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ちょっと気になるいい事、言葉、最新技術

書籍、映画、旅、最新技術から選んだ心に残るもの。速読者向けは、青文字表示。内容は小学生でも理解できる表現使用

トリックを創り解き明かす数々の短編小説『幻の屋敷』

2022-05-17 09:55:44 | ミステリー小説から見えるもの
ミステリーというよりトリック、思い込みを暴く短編小説の数々。トリックを作る発想は素晴らしいものがあるが単純で短編なので残念だが面白みが欠けてしまう。「幻の屋敷」にある屋敷を壊し、別の場所にそのまま移転、屋敷を建て直す。現代の日本では家も「使い捨て」家屋が支流で全て廃材として処理されてしまい、原資が不足する日本はもっとリサイクルなど知恵が必要かも知れない
#075幻の屋敷
マージェリー・アリンガム2022年5月
「幻の屋敷」
    昔あった屋敷は一度移転のために買い取られ移動することになっていたが、事情がありそのまままた転売、違った住所に建て直されたことで昔の住所には跡形もなく消えてようになった。
「見えないドア」での殺害    
    屋敷に長年勤める2人の老人、実は一人はほとんど目が見えない状態で音、声で判断していたことで証言の裏付けが曖昧だったことで犯人逮捕となる
「秘密の書類」
    大切な書類だと言い渡されたものが開封され恐れた女性が相談すると、実はその書類は犯罪の証拠になる書類で警察の元で調べられた。渡した本人は偽って防衛関係の偉い人としていたことが混乱を極めた。
「奇人横丁の怪事件」
    奇人横丁に住む一人の老人は元役者、役柄を表に出すことで周りを驚かしていた。
「聖夜の言葉」
    飼い主にとても献身的な犬が人間の言葉を話す。


不倫が招く最悪の人生模様『さよならを言わないで』(上・下)

2022-05-13 07:40:10 | ミステリー小説から見えるもの
ジェフェリーのあらゆる行動はあまりにも無計画で情けなく、最愛のコンスエラを最後に裏切りヴィクターとの関係を拗らせ、殺害容疑者者とさせてしまったのは非常に情けない。仕事が優先か愛情が優先か、を問われ仕事と名誉を優先した結果、優柔不断な男の行動で最愛の女性の人生を狂るわせた罪は全て男の方に原因がある。不倫が招く最悪の人生模様だ
#071・#072さよならは言わないで(上・下)
ロバート・ゴダード2022年4月
「概要」建築家ジェフリーは殺人を報じる新聞記事に驚愕する。人妻コンスエラが毒を盛り、夫ヴィクターは助かるが姪が死亡。このヴィクターの家こそ彼の出世作だった。依頼主の妻として出会ったコンスエラ。愛のない結婚生活に耐える彼女といつしか激しい恋に落ち、駆け落ちまで約束するが、直前に建築家としての野心のため彼女を棄てる。一人の女性の夢を踏みにじった罪の意識は12年後の今も消える時はなかった…彼女に殺人など犯せるはずがない。そう確信した彼は事件を調べ始めるが、あらゆる証拠は彼女の犯行を裏付ける。
ージェフェリーは恋仲になったコンスエラとその娘ジャシンタと家出を企てていたが、建築家としての出世と名誉を優先に取りやめたことでジェフェリーには災難が降りかかる。ジェフェリーはホテルの娘と結婚、その一人息子息子が病気でなくなり、妻の父親のオーナーの新たに建設したホテルも火事で壊滅してしまった。
ージェフェリーはコンスエラが毒殺を計画するような人物ではないと確信し、そのアリバイ探しに行動する。イギリスの優秀な弁護士に委託、ヴィクターの親族を訪ね歩き仮説を立てた。それはヴィクターがコンスエラの宗教上離婚できない事を知り追い出したい事、ヴィクターの兄の娘が毒殺に利用されたことを立証しようと動き出す。
ーコンスエラの従僕が自殺、兄宛に書いた手紙にはヴィクターからの命令でコンスエラの行動を逐次報告させられ、手紙も管理されていた。よってジェフェリーとの駆け落ち計画は事前にばれており、ヴィクターはその為にジェフェリーの妻の父親の会社を買収し新たなホテル建設をジェフェリーに委託することだった。
ーコンスエラの兄がヴィクターの金庫に遺言書があり、その継承者が書き換えられたと訴え、屋敷にそれを盗みに入るが、これまたヴィクターの罠となり兄はその場で殺されるという事件になった。それは正当防衛でヴィクターは無罪となる。その時ジェフェリーは札束の一枚だけを抜き取っていた。その後札は盗難事件があった時の札だと判明した。書き換え後の遺言書には仮説で家庭教師でかつヴィクターと結婚したいと思っていたローバックだと思っていた。
ーコンスエラは一審で死刑判決となるが、コンスエラは表情を変えず「神の御名にかけて全ての者を許す」と法廷を去った。その後、疑惑の手紙も、全て却下、控訴も却下され、絶望的になる。
ージェフェリーの妻から電報(罠)を受け駆けつけるが本人は知らないと拒否、その夜、警官が「ヴィクター毒殺容疑者」として逮捕される。ヴィクターの下僕ジョンとヴィクターの兄の息子はカラクリを知っているかのように話をするが・・・
ーヴィクター家のメイドリジーは数年前に自殺を図ったが、リジーとヴィクターの下僕ジョンとは結婚の約束をしていた間柄だった。リジーはヴィクターの側女としていたことが原因だとわかり、それが恨みとなって行動した・・・
ー執行の当日、処刑は急遽中止となった、そのキッカケは新聞記事を見た元農園の仲間の行動だった。
ーエピローグ 執念に燃えた遺産相続人だと勘違いをしたヴィクターの兄の息子が拳銃を構えてコンスエラが刑務所から出てくる所を待ち伏せしていた・・・・


