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ちょっと気になるいい事、言葉、最新技術

書籍、映画、旅、最新技術から選んだ心に残るもの。速読者向けは、青文字表示。内容は小学生でも理解できる表現使用

祟り、迷信をどこまで信じるか『骨灰』

2024-03-22 07:40:31 | ミステリー小説から見えるもの
江戸時代から戦後にかけて東京は地中深くどこでも大火、戦争の後の屍があったとしても不思議では無い。都心での建設ではまさに土壌深くをも調査しすることで始まるが、その地鎮祭などを仕切る企業が人柱を侵した事で、そこに居合わせた人に乗り映る奇妙なミステリーが始まる小説だ。現代、その慣習は続いており不気味な何かが起こっても不思議では無い。本書にもある、魔除けのお守り、祟りを避けるお守りがあれば大金でも買いたいと思うのは現代でも同じような気がする。人は迷信など表向けには信じないようで実は心ではお祈りをするものだ。
『骨灰』冲方丁
「概要」大手デベロッパーのIR部で勤務する松永光弘は、自社の高層ビルの建設現場の地下へ調査に向かっていた。目的は、その現場について『火が出た』『いるだけで病気になる』『人骨が出た』というツイートの真偽を確かめること。異常な乾燥と、嫌な臭い――人が骨まで灰になる臭い――を感じながら調査を進めると、図面に記されていない、巨大な穴のある謎の祭祀場にたどり着く。穴の中には男が鎖でつながれていた。数々の異常な現象に見舞われ、パニックに陥りながらも男を解放し、地上に戻った光弘だったが、それは自らと家族を襲う更なる恐怖の入り口に過ぎなかった。
建築予定の場所では地鎮祭などお祓い、お浄めをすることは慣習になっているが、この小説はそのお浄め場所での祟りに触れ、不気味な出来事が発生していく。
ー地下での粉塵に呪われた光弘は、家族に様々な異変が起き始め、それが祟りかもしれないと御守りを購入する。だがその金額は予想以上に高く、二度までも余儀なくされる。が、家族の安全を考えると止めるわけにもいかず原因追及すると地鎮祭を司る企業(玉井工務店)から思い以上に故人が出てきた時には要注意と警告する。


パニック状態になった時の心理状態と行動『スワン』

2024-03-19 07:36:18 | ミステリー小説から見えるもの
テロ事件など、人はパニック状態でどの様な行動が取れるだろうか。日頃訓練している人でも瞬時の行動は予期せぬ行動に出るかもしれない。そんなテロ事件に巻き込まれ生き残った女子高校生は次なる事件に巻き込まれ、誰も知らない新たな証言のシナリオを作る展開は興味深い。生き残ったものだけが知る真実は、往々にして加害者なのに被害者となりうる可能性も大だ。それは残された被害者家族の複雑な心境に変化が生じるからだ。文中で気になる弁護士の言葉「実際の仕事は被告人の最大限に守る事、依頼人がどんな人物であろうとも」(どんな凶悪犯罪社の人間であろうと「犯罪者の味方」でいるのが弁護士の仕事)
『スワン』呉勝浩
「概要」首都圏の巨大ショッピングモール「スワン」で起きたテロ事件。
死者二十一名、重軽傷者十七名を出した前代未聞の悲劇の渦中で、犯人と接しながら、高校生のいずみは事件を生き延びた。しかし、取り戻したはずの平穏な日々は、同じく事件に遭遇し、大けがをして入院中の同級生・小梢の告発によって乱される。次に誰を殺すか、いずみが犯人に指名させられたこと。そしてそのことでいずみが生きながらえたという事実が、週刊誌に暴露されたのだ。被害者から一転、非難の的となったいずみ。そんななか、彼女のもとに一通の招待状が届く。集まったのは、事件に巻き込まれ、生き残った五人の関係者。目的は事件の中の一つの「死」の真相を明らかにすること。彼らが抱える秘密とは? そして隠された真実とは。
ーかろうじて生き残った数人を集めて検索議論が始まった。それはある会社の社長の母親がその現場で亡くなったことで疑問を呈し、探索しようと弁護士に頼んだのだ。
数回に及ぶこの茶会は参加者からの真実を読み取り事件の真相を解決したいという依頼人の話とは別に家族を亡くした夫、親友同士で競い合ったともが傷つくなど、事後の事件証言は二転三転する。


