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ちょっと気になるいい事、言葉、最新技術

書籍、映画、旅、最新技術から選んだ心に残るもの。速読者向けは、青文字表示。内容は小学生でも理解できる表現使用

「不正と正義」反社会に対抗する『ストーンサークルの殺人』

2023-10-14 07:41:28 | ミステリー小説から見えるもの
「人への恨みは一生もの」と言われるが、このミステリー小説でも26年前の出来事の「復讐」から残忍な焼死体が次々と発見される。犯行は、当時犠牲者となった少年たちへの性的虐待が時を経て「復讐」へと展開、警察の捜査内容を知り行動できる人物だと捜査の終盤に見えてくる。だがポイントは反社会的な行動は社会の権力者には及ばないと言う事、それは自分達に降りかかる不正、異論を全て隠蔽し、低俗者の誰かを犠牲者すればいい事を知っているからだ。現代日本の政治社会でも「文章の改竄・隠蔽」した事件があったが、結局政治権力で全ての真理、正義をもやもやにされた事件がある事を記憶に残しておきたい。
文中で印象に残る言葉は「悪の勝利に必要なのは、善良なる人々が何もしないことである」
『ストーンサークルの殺人』M・W・クレイヴン
「概要」英国カンブリア州に点在するストーンサークルで次々と焼死体が発見された。犯人は死体を損壊しており、三番目の被害者にはなぜか停職中の国家犯罪対策庁の警官ワシントン・ポーの名前と「5」と思しき字が刻み付けられていた。身に覚えのないポーは処分を解かれ、捜査に加わることに。しかし新たに発見された死体はさらなる謎を生み、事件は思いがけない展開へ……
ー4人の何の被害者は横のつながりが全くない裕福な人物、だが焼き尽くされる状態で発見
ーポーの助手的存在のテリーはコンピュータに強いが、世間知らずが欠点の女性だ。
ー被害者の周りには犯行に繋がる証拠が少なく、ポーは26年前に発生した事件に遡り捜査を広げると宗教団体、幼児保護団体など「金」にまつわる事件だと確信。
ー証拠として捜査で疑問視されたのは「パーコンテーション・ポイント」(?マークを反対にした文字)で次々と不可解な難題が浮かび上がる。それは焼死体にポーの名前が刻まれており5番目の標的ではないかとされたこと、更にチャリティーパーティーでの招待状にもこのマークが使用され26年前のクルーズ船に注目が注がれる。それは児童養護施設にいた4人の少年と6名の富裕層たちで共に人身売買人(幼児虐待者)だったことだ。その人身売買人が次々と殺害されていることを知ると捜査は当時の4人の少年を追跡する事になった。


女性だからって行動、冒険しないのは人生勿体無い『SPEED』

2023-09-16 07:44:46 | ミステリー小説から見えるもの
不信と思ったことで真相を暴こうと行動に出る事、それは片や危険を意味していたが仲間の手助で勇気を持って行動することは素晴らしい。「仲間・友達」の相談出来る仲は何事も大切だ。一人で考えるのは一方的になりがちで、自分が有利な妄想的な考えでは危うい。人生、一人で行うより仲間とやる方がずっと大きく、思い切り変化しやすいはずだ。近年、「女性だから」とかではなく誰でも思った事を勇気を出して行動に、言葉にして自分の経験値を増やしていくことは時代にあっていると思う。文中の気になる言葉「人間が口にする言葉の90%は嘘だと思っても間違いない。この社会は嘘と建前でうまく機能するように出来ているんだ」
『SPEED』金城一紀
「概要」頭で納得できても心が納得できなかったら、とりあえず闘ってみろよ―。平凡な女子高生・佳奈子の日常は家庭教師の謎の死をきっかけに、きしんだ音を立て始める。謎を探る佳奈子の前に立ちはだかる敵。そして、偶然出会った風変わりなオチコボレ男子高校生たちに導かれ、佳奈子は歪んだ世界に敢然と立ち向かうことを決心する!大人気のザ・ゾンビーズ・シリーズ第3弾。
ー不信な自殺となった家庭教師の女性を探るために佳奈子は動き出す。暴漢に襲われ助けてもらった四人の停学処分中の学生がこの事件の手助けとなり真相を解決へと導く。
ー学園祭を利用した資金集めとそれに係る関係者への仕組みを上手く利用し始めた一人の男、中川が意外な夢を持っていたことに驚愕する。
「才能を持っている連中は自負心の強さから蜜を犯しやすいんだ。甘えん坊の連中に必要なのは、尻拭いをしてやる人間なんだ」
「これからの世界は強い人間の側と弱い人間の側の差がどんどんと広がっていくよ。この世界は何から何まで競争原理で成り立っているし、それに疑問を感じさせない様な仕組み作りに変えられていっているんだ」
「人間が口にする言葉の90%は嘘だと思っても間違いない。この社会は嘘と建前でうまく機能するように出来ているんだ」