人の魅力「フック」は比較しても仕方がない『鉤』

2022-05-09 08:01:18 | ミステリー小説から見えるもの
「世間は厳しい」と感じるのは、自信過剰ではなく、売れっ子との比較「フック」(鉤)魅力が自分と何ら変わらないのに売れる事に恨みを持つことがある。それはやはり「運」がある人間と、無い人間の差としか言いようがない。だから、「運」の良い人間との接触を多く持つことが一番だと経験から言える。「運の良い人間」には周りに多くの助け人がいることが分かり、互いに助け合っていることだ。
『鉤』ドナルド・ウエストレイク
「概要」”あなたの小説を私の名前で出版しよう”、ベストセラー作家の提案に、中堅作家ウェインの心は揺れた。収入は山分け、55万ドルが手に入るのだ。だが条件がひとつあった―ウェインはその作家の妻を殺さねばならないのだ。殺しに狂わされ、徐々に荒廃してゆく人間の内面を描き、傑作『斧』に続いて名匠が放つ戦慄の犯罪サスペンス。
ベストセラー作家ブライスは再婚者ルーシーとの離婚調停中で新たな小説が全く書けず、別に新たに恋人イザベル(3人の子供がスペインにいる)がおり、最初の妻エレンとの間には3人の子供がいた。
中堅作家ウエインはスーザン結婚しているが子供がいない、8年間ヒット作もなく妻の支援で暮らす
ーブライスのたった一つの条件を実行する。ウエインはきっかけを待っていたが突然訪れそれも衝動的に、ルーシーを殴り殺してしまった。その妻のスーザンにも打ち明けることで心を落ち着かせた。
ブライスは事件後、情緒不安定に陥り中々新作に取り付くことが出来ず、住居を変える。でも中々スランプから抜け出されない状態が続き、取次する編集者から次作が見せれなけっれば契約の見直しをすると脅される。 ブライスはウエインの協力があればできそうだと強調しウエインを呼び寄せる。ウエインは自分の持ち玉をブライスに提供し、完全にゴーストライターになる覚悟をしていた。



