クラシックな音楽的生活

日々、家の中にヴァイオリンとピアノの音が流れています。

自分で答えを見出していた

2015-03-22 | 下の娘ごと

「全然指が動かなかった」

「どうしても間違える」

「もう無理」

「もういやだ」

ネガティブな言葉をLINEで告げてくる娘。

あまりの落ち込みぶりに、

「ママ、そっちに行った方がいい?」

と聞くと、

「うん、来て。」

そう答えつつも、

「眠いからとりあえず寝るね。」

ん?

寝る?

今この時に?

繊細なんだか、図太いんだか。

確かにもともとよく寝る子だし、

試験中や忙しい時なども、気分転換に15分昼寝をしたりする。

寝ることで、気持ちが落ち着くのならそれに越したことはないけれど。

私が大学に到着した時には、すでに練習室でピアノに向かっていました。

何か吹っ切れたようで、自然な笑顔を見せてくれました。

「絶対弾ける! 弾いてみせる! とか気合を入れて臨むと、

 かえって体が硬くなって、指も動かなくなるみたい。
 
 だから、次は楽しく弾いてこようと思う。」

私が言葉をかけるまでもなく、

すでにきちんと自分で答えを見出していました。

強くなったね。

どこか達観した様子で、心静かに最後の練習をしていました。

そしてついにその時間がやってきました。

1回目の実技試験で失敗をし、どれだけ心が折れたことでしょう。

努力は必ずしも報われないことを知って、どれだけ傷ついたことでしょう。

同じ日、わずか数時間後の再挑戦。

1回きりのチャンス。

後はありません。

崖っぷち。

また失敗するかもしれない。

これまでの努力が無駄になるかもしれない。

あんなにも熱心に指導してくださったE先生をがっかりさせてしまうかもしれない。

そんな気持ちが渦巻く中、

娘の言う「楽しんで弾く」というのはどれだけ難しいことか。

もう、娘の心を乱すようなことは何も言えません。

「楽しんで弾いておいで!」

と声をかけて送り出しました。

1人で待っている時間はとても長く感じました。

ピアノ科の生徒最後の2人となった段階で出て行ったのでね。

転専攻試験直前になって、弾く曲順が変更になりました。

というより、最初から直前に言い渡されることになっていたのか。

バッハの平均律→ショパンのエチュード→曲 となりました。

曲→バッハの平均律→ショパンのエチュード のはずだったのに。

そろそろ弾き始めたころだろうか。

とてつもなく緊張する。

自分が弾くわけではないのに、ただ待っているだけなのに。

付属高校の入学試験の時以上の緊張。

考えたくないけれど、

かわいそうでそうなったら嫌だけど、

でも、ダメかもしれないな。

自身もピアノの先生をしているママ友が言っていたっけ。

「学科の試験は、間違えてもすぐに消しゴムで消せる。

 だけど、ピアノは(ヴァイオリン等他の楽器も含めて)間違ったら終わり。

 もう取り消すことはできない。」

本当にその通り。

一発勝負。

1回のミスが致命的な結果を生む。

厳しい世界。

どれだけのプレッシャーを背負って舞台に上がるんだろう。




結果が出た日、苺のロールケーキを食べました。



クリームも苺入りでピンク色。




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