「忖度」はプライド社会の常識か『狐狼の血』

2023-09-15 07:49:54 | ミステリー小説から見えるもの
@「わしらの役目はのう、ヤクザが堅気に迷惑かけんように、目を光らせる事じゃ。あとは、やりすぎた外道を潰すだけでええ」を自ら実践した一人の敏腕マル暴刑事とその部下となった巡査の探偵小説だ。警察は警察幹部の不祥事と悪事を消し、警察の知名度を堅持しようと警察の捜査範囲を超え暴力団に深入りしたその刑事を犠牲にしていく物語は、まさに現代の「忖度」(今だけ、金だけ、自分だけ)を選択している上層部の傲慢主義に映る。
『狐狼の血』柚月裕子
「概要」常識外れのマル暴刑事と極道の、プライドを賭けた戦い。作家、マスコミほか多くの賞賛を集めた、圧巻の警察小説。昭和63年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上のもとで、暴力団系列の金融会社社員が失踪した事件の捜査を担当することになった。飢えた狼のごとく強引に違法行為を繰り返す大上のやり方に戸惑いながらも、日岡は仁義なき極道の男たちに挑んでいく。やがて失踪事件をきっかけに暴力団同士の抗争が勃発。衝突を食い止めるため、大上が思いも寄らない大胆な秘策を打ち出すが……。正義とは何か、信じられるのは誰か。日岡は本当の試練に立ち向かっていく――。
「庶民の命を守ることが最優先」極道のいざこざに堅気が巻き込まれ死傷者を出さないことが捜査官暴力団系の使命だと仁義なき極道の争いに巻き込まれていく。その刑事が命をかけて組長、若頭等との交渉をしていく。その裏には、過去に極道の家族の仕打ちと警察内での裏切りがあると睨に捜査を続ける。


犯人の特定には「見所」が大切『謎解きはディナーのあとで』

2023-08-17 07:38:58 | ミステリー小説から見えるもの
@短編ミステリー集で、令嬢であり刑事の麗子と執事影山とが事件を解決していく。ミステリー事件等の犯行にはそれぞれ証拠と理由がある、影山の事件の見所がヒントになり事件を解決へとみちびく。それを見つけ推理から犯人を特定していく執事の見処が面白い。
『謎解きはディナーのあとで(2)』東川篤哉
「概要」立川駅近くの雑居ビルで殺害された30代半ばの女性。七年間交際していた二枚目の男は、最近、重役の娘と付き合い始め、被害者に別れを切り出したのだという。しかし、唯一最大の容疑者であるその元恋人には完璧なアリバイがあって――。困り切った麗子は、影山に<アリバイ崩し>を要求する。(「アリバイをご所望でございますか」)
 廃工場の二階を改装したおしゃれな部屋で、若い女性の死体が発見される。バスルームで死んでいた彼女は、全裸で湯船に浸かっていた。そして、クローゼットからはなぜか被害者の集めていた帽子が忽然と消えていて――
ー6つの短編、ミステリー事件を解いていく令嬢(刑事)と執事 執事の目の付け所が事件への解決を見せる。