裏切りは仕返しとなって返って来る『 Xの悲劇』

2022-04-20 08:00:38 | ミステリー小説から見えるもの
警察・検察捜査が陥りやすい仕掛けは、犯罪となる証拠が関係者が犯人となり、犯人と思われる関係者も殺害されることで「手詰まり」状態を仕組んだ巧みな犯罪だ。謎を解く鍵、警察(読者)の目を最後まで欺き続けさせるこの小説は素晴らしいの一言に尽きる。(最後まで犯人が特定できない謎) 人は遠く昔の事でも裏切られることへの恨みがいつか仕返しとなって起こってもおかしくないと思うばかりだ。
『Xの悲劇』エラリー・クイーン
「概要」満員電車の中で発生した殺人事件。被害者のポケットからは、ニコチンの塗られた針が無数に刺さったコルク球が発見された。群衆ひしめく巨大なニューヨークで続く第2、第3の大胆な殺人にも、目撃者はいない。
3つの死体との関連を解く謎。
    1、満員電車内でコルク球にニコチンが塗られ急性中毒症で発見された死体。 
    2、電車の車掌が船の埠頭で死体となって発見。
    3、裁判で無罪放免になった矢先の電車内での拳銃による死体。
ー死体には偽装するための証拠が残った    
    1、コルク球を持っていた「手袋」
    2、車掌の身体特徴「赤毛と足の傷」
    3、切符を入れた上着ポケットの場所と死体の指の形
一人の同一犯が犯せる仕組み、それは変装と偽名
    昼間勤務の車掌・セールスマン・深夜の電車の車掌(巧みに時間を使い分ける)
ー昔の仲間と鉱山を発見、だが妻が殺害され罪を被され投獄、長年の恨みを計画する
ードルリー・レーン(劇作家兼推理作家)が刑事と判事への忠告(判断ミスが起こる原因)
    「罪と罰に対峙する心構えにおいて、多くの演劇作者が戯曲との解釈について犯すのと同一の誤りに陥っておられるようです」
    「人間が自分の命を狙う相手に直面した時に、いかに漠たるものであれ、加害者の正体を示す手がかりを残すことができたら、犯罪と刑罰の問題はずいぶん簡単になるだろう、と」
    「私は奇跡など信じませんし、無論自分で起こしたこともありません。この度の興味深い捜査で私が成功を収めることができたのは、いわば、観察に基づいてそのまま考え出した直接の結果に過ぎないのです
ー「永劫の刹那」
    絞首刑に処せられる直前の脳裏に浮かぶ人生の出来事・最後の瞬間に見える


誹謗中傷、命の重さを知る『アントキノイノチ』

2022-03-25 07:53:08 | ミステリー小説から見えるもの
世間では自分の責任を回避した形で、人の悪口を勝手に誇張し吹聴する輩がいる。特にSNS、Twitterで誹謗中傷的で言いたい放題の輩もいる。例えそれが誰かの売り言葉・表現でも現在では犯罪であり刑罰(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金等)が徐々に厳しくなっている。その被害者が「命を落とす」ことに繋がれば重刑となる。ネットでは「プライバシー保護」も逆に保護できない域になりつつあることを自覚しておくべきだ。 (ドイツは事業者にも65億円の罰金)
『アントキノイノチ』さだまさし
「概要」杏平はある同級生の「悪意」をきっかけに二度、その男を殺しかけ、高校を中退して以来、他人とうまく関われなくなっていた。遺品整理会社の見習いとなった彼の心は、凄惨な現場でも誠実に汗を流す会社の先輩達や同い年の明るいゆきちゃんと過ごすことで、ほぐれてゆく。けれど、ある日ゆきちゃんの壮絶な過去を知り…。「命」の意味を問う感動長篇。
遺品整理の会社に勤め出した杏平は遺品から「人のつながり」を伝える
    人はいつでも親子とのつながり・社会とのつながりを求めていると言うこと
    遺品整理屋は「天国への引っ越し屋です」亡くなった人を送りだす商売と
    遺品から人と人を繋ぎ、人に伝え、個人の思いを届ける使命があると
    人それぞれ違った人生から「命の重さ」や「生きる凄さを知る」知り
    亡くなった人の良いものだけを残し、亡くなった人の面子を守る仕事
ー繊細で純粋な若者の受ける衝撃は大きい、人を信じれば信じるほど嘘だと知った時の反逆心
    ましてや嘘を撒き散らされ周りからの反感を買われた時など
    人は心的ストレス障害となり心の閉鎖につながっていく(ノイローゼ)
ー人には人それぞれの「人間の心の振れ幅」があり「心の傷」は自分しか治せない
    人を許せる心と許せない心の葛藤が「狂気」変貌することすらある
    心の中にある「あの時の命の重さ、あの時失った命、あの時失われなかった命」
ー生前依頼(生きている時に亡くなった後の処理をお願いしておく商売)
元気な人、それは「眼に力がある人」 眼を輝かせて仕事をしている人
ー「リーダーは一番弱いものの代弁者でなくちゃならない」
ーこの小説「遺品整理業」はNHK「無縁社会」として放映された


