さて、私は学生時代に、なんとも若気の至りで憲法学者になりたいと思っていた時期があった。
学会を覗いてみると、当時の私には、憲法に限らず、法律の学者は、重箱の隅のつつきあいで、意地悪というか、嫌な人たちだという風に見えてしまい、自分には向かないだろうと思って、学者になって政策提言、という道を選択しなかった。今はそうは思わないが!
さて、見解の間違いもあるかもしれないが、神戸大学法学部の憲法ゼミ、護憲派で知られる浦部法穂先生を師匠とするのであれば、この日に何か意見を書かないわけにはいかないだろう。
憲法9条を改正することを視野に入れた憲法96条の改正が参院選の焦点にもなっている。
戦争や自衛隊の問題というと、ちょっと、遠い感じもすることと、頭の中での漠然としたイメージでしか語れないので、少し、身近な話題、しかも、憲法9条だ、96条だ、なんて考えてもみない人にも分かりやすい話題で考えてみたい。
例えばだ。
憲法が簡単に改正されるということで、どんなことが起こり得るのか。
憲法とは国の基本法で、どんな法律よりも優位な存在。本来、国の理想を掲げる最高法規である。
だから、どんな人にとっても、不利にならないように玉虫色でなくてはならない、という性格もあるはずだ。
が、例えば、憲法で守られる「表現の自由」のなかに、親が自分の子の写真を撮ってブログやフェイスブックにアップすることも含まれるだろう。
が、例えば、日本が積極的に軍事に関わることになると、その、わが子を写真に撮るということも禁止されるかもしれない。
理由はこうだ。子どもの後ろに、背景として軍事関係のものが映るケースがある。だから、国家機密漏えいだとかなんとかいって、写真を撮るな・・・と。
ちょっと似ているのが、「個人情報があるので、学校や保育園で写真を撮らないでください」と親に注意するみたいな間違った御触れ。おそらく、個人情報保護法をもとに、学校法人や保育園がそう言うことが多いらしいが、そもそも、個人情報保護法の対象は、顧客データを扱う事業者であって、個人ではない。親がわが子の写真をとり、たまたま他の子がうつっても、それが個人の楽しみを目的とした撮影である限り、誰からも禁止されることはないのだが、変な拡大解釈がされている。
軍事国家に向かうということは、そういうような感じで、いちいち、個人の生活に検閲行為のようなものが入る可能性があり、おちおちと、家族写真も撮っていられなくなりかねない。
そこまで話を落とし込めば、憲法なんて関係ない、と思っていても、ただことではないと分かるような気がするのだが、、、どうだろうか。