人間の愚かさは制御できなくなって初めて知る『爆発処理班の遭遇したスピン』

2023-08-01 08:23:30 | ミステリー小説から見えるもの
人間の愚かさ、脅威、遺伝子操作された不可思議な獣、連続殺害犯人の心境、元警官の私生活変化など現代、近未来に発生、出現しそうな不可思議に変化する人間と生き物の生態小説はなかなか興味をそそる内容だ。それは現実にも存在し身近な「人間の生態」であり、人間が作り出す「生き物・獣」だからだと思う。今後遺伝子操作でSF映画などで見る突然変異の獣が出現する、その時人間は防御・守りができるだろうか。
『爆発処理班の遭遇したスピン』佐藤究
「概要」鹿児島県の小学校に、爆破予告が入る。急行した爆発物処理班の駒沢と宇原が目にしたのは黒い箱。処理を無事終えたと安心した刹那、爆発が起き駒沢は大けがを負ってしまう。事態の収拾もつかぬまま、今度は、鹿児島市の繁華街にあるホテルで酸素カプセルにも爆弾を設置したとの連絡が入った。カプセルの中には睡眠中の官僚がいて、カバーを開ければ即爆発するという。さらに同時刻、全く同じ爆弾が沖縄の米軍基地にも仕掛けられていることが判明。事件のカギとなるのは量子力学!?
ー「爆破犯人」は特殊な仕組みの爆薬で無惨な結果を導き出す。FBI/警官等への卑劣な事件を陰で歓喜している犯人。
ー「遺伝子操作で生み出された獣」動物と獣の遺伝子を組み合わせ得体の知れない生き物を生み出すがその生態を操作できない人間
ー「ヤクザと市民権」ヤクザになることを後悔した人間の生き様。
ー「元警官の私生活」を記事に長年勤めた米国殺人課の元警官。異常な社会を潜り抜けた人間は普通とは違った異様な性格に変わる。
ー「終戦直後の仕事」GHQによる野犬確保が孤児含めた家無し人間の撤廃処理。所謂火炎放射器による完全燃焼で証拠を消退る仕事に就く。


「連帯保証人」が生み出す殺害事件『共同正犯』

2023-06-15 07:50:46 | ミステリー小説から見えるもの
理不尽な法律の一つ「連帯保証人」から多額の負債を抱えた一人の女性を守るために周りがなんとか救済しようと動き回る。そこに債権者が他殺体で発見、だが周りが「情と絆」繋がった人間関係から犯人を見つけるのは心情変化に時間がかかる、と刑事が言う。現実、場合によっては「連帯保証人制度」は理不尽であり、無知な人間が保証人に担ぎ出されるのは事件的要素を含む法律であることは間違いない。民法九十条とは(公序良俗)も納得がいかない
新法第九十条  公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
( 旧)第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
『共同正犯』大門剛明
「概要」播磨灘近く、製鎖業者の多い一帯で見つかった一つの死体。死体は不動産屋の長岡。連帯保証債務3億2千万を背負った社長・翔子の犯行と直観した鳴川は、死体を移動させてしまう。
ー元製鎖業者で現在は食堂を営む鳴川は翔子の債務をなんとかしようとした矢先、工場で死体を発見、何を思ったか死体を自殺と思わせるべく移動させたことが事件を複雑にし警察は時間をかけた。
ー鳴川は情の塊であり人と助けたいという一心の犯行に出る、それは現場で見た他殺体の移動をしたこと。それは一人の女性を守る為の強い情があった
ー「連帯保証人制度」民法九十条違反ではない、「公の秩序または善良な風雨族に反する事項を目的とする法律こういは、無効です」という規定がある。いわゆる以上な契約は無効になるという規定
ー「情などというものは何にも変わらない。このなものは弱い人間が自己肯定するだけのもの。傷の舐め合い。重要なのは理であり力だ。
ー「一人の女性を守りたいと思っている。支え合いたいと思っている。この街が、人が暖かい一本の鎖だったんだと」
「重要なのは繋がりだ。人と人とを結ぶ絆。それが切れた時には人はあっさりと死を選ぶことがある」