身の丈を知ったお世話『ホテルジューシー』

2022-03-24 07:49:20 | ミステリー小説から見えるもの
「一夏の思い出、身の丈を知る」
旅は非日常を探すもの、日頃とは違う景色に、雰囲気に癒され、そして人との出会いも楽しむもの。この小説でも宿に泊まりに来るお客は様々でそれぞれの人生を背負い新たな物語を作っていく姿は面白い。宿に泊まる人々、一人旅、行商人・商売人、老夫婦、気晴らしの学生、恋人探しの旅人、訳ありの追われる身の旅人などなど宿で知り会うもの楽しいものだが、人によっては余計なお節介など無用な人もいる。今流なのか「旅」はいろいろあると言うことだ。人にはそれぞれの事情があり、訳ありの行動もあると言うこと。文中で気に入った言葉:
「こんなところで2回会ったら運命、もう友達よ」
「人生はたまに、他人の手でかき混ぜられた方が面白い」
「人間味あふれる職場って何かいい感じ」
『ホテルジューシー』坂木司
「概要」大家族の長女に生まれた天下無敵のしっかり娘ヒロ。ところがバイトにやってきた那覇のゲストハウス・ホテルジューシーはいつもと相当勝手が違う。昼夜二重人格のオーナー(代理)や、沖縄的テーゲー(アバウト)を体現するような双子の老ハウスキーパーなど規格外の職場仲間、さらにはワケありのお客さんたちにも翻弄されながら、ヒロの夏は過ぎてゆく――南風が運ぶ青春成長ミステリ!!
太っ腹の女将さんタイプのヒロ、世話好きで、曲がったことが出来ない真面目なでちょっと茶目な女性だ。世話好きも度を超えると胡散臭くなるが美人でもないヒロはとても人間味ある性格、だから多少荒く男性っぽくなる。
ーリゾート宿から移った「ホテルジューシー」は古ぼけた宿で人も少なくヒロに今までない経験をさせることになる。それは宿の受付から帳簿までの仕事をほぼ任されるほどの仕事となった事とお客との出会い。人のお世話の「身の丈」を知る



「自分の人生は自分しか決めれない」孤児の想い『私の男』

2022-03-19 07:38:36 | ミステリー小説から見えるもの
小説は時系列を逆に遡りながら検証していく、珍しい発想のミステリー小説だ。独身で若い叔父に養女として引き取られ育てられる「花」。震災孤児の辿る環境は叔父の言われるまま疑いもなく育つ。他に頼る家族も親戚も誰もいないことが、孤児の人生を変えてしまった。叔父、花二人とも家族を亡くした「似たもの同士・孤児」それに「家族愛・家庭・性・情」・・・「自分の人生は自分しか決めれない」と悟ったことだ。
『私の男』桜庭一樹
「概要」私は腐野花(くさりの・はな)。着慣れない安いスーツを身に纏ってもどこか優雅で惨めで、落ちぶれた貴族のようなこの男の名は淳悟(じゅんご)。私の男、そして私の養父だ。突然、孤児となった十歳の私を、二十五歳の淳悟が引き取り、海のみえる小さな街で私たちは親子となった。物語は、アルバムを逆からめくるように、花の結婚から二人の過去へと遡ってゆく。空虚を抱え、愛に飢えた親子が冒した禁忌、許されない愛と性の日々を、圧倒的な筆力で描く直木賞受賞作。
花は震災で家族(両親、兄弟)を亡くし震災孤児となる。親戚で唯一淳吾が見受け人となってくれたが独身で若い叔父だった。叔父は海上保安庁で働く父親に似たちょっと変わった性格を持っていた。叔父も両親とも早々に亡くした孤児だった。
ー花の将来を気にしてお世話してくる老体のおじさんが叔父との暮らしを批判しだし、花に早々に叔父との生活を諦め、別に移れと強要していく。が、事故が起きてしまう。
ー小さな村ではちょっとした噂が暮らしに窮屈さを徐々に与えたことで叔父は東京に出る決心をする。そこに村にいた警察が突如として現れあの事故の真相を正し始めると、叔父の行動が変わった。



