ある女性の話である。
社会人7年目、ここ3~4年は土日も深夜も関係なく、ひどい時は1日16時間労働で睡眠時間は4時間程度が数ヶ月続くような生活を送っていた。
過労で度々体が動かなくなったり、高熱が出て寝込んだり。頭(脳)のしびれ、生理不順、胃潰瘍……およそ、健康とはいえない状態でも、持ち前の気力と体力で乗り切ってきたが、そろそろ限界か。と思いながらも働き続けている。
ここのところ、また、体調が悪い。微熱、下痢、頭痛などが続いた。風邪かと思ったが、念のため、病院に行ってみた。
しかし今、彼女は「ひょっとしたら、もしかして、妊娠しているかもしれない」そういう気がしていた。
病院では、診察前に必ず妊娠の可能性を聞かれる。「少しでも“?”がつくなら、薬も出せないし、レントゲンも撮れない」と医師に言われた。
普段、働きながら自分が女性であることなんて微塵とも思わず仕事に打ち込んできた彼女にとって、妊娠の可能性があるだけでも風邪薬さえ飲めない現実を目の当たりにして、ショックなような、女としての自分の体を愛しく思うような。
「女」ということを、初めて強く実感した。
それと共に、女って、得なような損なような、なんとも言えない気持ちになってしまった。