弱者の方舟・幻想世界『Butterfly World最後の6日間』

2024-03-08 07:43:53 | ミステリー小説から見えるもの
今の社会から逃避した人々、いじめに遭い閉じ籠りの人、生まれながらに、或いは身体障害者、不治の病気持ちの人々が求める幻想空間「普通の世界」(虐待者も居ない、介護人もいないごく普通の人間として安心、安定した暮らしができる社会)を探究し集まった異空間「紅紹館」は、全く違った発想の幻想社会ミステリー事件小説だ。現実社会において「社会の弱者を助ける」といった内容を含めた興味深い小説だ。 今後「孤独社会」が生み出す人間差別のない、ごく普通の人間として暮らせる幻想空間社会、少し前あったような「セカンドライフ」(仮想の世界)がVRデバイスの進化と共に発生しても不思議ではないし、存在してほしい。
『Butterfly World最後の6日間』岡崎琢磨
「概要」人型のアバター=バタフライが生息するVR空間〈バタフライワールド〉にログインしたアキは、ログアウトせず現実世界に戻らない者たちが暮らす〈紅招館〉に向かう。アキはある事情から〈紅招館〉に住み続けたいと願うのだが、非暴力が徹底されているはずの〈館〉で住人の死体が発見される……。現実世界とVR空間を行き来するパラレルワールド・青春本格ミステリ
ー幻想の世界、妄想に夢を追う、そんなVRデバイスからの「救われる」異次元世界に入れる世が来るのだろうか。暴力もいじめも無い、さらに思いのまま自由にさまよえる幻想の空間(BW)でのびのびと行きたい人々が集まった館「紅紹館」(四六時中滞在できる)に異変が起きる。
十人が住む不思議で孤立した館を探し求め二人が新入するとたの空間と隔離され事件が発生していく。犯人を求めて住人含めて現象を検証していくハイテク幻想世界のミステリー小説だ。


嫉妬妬みが招く被害妄想『眼の壁』

2024-02-29 07:33:11 | ミステリー小説から見えるもの
遺産を狙う家族、恋で悩む恋人、それを妬み嫉妬する仲間、被害妄想から恐れ自殺しようとするなど異様な心理的変化を読み取るには難しいミステリー小説だ。難しいのは人間関係をどう思い、どう思われているのかを理解するか、誤解と被害妄想が殺人事件、自殺へとつながる。場所設定が頻繁に変わり、その比喩も多く読みづらい、さらに2つの顔を持つ男の登場で混乱する。現代、複雑な人間関係を理解することは仕事、家族、恋人同士でも大きな課題だが、陰で悪口を言われない様に、また誤解しない様にするにはやはり頻繁にFace2Faceでコミュニケーションし、信頼し合える仲になることだろうか。
『眼の壁』マーガレット・ミラー
「概要」作品の舞台は富豪のヒース一家。二年前、自ら運転する車の事故で視力を失ったケルジーと一家の家政婦的役割を担っている姉のアリス。事故車に同乗した兄のジョニーとケルジーの婚約者でヒース一家の居候の身のフィリップ。そして、事故の際に亡くなったジョニーの恋人ジェラルディーン。ヒース家には当主も居るのだが、遺産相続人はケルジーになっている
家族の遺産を丸ごと継いだのは事故で視力を失ったケルジー。その周りに居候のように住み着く婚約者など家族の異様な心理的変化は理解が難しい。
ー嫉妬、妬み、被害妄想、恋敵など人間模様からくる関係は複雑化する


大人への一歩は大人の人間関係を知ること『死と乙女』

2024-02-27 07:39:56 | ミステリー小説から見えるもの
17歳の少女が大人の仲間入りを始める、それは成長するため乗り越えなければならない壁(大人の人間関係を理解する)だったに違いない。その表現は「今日、ここで自分の中の何かが死んで、別の何かが生まれてきた」で大人の世界に入ったと実感したのだろうか。人は生死を賭けた場面はもちろん、恋愛含めた人間関係で大きく変わる、成長する。世間でよく言う「出会いは別れの始まり」も同じで一つの経験が次の経験の礎になり、一皮剥けて人は成長するのだ。
『死と乙女』赤川次郎
「概要」あの人、死のうとしている――。放課後、電車の中で偶然居合わせた男の横顔から、死の決意を読み取った絵梨。思い直させるべき? それとも……。ある事件を境に、二つの道に分かれた少女の人生が同時進行する!
会社を盛り上げ一心で家族と社員を大切にしてきた時、一人の優秀な部下に裏切られ、会社を手放すことになる。それは不倫の関係を微妙に高校生になる娘、その友人に感じ取られる。自分の存在を悟り、自殺を図るが一命を取り留める。だが家族の絆が壊れたことで仕返しを考える
ー17歳の少女が大人の仲間入りを感じ始め、大人の複雑な関係を見た時に何かがなくなり、何かを得た、それは大人になったという感じの物語だ。
「生きることの哀しみと、死ぬことの痛み、当人もだが、人の死が、周囲の人々に与える痛みを初めて知った」