「洗脳」とは恐ろしい武器にも変わる『誘拐遊戯』

2022-03-17 07:51:56 | ミステリー小説から見えるもの
「洗脳」とは恐ろしい話術だ。この小説では様々な人物を洗脳させ、あたかも犯人かのように行動をさせ、犯人に仕立てる。結末の節は犯罪の辻褄がどうも合わず余計だった気もする。さて、よく宗教団体などにある「洗脳」は長く時間をかければかけるほど疑いなく効き目は高く、それが恐ろしい武器、犯罪にもなると言うことだ。この家族の縁をも裏切った背景にはやはり「大人の都合」だった。
『誘拐遊戯』知念実希人
「概要」東京・白金で暮らす女子高生が誘拐された。身代金は5000万円。犯人を名乗るのは、4年前の女子中学生誘拐事件の犯人「ゲームマスター」。交渉役には元警視庁刑事・上原真悟を指名。ゲームマスターのミッションを果たすべく、上原は池袋、豊洲、押上など、東京中を駆け回るが……。
ー上原はゲームマスターが言う通りの指示とゲームで動いたが、最後にはまたしても少女が殺害されては発見された。4年前と同じ結果となってしまう。犯人は「以前会ったことがある」と言う言葉を残して後半のゲームを予告した。
ー上原はゲーム中、自分の罪を告白、癌で数ヶ月の余命だと言うことと4年前の捜査中に同班の女性と不倫をしていたことで、娘は父親と完全に絶交となる
様々なゲーム的脅迫を受けた上原は自分の信頼していた人物に裏切られ、憎まれる。



初恋への思いと欲求『夏、19歳の肖像』

2022-03-14 07:57:27 | ミステリー小説から見えるもの
世間知らずの青年19歳、相手は21歳の謎の美女、儚い恋は手の届かない、人妻的存在だった。一目惚れで恋心を抱いた相手は歳も、住んでいる環境も全く違った世界の人だったのだ。 青春の一コマのような小説。興味持ったことには好奇心を持ってとことん追求、前に出てみることだ。そうすることで新たに何かを発見でき、長い人生での良い経験となる。 やらないよりやって方がいいと言うことだ。
『夏、19歳の肖像』島田荘司
「概要」オートバイ事故で入院中の青年が病室の窓から、双眼鏡で目撃した「谷間の家」の恐るべき光景。父親を刺殺し、遺体を工事現場に埋める美しい女性―しかし、青年は彼女に恋をしてしまった
ー青年は美しい女性を間近で見たいとストーカー的存在となり、彼女がアルバイトの勤め先まで突き止める。そこで青年もバイトをすると担当だという彼女と初めて会話をすることができた。その後も何度かバイト先と昼食をする機会を作り、思い切って映画に誘った。家まで送っていくと彼女の母親に叱られ、青年も貶された。母親は厳しい人でそれは亡くなった夫の性格そのものだった
ー彼女は家出を覚悟で青年を頼り、一人暮らしを始める。それは「家から、母から離れたい」と言う気持ちだった。その母は異常なほど娘を子ども扱いに叱り付けるだけの存在となっていた。
ーある日、ヤクザ三人から襲撃を受け致命傷を負う。目を覚ますとそこには彼女が・・だが三人のヤクザに連れ去られる。 
ー男として助けたいとバイクで別荘に突っ込むと、彼女から真意を告白される。それは彼女はヤクザのボスの囲い女で、病院の窓から見て亡くなったのは子供、あの時の工事現場に運んだのは子供のおもちゃなどで実際の父は昔亡くなっており、今の父(パパ)はヤクザの大ボスだと言うことがわかった。


