に問題を提起することになる。

 そして、2004年12月の朝日新聞・夕刊・論壇時評、「2004年私の3点」で慶応大学の金子勝教授に、特集『息子と娘の“悲惨”な雇用』が選ばれ、27日、朝日新聞・夕刊・論壇時評、私が選んだ3点で、東京大学の児玉龍彦教授から、伊藤忠商事・丹羽宇一郎氏へのインタビューが選ばれた。

 その後、2005年2月には特集「結婚できない」男の現実(2月15日号)で、若者が雇用の不安定から結婚できない現実を指摘。
3月になると、それまで第2特集だったものが第1特集になり、「娘、息子の悲惨な職場」(3月22日号)が実現し、これも、29日、朝日新聞・夕刊・論壇時評に取り上げられたのだった。

 この頃、2004~05年は、実態を裏付けるデータがあまりに少なかったが、それでも、慶応大の樋口美雄先生が研究を重ねていたり、丹羽宇一郎氏が問題に敏感であったり、かねてより福島みずほさんが非正規問題をやっていたり。また、新進気鋭の民間研究者である、小林真一郎氏、熊野英生氏、門倉貴史氏などに試算をしてもらったりしながら特集の骨格はできあがっていった。

 金子先生は、下手をすれば埋もれていってしまう第2特集を見て、一般紙上で問題を知らせてくれた、ある意味での恩人であった。その当時、挨拶と取材を兼ねてお会いしたのはエコノミスト記者だった7年前となるが、昨日、改めて名刺交換をした際、フリーになった私の名刺を見た瞬間に私であることを気づいてくれ、個人的に感動してしまったのであった。

 えてして、立派な方は記憶力が良いことを久々に感じた日であった。



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