「アリバイ」後付け理由はどうなる『アリバイ崩し承ります』

2023-06-12 08:00:27 | ミステリー小説から見えるもの
仕組まれたアリバイ、仕組んだアリバイなど短編だから仕方がない部分もあるが、余りにもあからさまに後からつけたアリバイ話には少々現実離れ、緊迫感、信憑性に欠けている、と感じた。後付け理由はある程度如何様にでもなるのが現代の話術・技術トリックだ、と思う。「政治家の理由説明」などもこの「後付け」だ。
『アリバイ崩し承ります』大山誠一郎
「概要」美谷時計店には「時計修理承ります」とともに「アリバイ崩し承ります」という貼り紙がある。難事件に頭を悩ませる新米刑事はアリバイ崩しを依頼する。ストーカーと化した元夫のアリバイ、郵便ポストに投函された拳銃のアリバイ……7つの事件や謎を、店主の美谷時乃は解決できるのか!?
ー「アリバイを検証する」「アリバイを崩す」など7話の事件(一部種明かしの内容)
ストーカーのアリバイ:末期の癌で余命短い命を借金を抱えた妹に捧げる姉
凶器のアリバイ:密売人から得た2丁の拳銃を使い分け
死者のアリバイ:3角関係を解消、事故で失くした聴覚
失われたアリバイ:ワインの睡眠薬
お祖父さんのアリバイ: 背景時計の写真の角度
山荘のアリバイ:長靴のサイズと足跡
ダウンロードのアリバイ:当日限定の音楽配信の錯覚


悩み相談相手は探偵へ『五つの季節に探偵は』

2023-05-26 08:11:27 | ミステリー小説から見えるもの
世間は様々な悩み事で相談できる相手が必要な社会となりつつある。この書では「私立探偵」として人々の悩み、相談を解決していくが、ケースによっては依頼者が「被害妄想」から「偽装」させ、「優越感」を持つ様なものまであるのが現代だ。「独りよがり」で「自己満足」の目的で仲間でも犠牲にできる人間が現存し、増えていることが悲しい。それは現代社会の所為だろうか。
『五つの季節に探偵は』逸木裕
「概要」人の心の奥底を覗き見たい。暴かずにはいられない。わたしは、そんな厄介な性質を抱えている。高校二年生の榊原みどりは、同級生から「担任の弱みを握ってほしい」と依頼される。担任を尾行したみどりはやがて、隠された“人の本性”を見ることに喜びを覚え――。(「イミテーション・ガールズ」)探偵事務所に就職したみどりは、旅先である女性から〈指揮者〉と〈ピアノ売り〉の逸話を聞かされる。そこに贖罪の意識を感じ取ったみどりは、彼女の話に含まれた秘密に気づいてしまい――。
ーイミテーション・ガールズ
いやがらせをする相手を何とか逆襲しようと友達を巻き込む、ところがその悪戯された本人が・・嫌がらせ話の主人公だった。「被害妄想から仲間を売る」
ー龍の残り香り
龍線香というめずらしい香木が失くなり、犯人をつ突き止める。意外や師匠の正体分かる
「プロの魅力は欠点を隠すこと」
ー解錠の音が
詐欺とストーカー扱いされた元妻から夫の悪癖を知ることで、自転車の鍵だけが失くなる新たな事件から別の犯人像が浮かび上がる。「人は暗証番号を使い回す」
ースケーターズ・ワルツ
一流の指揮者を目指すがどん底に、薬物に手を出してしまう。同棲していたピアノ販売人からも最後の仕打ちで夢は罠うことがなくなった。「薬物は人を変え人を裏切る」
ーゴーストの雫
兄弟仲がぎこちない中で妹のリベンジポルノ事件を捜査すると、意外な事が出てきたそれは偽装
兄を見返そうと偽装し心配させる事で有利、優越感を持ちたかったのだ。「自己満足と優越感」

文中にある気になる言葉・説明
色の世界には「三原色」があり全ての色は3つの原色を混ぜること


推理は仮説と実証『探偵少女アリサの事件簿』

2023-05-24 08:10:05 | ミステリー小説から見えるもの
様々な他殺ケースがどのように殺害されたのか、謎解きを探偵家庭の少女と「なんでもや」の青年が謎を解くほどいていく解説書のような小説だ。想定外の仮説を立て少女が解き明かしていく様は楽しいが、少々単純すぎる点がもの足らないかも。
『探偵少女アリサの事件簿』東川篤哉
「概要」誤発注で勤め先のスーパーをクビになり、地元でなんでも屋を始めた橘良太。
依頼で訪れた豪邸で有名画家・篠宮の殺害事件に遭遇、殺人の濡れ衣を着せられてしまう。
そんな大ピンチの良太の前に、ロリータ服に身を包み自ら探偵を名乗る美少女・綾羅木有紗が現れて……。探偵一家のお嬢様とヘタレ三十男が難事件に挑む、傑作ユーモアミステリー!
「ミステリーの謎解き」
ー画廊の家で他殺体発見
家族の誰が主人を殺害したのか、証拠となる絵画に疑問を持つ
ー電車のホームで死体発見
容疑者とは喫茶店であったが死体となった時間と電車との時差を如何に紐解くか
ー屋敷の依頼した妻が死体となって発見
依頼者は妻でその妻が他殺死体として見つかる、黒い服を着た女性に謎が
ー野球の監督がボーゲンで他殺体で見つかる
夜の事件で足跡もなく梯子がヒントになる