スナイパーとの対決『パーソナル(上巻)』

2022-03-10 07:53:53 | ミステリー小説から見えるもの
名誉のある者は更なる名誉・名声を獲得しようと「悪知恵」を働かせ、邪魔者を一掃させる。この小説にある末端で動く者には最後まで誰を信用し、誰が信頼できるかを決めない限り結末が読めない。「疑うことから始める」と捜査関係では言われるが当たり前でも一般社会では難しい
上巻「概要」フランス大統領が演説中に狙撃された。未遂に終わったが、一キロ以上の射程を狙えるスナイパーは世界にひと握り、かつてリーチャーが逮捕した米軍の元特殊部隊兵士もその一人。捜査に加わったリーチャーが、海を渡り真相を追うと、第二の暗殺事件が。
ーロンドンではG8が開催予定にあり、そこで主要国の代表(米国、ロシア、英国、ドイツ)を狙うと言う予測のもとリーチャーが連れCIAのナイスと動くが主要国にいる凄腕スナイパーを選び出し捉えることを試みた。するとリーチャーを狙ったとする射撃でロシアのパートナが絶滅、いよいろリーチャーの昔捉えたスナイパーが反抗に関連しているとロンドンに向かう。
ーロンドン市内の視察で偽警官2人に襲われたが無事乗り越えると、その偽警官の背後にはロンドンのギャング組織が絡んでいることがわかり慎重な動きをせざるを得なくなる。


名誉・名声のために利用された元兵士たち『パーソナル(下巻)』

2022-03-10 07:53:20 | ミステリー小説から見えるもの
@最近の情報化戦争では敵国などのハッキングにあっても国家の致命傷にならないように、最新のシステム(コピー)にあらゆるガラクタ情報を詰め込んでいる
、と言う。 人を撤退させる方法の一つは、人がイラつく超低周波を高容量で流すことで人間を我慢出来なくなるという(敵対防御)
名誉のある者は更なる名誉・名声を獲得しようと「悪知恵」を働かせ、邪魔者を一掃させる。この小説にある末端で動く者には最後まで誰を信用し、誰が信頼できるかを決めない限り結末が読めない。「疑うことから始める」と捜査関係では言われるが当たり前でも一般社会では難しいそれが直属の上司であれば尚更だろう。
下巻「概要」潜伏中のスナイパーたちを探して、ロンドンの暗黒街に足を踏み入れるリーチャーとCIAの才媛ナイス。無法のセルビア人組織や、ギャング集団ラムフォード・ボーイズを相手に、ふたりは命を賭して闘いを挑む。事件を計画した、黒幕の正体は――シリーズ最高潮、一気読み必至のサスペンス・アクション!
ーギャングの家に狙撃する輩がいることを察知していたロンドン警察はリーチャーとナイスに相談し襲撃方法を考えた。まずギャングのボスを表で襲撃し、最後に狙撃手を狙う。 
ー実は世界にいる狙撃手等を一掃し、且つそれに関わる人物リーチャーなども最後に一掃することを目的とし、その背後の理由は、将軍の退職する最後の花向け、名誉をさらに深めるための将軍が仕掛けた罠だったのだ。