人の覚悟とは『夜汐』

2024-02-26 12:16:56 | ミステリー小説から見えるもの
@幕末の世が乱れる時代に生き抜く為に悪も働く。そんな時代は金がある者から命を賭けて金を奪う行為もやぶさかではない。死を覚悟して逃亡するがヤクザに雇われた闇の殺し屋「夜汐」が現れ、覚悟が変わる、という奇妙な物語。「覚悟」とは生きる為、生き抜くための勇気を出し、生きる喜びを感じるということか。
『夜汐』東山彰良
「概要」やくざ者の蓮八は遊女に身を落とした幼なじみを助けるため、無宿人たちの賭場を急襲した。報復のために差し向けられたのは、謎に包まれた無敵の殺し屋・夜汐。蓮八は身を隠すため、新選組隊士となるが……。
「夜汐」(よしよ)幼い頃から兄弟姉妹と一人の仲間(ヤクザ・盗人)の生き様物語だが、時代は幕末。新撰組が登場するが何も意味のない内容で物語が混乱する。


アリバイを作る仕掛け『鏡像の道化師』

2024-02-05 12:53:11 | ミステリー小説から見えるもの
本書にある最新技術を駆逐した事件など、今後現代の世でも頻繁に起こるだろう。人間を騙す、惑わす、精神的に狂わすような技術は世に溢れている。身近なところでは「フェイクニュース・フェイク画像」が今後さらに増発、分散され多くの人が騙されるケースだ。気を付けたいのがこう言ったものは見破りにくいが為に拡散する事だ。だから、世の情報を信じ、気軽に横流しにすると自分に不幸(起訴被害・損害)が被ることも十分可能性が高いから要注意だ。
『虚像の道化師』東野圭吾
『概要』1、ビル5階にある新興宗教の道場から、信者の男が転落死した。その場にいた者たちは、男が何かから逃れるように勝手に窓から飛び降りたと証言し、教祖は相手に指一本触れないものの、自分が強い念を送って男を落としてしまったと自首してきた。教祖の“念”は本物なのか? 湯川は教団に赴きからくりを見破る(「幻惑(まどわ)す」)。
2、然暴れだした男を取り押さえようとして草薙が刺された。逮捕された男は幻聴のせいだと供述した。そして男が勤める会社では、ノイローゼ気味だった部長が少し前に自殺し、また幻聴に悩む女子社員もいた。幻聴の正体は――(「心聴(きこえ)る」)。
3、大学時代の友人の結婚式のために、山中のリゾートホテルにやって来た湯川と草薙。その日は天候が荒れて道が崩れ、麓の町との行き来が出来なくなる。ところがホテルからさらに奥に行った別荘で、夫婦が殺されていると通報が入る。草薙は現場に入るが、草薙が撮影した現場写真を見た湯川は、事件のおかしな点に気づく(「偽装(よそお)う」)。
4、劇団の演出家が殺された。凶器は芝居で使う予定だったナイフ。だが劇団の関係者にはみなアリバイがあった。湯川は、残された凶器の不可解さに着目する(「演技(えんじ)る」)。
「幻惑す」新興宗教への謎、信者を如何に増やすか、その究極は魔力・マイクロ波を利用したトリック殺人
ー「心聴る」恨みを持った人間の脳へ音で精神病にさせる幻聴工作・電磁波を利用したトリック殺人
ー「偽装う」義父作家の遺産相続が目的の工作 他殺か、自殺(心中自殺)か、それとも偽装殺人なのか。 ヒントは死んだ順番と車の泥。
ー「演技流」犯人捜査する警察への混乱させるために携帯電話を巧みに利用した工作・通話記録は電話局で確認できるのでその殺害した人の携帯と同じ形態電話で工作・携帯をすり替えるトリック。