人の死を「悼む」とはの旅をする『悼む人(上)』

2023-05-15 07:59:37 | ミステリー小説から見えるもの
@人の死、様々な死因があるが死後には殆ど死者に対する営みが家族以外されず、忘れ去られる。家族、親戚、同僚、更に鳥の死から死後に報われる世界を見ていた静人は「悼む」事でその死を弔ため旅に出る。知りたかったことは3つ、生前、誰に愛され、誰を愛し、誰から感謝されたのか。僧侶が悟りを受けるまでの修行のような旅を続ける。
『悼む人(上)』天道荒太
「概要」善と悪、愛と憎しみ、生と死が交錯する直木賞受賞作! 著者が切望した、「いま世界に一番いて欲しい人」とは?不慮の死を遂げた人々を“悼む”ため、全国を放浪する若者・坂築静人。静人の行動に戸惑いと疑念を覚え、その身辺を調べ始める雑誌記者・蒔野。末期がんに冒され、家族とともに最後の時間を過ごしながら、静人を案じる母・巡子。そして、自らが手にかけた夫の亡霊に取りつかれた女・奈義倖世。静人の姿が3つの視線から描かれ、その3つのドラマが、やがて1つの大きな物語の奔流となる。「この方は生前、誰を愛し、誰に愛され、どんなことで人から感謝されてでしょう?」静人の問いかけは、彼を巡る人々の心を、少しずつ動かしていく。
家族との確執、死別の悲しみ、自らを縛りつける呪縛との対決。そして避けられぬ死の傍らで、新たな命が――。静かな感動が心に満ちる感動の巨編!



内部情報を手にした輩の姿『殺意の教壇』

2023-05-09 08:07:51 | ミステリー小説から見えるもの
他人の悩みを上手く利用して自分への利便性を図る。金儲け、恋愛、結婚、子供等、人が持つ妬み、嫉妬など全てをうまく使い人を騙し、揺さぶり、挙げ句の果てに、別の容疑者を事前に立てて殺害すると言う計画を仕掛ける、巧みな輩だ。出来た理由は、内部情報を利用することができたのだ。
『殺意の教壇』リック・リオーダン
「概要」教授連続殺人の裏に麻薬組織の王が暗躍
探偵見習い中のトレス、ナヴァーは、テキサス大学の「呪われた中世文学研究室」の教授に就任。だが、前任の教授二人が射殺されていた。事件には麻薬組織が暗躍!? 真相に迫るナヴァーに醜い王の魔手が伸びる…。
ーヘロイン絡みの金と欲、2つのギャングへの天秤、欲にまつわる人間関係など巧みな偽りの話など複雑なギャングの対立をうまく利用した貪欲な殺人
ー情報は内部から漏れている、は意外な人物の正体が結末に現れる



家族の幸せの為の行動『祈りの幕が下りる時』

2023-04-25 08:04:46 | ミステリー小説から見えるもの
夫婦の離婚、負いきれない借金、子育てを諦め、家族を捨て逃亡など家族での問題が家族全員の人生を一変させ事件を生み出すミステリー小説だ。貧困の家族での事件事故はやむなく発生するのが悲しく哀れだと思う、がしかたがない。小説では不運にも起きた殺害事件を隠す為、正体を隠し、偽名を使い、極力人間関係を避け孤独を貫くなどどうにもできない環境が人生を狂わせることが多々あるのだと、努力だけでは報われない場合もあると、この小説を読んで思った。
『祈りの幕が下りる時』東野圭吾
「概要」明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。
30数年前の事件から逃れ、漸く一人の女性の演劇の集大成を結ぶ所で、事件の真相が暴かれ終焉となる、小説である。