毎日変化のない生活から人生脱却『クレイジー・ヘブン』 

2022-03-08 07:44:43 | ミステリー小説から見えるもの
田舎から出てきた圭子には才能もなくヤクザの囲い美人局になる、言われるままの苦しい生活を強いられた。 現実、人間、誰も苦労なしでより良い生活ができるはずがなく、他人頼りの生活をするしか選択がないもの頷ける。人は生まれつき何かの才能がある、ただそれを見出せないだけだと悟ることだ。慢性生活からの脱却は自分次第。誰一人苦労なしの生活はあり得ない。
『クレイジーヘブン』垣根涼介
「概要」旅行会社に勤め、ありふれた日常への疑問を抱えて日々を送る坂脇恭一27歳。冴えない中年ヤクザと同棲し、美人局の片棒をかつぐ元OL田所圭子23歳。ある時、圭子が恭一の同僚をカモろうとしたことから、二人は出会い、絶望の底なし沼へと転がり堕ちていく。揺れる心、立ち塞がる枠(フレーム)――やがて、境界線を跳び越えて走り出した二人が掴んだ自由とは?
ー「クレージーヘブン」とは精製コカを水で薄めた催淫剤とある。セックスを最高潮に盛り上げる液体で中年ヤクザはそれを販売し生計を立てていた。その男の下には美人局の圭子がカモとなる男を誘い所謂「売女」を売り物に金をムシ取る脅しもやっていた。
ーある日、圭子のカモとなったのが恭一の同僚で、会社から毎月数万円を盗んでいた借金まみれの男でカスを引いたことでヤクザはカモに落とし前をつけるようと呼び出すと、代わりに恭一が現れる。 恭一は度胸もありヤクザにも気後れしない性格で暴行、遂に一線を超えてしまう。
死体を山に埋め、車を海に落とし、ヤクザの男が逃げたかのように全ての証拠を消滅した。
ーそれ以来、圭子は恭一と同棲生活をするが、圭子の自由を勝ち取るためにヤクザの館に大金とクレージーヘブンを盗み、遠方へ逃げることを決意する。
「過去を引き摺るものは、北へと逃れる。過去を清算するものは南へ足を運ぶ」と2人は南へむかう。


囚われ娘は親のわがまま『囚われのイブ』

2022-03-05 07:45:19 | ミステリー小説から見えるもの
親を知らない子は、惨めでとても可哀想だ。全て親の都合で離婚なり、別居なりで子供には全く関係なくその悪質な環境を強いられてしまうからだ。多くの所謂不良少年少女の源は親のせいかも知れない。それほど親は子にとって重要な存在であり小さい頃からの環境と躾が善にも悪にも転がるのだ。
『愛するとは、自分の幸せを相手の幸せに重ねることである』ゴットフリート・ライプニッツ -
『囚われのイブ』イブ・ダンカン
「概要」死者の頭蓋骨から生前の顔を蘇らせる復顔彫刻家イヴ・ダンカン。その腕を買われて数々の難事件を解決してきたが、ある日何者かがイヴを拉致する。犯人の要求は殺された息子の「顔」をイヴに取り戻させること。その裏には歪んだ愛と恐るべき計画が隠されていた。公私にわたりイヴを支えてきた刑事ジョーは決死の捜索を行うが、封印された過去が暴かれ…
犯人は何故複顔彫刻家イブを攫われ囚われたのか、何故息子の顔を復元させたかったのか。5年もかけて計画を練ったその裏にはイブと犯人が探し出した秘密が隠されていた。
ー犯人の息子が射殺された怨念を晴らす為、人間関係を捜査すると意外な関係が浮かび出てきた。そもそもその息子はテロ組織と繋がりテロ攻撃を指揮する将軍の娘を殺害したことから事が始まっており、将軍は娘の仇を殺し屋に依頼したことだった。
ー将軍の一言「60歳近くになって、国家のために尽くしてきたつもりだった。しかし、世界情勢は悪くなる一方だ。こんな世界に生まれても幸せになれるはずがない。そう思っていたが、いざあの子が産まれてみると、考え方が180度変わった。」(生きる喜び、生きがいとなったのだ)