人間の脆さと儚さ『修羅の家』

2024-02-04 07:41:59 | ミステリー小説から見えるもの
人間の脆さと儚さ。非現実的な内容の小説だと思っていたが、まるっきりそうでもない。人の弱みをうまく利用して人を極限まで動かす。警察ごとにならない程度に人に命令し動かすが、決して直接の加害者になるわけでもなく、他人から金をせびることで満足する。弱みを握られた人物はその指示司令に反抗できずやもうえず最後には罪を犯す。腐った、闇の人間社会を見るようでやる切なく許せない。
『修羅の家』我孫子武丸
「概要」女の毒が体内に入り、蝕まれていく―簡易宿泊所で暮らす晴男はレイプ現場を中年女性・優子に目撃され、彼女の家につれていかれる。そこには同じ格好をした十名ほどが「家族」として暮らしていた。おぞましい儀式を経て一員となった晴男は、居住者は優子に虐待されていることを知る。一方、区役所で働く北島は、中学時代の初恋相手だった愛香と再会し「家族」での窮状をきく。北島は愛香を救い出す可能性を探るが、“悪魔”が立ちはだかる。


「情状酌量」仮保釈になる理由『虚ろな十字架』

2024-01-26 07:35:58 | ミステリー小説から見えるもの
@情状酌量とは。家族を失った悲しみは犯人に対して「動機なんか関係無い、どんな理由であれ遺族は救われない、だからやはり自分達は死刑を望む」は遺族の立場で当然に思える。だが、現実殺人事件の加害者は裁判で死刑求刑されても、無期懲役が求刑されても情状酌量で数十年、もしくは数年で仮釈放となり、その処置は遺族には伝えないと言う。一方、家族、親族の中に犯罪を犯したものがいる側に立つと、世間の見方は冷たく全く異なるが、たとえどんな酷い事件でも償いに関して減刑酌量を望む。本文で「仮釈放」など発令する理由は、刑務所のキャパ次第でもあるという、説には驚きだ
『虚ろな十字架』東野圭吾
「概要」中原道正・小夜子夫妻は一人娘を殺害した犯人に死刑判決が出た後、離婚した。数年後、今度は小夜子が刺殺されるが、すぐに犯人・町村が出頭する。中原は、死刑を望む小夜子の両親の相談に乗るうち、彼女が犯罪被害者遺族の立場から死刑廃止反対を訴えていたと知る。一方、町村の娘婿である仁科史也は、離婚して町村たちと縁を切るよう母親から迫られていた―。


時系列を理解しながらの読みは多難『鏡の花』

2024-01-24 07:44:25 | ミステリー小説から見えるもの
この小説はどの時点でのストーリー(章)なのか時間的感覚を錯乱させる。と言うのは、身近な人が亡くなると人はその人の過去を想い幻想する事がある。本書は人の生と死に向き合う内容が多く、生きていた時の出来事、亡くなった後の出来事を回想した場面が多く、各章がその順番になっていないから理解するのも難しい。
『鏡の花』道尾秀介2
「概要」全六章。読む順番で、世界が変わる。あなた自身がつくる720通りの物語。すべての始まりは何だったのか。結末はいったいどこにあるのか。「魔法の鼻を持つ犬」とともに教え子の秘密を探る理科教師。「死んでくれない?」鳥がしゃべった言葉の謎を解く高校生。定年を迎えた英語教師だけが知る、少女を殺害した真犯人。殺した恋人の遺体を消し去ってくれた、正体不明の侵入者。ターミナルケアを通じて、生まれて初めて奇跡を見た看護師。殺人事件の真実を掴むべく、ペット探偵を尾行する女性刑事。


「権力」の差は忖度される『朽ちないサクラ』

2024-01-11 07:46:07 | ミステリー小説から見えるもの
社会の矛盾、理不尽さを感じる人間社会は複雑だ。この小説では警察と公安での立場の違いから「守る」立場が違い、国民一人一人に対して国家的概念の違いが犠牲を招いてもそのまま葬ることになる。未解決の事件事故などその両者が絡むものは「地位」「権力」における格差は見た目以上に深く、巨大なもので、無已やにされているのも多いのではないかと疑問を持たせる
『朽ちないサクラ』柚木裕子
「概要」警察のあきれた怠慢のせいでストーカー被害者は殺された!? 警察不祥事のスクープ記事。新聞記者の親友に裏切られた……口止めした泉(いずみ)は愕然とする。情報漏洩の犯人探しで県警内部が揺れる中、親友が遺体で発見された。警察広報職員の泉は、警察学校の同期・磯川刑事と独自に調査を始める。次第に核心に迫る二人の前にちらつく新たな不審の影。事件には思いも寄らぬ醜い闇が潜んでいた。


