@「竹槍念仏」は悪玉を抑えるには言葉や金だけでは用を足さない。どうしても「力には力」(武力には武力)しかないと悟る仏僧姿の渡世人の小説だ。現代でも始終問題を起こす輩には「力」でネジ防ぐしか方法がない場合が多い。人は強っぱりで強情、実は弱気で意気地なしも多いと聞く、それに効く特効薬はやはり「力で示す」(体で覚えさせる)が一番と言えるだろうか。
『人である以上は、なにびとに限らず人の本分を尽くさねばならない。
人間である以上は、他の動物と異なる人間らしい道を歩まねばならない』山岡鉄舟
『山本周五郎作品集7』山本周五郎
・「曾我平九郎」
信長の家来で堅物の男が信長が仕向けた娘を受け入れず、信長は大層な剣幕で堅物男を捨てた。その後男はその娘を探し出し機を伺っていた。それは桶狭間の戦いで今川義元を最初に斬りつけた武将として後日真実が明らかになると、信長は大層満足した。それもその斬りつけた武将は2人とあり、2人目が武将の格好した者で信長が推挙した娘(妻)だったことで信長は感激した。 人は人の真心(恩恵)を読む力も必要だ。 「恩返し」
・「癇癪料二十四万石」
癇癪持ちの武将が相手の悪戯から法を破り、真っ当な生き方を選んだ。すると幕府は24万石を摂取してしまった。だが武将の妻は名誉を守るため家督を捨てる勇気を褒め称え、後日悪義を働いた武将も家督を取り上げられ癇癪持ちの武将より少ない石高武将に成り果てた。武士として守ることに徹した勇気を誉めた妻 「武士の名誉」
・「竹槍念仏」
身を仏僧として地方の貧相な寺に住む元清水次郎長の子分で昔は賭け事も多いにした男がいた。ある時村の娘がヤクザ者に襲われそれを力ではなく自分の蓄えた金で肩を付けた。ところがまたそのヤクザが渡世人をなぶり殺す事件に巻き込まれ、果てにはその仇の助っ人としてヤクザと勝負することになった。 悪人は力で抑えるのが一番と悟った。「力には力」