人生は悪いことばかり続かないと思うこと『真夜中の太陽』

2022-03-04 07:58:27 | ミステリー小説から見えるもの
一人娘の命を救う為に罪を犯し、追われる身となった男。だが、男は周りに救われ妻を娶り幸せな道を歩むことに。人生、悪いことは続かない。その時が最悪だと考えれば努力次第で幸運が巡ってくると信じる事が大事だ
どん底を知れば、もう上しか道は無いのだ。人生の勝負事も同じ、「勝よりも負けることの方が多い。誰もが連敗を続けてやっと勝てるようになるんだ。大事なのは、自分がたくさん挑戦することのほうが上手くなるって事」
『真夜中の太陽』ジョー・ネスボ
「概要」大金と銃を持った男がやってきたのは、少数民族サーミ人が住むノルウェーの北部。夏のあいだは真夜中でも陽が沈まない極北の地だ。男はウルフと名乗って素性を隠すも、教会の堂守のサーミ人母子としだいに心を通わせていくことになる。最果ての白夜のなかで狩猟者としての日々を過ごす男。自分もまた狩りたてられた獲物であることに、いつか訪れるだろう終わりにおびえながら……。
ウルフ、ことハンセンは麻薬の売買をして生計を立てていたがある日娘の病気に大金がいることがわかり、親元から大金と薬を盗んだ。だが、娘の命は既に亡くなっており、そこから大金と薬を持って地の果てへと逃亡が始まった
ー村には数える程の住民しか居らずホテルなどなく、ウルフは泊まるところをこの母子と会い狩猟の小屋を借りることにする。母レアは叔父の言いつけの男と強制的に結婚させられ、暴力が絶えなかった。子クヌークは身知らずの男とできた子供で一緒に暮らしていた。ある日夫の船が難破し亡くなったことで叔父は目覚めた。娘に辛い思いをさせた事を、そこでウルフに娘を攫ってほしいと願いっていた。
ー漁師(親玉)の部下がウルフを探し求めて村にきたがうまく舞い、逆に双子の夫もう一人がレアを攻めた時、ウルフはライフルでレアに危害が掛かる寸前で撃ち殺す。レアはこの男をハンセンとして偽装させ、小屋ごと焼き払う事にする。
ーウルフは初めて愛したレアを妻にすることを熱望するとレアも叔父も喜んで結婚、叔父は三人を隣国へ逃した。
本文で見つけた言葉
    「人生のほとんどは、自分にできない事に挑戦することだ。勝よりも負けることの方が多い。誰もが連敗を続けてやっと勝てるようになるんだ。大事なのは、自分がたくさん挑戦することのほうが上手くなるって事」


名誉を守る為の第三者への依頼『大いなる眠り』

2022-02-28 07:55:21 | ミステリー小説から見えるもの
権力のある人物は自分の「名誉」を護るため、自分ではなくある組織を頼り実行させる。その実行とは本人には危害が全く及ぼされない「法に触れるやり方を選ぶ」となる。現実政治家等に見られる起訴事件などは多くがこの種の行動であり、最後は「一才無関係」と交わす手だ。「金と権力、それに名誉」は最高位にいる人物だからこそ守ろうと必死になるのだ。今回のロシアのプーチンは地位と名誉を守るため軍事行動に出たが、その先どうなるか。やはり国民が決めていくだろう。
『大いなる眠り』レイモンド・チャンドラー
「概要」私立探偵フィリップ・マーロウ。三十三歳。独身。命令への不服従にはいささか実績のある男。ある午後、彼は資産家の将軍に呼び出された。将軍は娘が賭場で作った借金をネタに強請られているという。解決を約束したマーロウは、犯人らしき男が経営する古書店を調べ始めた。表看板とは別にいかがわしい商売が営まれているようだ。やがて男の住処を突き止めるが、周辺を探るうちに三発の銃声が……。
米国都市の警察管轄は複雑で、都市部は市警の管轄下、郡部は保安官事務所の管轄下にある。更に地方検事の捜査部というのがあり、互いの管轄での問題が生じている 管轄による長張は本文にあるような「人間関係絡み」から事件事故でももみ消す組織にも変化する。
スタンウッド将軍がマーロウに依頼された案件は家族の不祥事をもみ消すこと。二人の娘、一人は将軍との昔からの深い仲間、だが酒の密売業者が長女の夫、妹は精神的不安定さが夜の街の遊女化し、ついに金にまつわる脅迫に展開。ギャンブルの経営者は娘に金を貸しつけるなど将軍の名誉を維持するために動き始める。
ー本文にある言葉
    「人は一度法の外に足を踏み出せば、ずっと法の外に身を置くことになる」
    「我々は誰しも自由に憧れる。しかし自由であるためには、人は心身共にタフでなくてはならない。孤独に耐え、ことあるごとに厳しい判断を下し、多くのトラブルを一人で背負い込まなくてはならない。多くはどこかの時点で保護を必要とし、頼ることのできる組織を必要とする」