10年前の事件の「階段」を求めて再捜査「受刑者を救う」『13階段』

2023-04-23 07:58:07 | ミステリー小説から見えるもの
@この小説は定年間近の刑務官が「犯罪者を更生させたい」と言う気持ちから殺害事件で記憶喪失した被疑者の罪を晴らすべく、前科を負った仮出所男と捜査する複雑なミステリー探偵小説だ。10年以上前の事件、大金の報酬による匿名の依頼者、被疑者の記憶にある「階段」など疑問絡みの捜査だ。因みにこの小説で思うのは、死刑反対論者と賛成論者の立場の違い、無実でありながら死刑を受ける被疑者の心身の変化、また「一事不再理」の原則(一度確定判決を受けた被告人は、二度と同事件で裁かれる事はない)など法の矛盾と法務省・大臣等の人間の裁きは正しいのか等疑問を持った
『13階段』高野和明
「概要」犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。2人は、無実の男の命を救うことができるのか
ー2人は殺害現場からの徹底した捜査をした。その中には通帳、印鑑、そして凶器を埋めた場所を探すべく3キロ4方を虱潰しに歩き回ったが何の手がかりも見つからなかった。
ー唯一被告人の記憶にある「階段」を捜すべく現場の家宅も見たが平屋で階段は見つからず呆然としたが、殺伐としてテーブルには手紙の山があり、その中に三上が正当防衛で殺した息子家族の名前が見つかった。が、保護士の保護観察者記録が見当たらなかった。だが、数年前に土砂崩れで潰れた廃寺の敷地を見逃していた。
ー事件解決の依頼者から「青年三上を外して欲しい」との意外な依頼と、保護士が豪華な屋敷を構えた事を疑問に思い、廃寺跡地を最後の望みをかけて堀漁る。
ー法務大臣の死刑執行承認は概ね議員解散の前に起こる場合が多い


好奇心・仮説から真理を求める『氷菓』

2023-04-19 07:51:52 | ミステリー小説から見えるもの
一つの疑問に四人の仲間が加わり、33年前の古い資料の当時の経緯(事件と出来事)と文脈から様々な仮説を立て、疑問を呈して謎を解き、一つの真理に導いていく、面白い推理小説的なストーリーはなかなか面白い。謎解き、仮説から事実確証へのプロセスは現代でもビジネス上と刑事事件などでも活用していることもあり読んでいても楽しいものだ。一つの謎(種明かし)文集の表題『氷菓』(アイス・クリーム=I scream=私が叫ぶ・悲鳴をあげる)
『省エネ人間』はなかなか面白い表現だ、政治家に多い気もするが・・・
『氷菓』米澤穂信
「概要」何事にも積極的に関わらないことをモットーとする奉太郎は、高校入学と同時に、姉の命令で古典部に入部させられる。さらに、そこで出会った好奇心少女・えるの一言で、彼女の伯父が関わったという三十三年前の事件の真相を推理することになり――。
「古典部」で発見した文集「氷菓」、33年前の古典部での出来事(学校での文化祭)が一人の学生(女学生の叔父)が巻き起こした事件(犠牲になった)だっだ。
ー四人の部員がそれぞれ文集から仮説を立て重い思いの感想意見を言い、真実を発見し行くストーリーである。それは何故33年前にこの叔父が退部しなければならなかったのか、そしてな何故表題「氷菓」と言う名前になったのかを探し求めていく推理諸説的小説だ。
「省エネ人間」面倒なこと興味のないことには動かない主義の人間


お金と家族愛を求めて『カッコウの呼び声(下)』

2023-04-05 08:04:51 | ミステリー小説から見えるもの
超人気の女優は自殺なのか他殺だったのか、依頼された探偵がその謎と証拠を集めに探索するミステリー小説。意外な展開と結果に驚く結末となる。事件の要因はよくある人の欲「遺産」問題で、事件は「貰えない」から「貰えるように仕組む」がこのミステリーの要だ。それと母からのより強い愛情を求めていたことだ。
『カッコウの呼び声(下)』ロバート・ガルブレイス
「概要」関係者を次々に訪れて話を聞くストライク。少しずつ少しずつ、証言の矛盾が明らかとなる。しかし若いモデルの世界に足を踏み入れれば踏み入れるほど先行きは不透明になり、核心に近づけば近づくほど危険が増してゆく…。JKローリングが偽名で発表した息もつかせぬ正統傑作ミステリー。新しいヒーローの登場! 無敵のミステリー・シリーズ