信頼している人に裏切られる心理『推定無罪(下)』

2023-12-05 12:31:05 | ミステリー小説から見えるもの
@世間は思いもかけない展開が自分の身に起こることもある。この書にある様な、事件に突然巻き込まれ、容疑者から被告人になってしまうことだ。世の中、権勢欲、出世欲、金銭欲、所有欲、性欲、など様々な欲望が渦巻いており他人の「罠に嵌る」事するある。果たして犯人は誰なのか最後に思わぬ展開で終わるミステリー小説だ。信頼している人物こそ裏切り、妬み、罠にかけることは現実にもある。被告人になった時:弁護士の言葉『真実には抗えないないという態度』
『推定無罪(下)』スコット・トウロー
「概要」検事が一転容疑者となる…。思いもかけぬ展開に、権勢欲、出世欲、金銭欲、所有欲、性欲、あらゆる欲望の渦巻く複雑な人間ドラマがあらわになり、意外な結末へとなだれこむ。歴史に残る法廷ミステリーの傑作というにとどまらず、制度そのものへの批判を含んだ社会小説としても評価された一級品。
ー被告者となったラスティは弁護士スターンと綿密な打ち合わせをかせねる。だが検察側が提供する多くの証拠品にはラスティの本人のものだと断定でき、覆すのが至難となる。
ラスティは情報不安定、不眠、病的な不安など最悪な状態へと移る。
公判中に弁護士は「リスティ・サビッチ氏が罠にかけれらたと主張」すると判事、検察側での態度、姿勢が一変する。その標的にされたのがラスティの次席検事補を狙っていた検事が狙われる。一方、警察官の中には被告者関係等から賄賂をもらい、釈放を早めにしてもらう約束などしており、その中には検察官も存在した証拠を掴む。それを操作管理していたのが殺害されたキャロリン検察官であり、上司の判事リトルだったことをも情報を得た。
裁判は検察官と監視官による偽証を見せつけたが、決定的な証拠は被害者は避妊手術を数年前にしていた事で、公判する前に判事の判断で無罪となった。だが、では誰が犯人なのか。しばらく家で庭を手入れしているとそこには血と髪の毛がついた凶器があり、思わぬ展開を見せる。
夫婦関係、3角関係、嫉妬、妬み 入り混じった感情が事件を引き起こし、思った以上に悩み苦しむ結果になった。


選挙前の罠かでっち上げ事件なのか『推定無罪(上)』

2023-12-04 12:49:43 | ミステリー小説から見えるもの
美人同僚検事の殺害で元恋人である上司首席検事が犯人に仕立てられる。政敵の地方検事選挙に有利にするかのようなこの事件は、首席検事が殺害事件の犯人として裁判でぶつかり合いが始まった。「罠なのか、それとも偶然をでっち上げたのか」検察側、弁護側が知恵を絞る様が描かれている(前編)
『推定無罪(上)』スコット・トウロー
「概要」アメリカ中部の大都市、地方検事を選ぶ選挙戦のさなかに、美人検事補が全裸で殺されていた―。クリスティ的犯人さがしの妙味、検察出身の作者の経験を生かした圧巻の法廷場面、地方都市の政治・司法・警察の実態をまるごと捉えた、社会小説的な視点、なにをとっても第1級の傑作
ー地方検事選挙に元同僚ニコ、数年前に事務所を首にした政敵、が市長の同意を得て当選。だがその前に選挙戦を有利にしようと美人検事キャロリン、一時的に首席検事サビッチの恋人だったが他殺体で発見された。それもレイプされその元恋人首席検事サビッチが犯人だとして裁判が始まった。検察側は敵対する元同僚ニコとトミーで地方検事、検事補になったばかり、対する弁護側は元裁判で争った精鋭の弁護士スターンが味方についた。
ー首席検事サビッチは息子が一人、妻バーバラの三人家族だが、同僚検事キャロリンと不倫をしていた事で複雑化で起訴までの2週間で難題となる。更に一人息子に対する世間の目からいかに守れるかもサビッチにとっては重要な案件だった。
ー証拠物件は検察側、警察等で押収し裁判で利用されることになった。それは「指紋がついたグラス」「犯人をキャロインの家で、バスで見たと言う証人」「他殺体内にあった残留物」など、まずは証拠を覆すことへの立証、或いは見方を変えて相手の反応を窺うこと、だった。
ー被告人となったサビッチに有益になったのは妻バーバラーとの親密な関係が蘇り、裁判の判事が被告人側に有利(判断を間違えない)だと思えることだった。
「相手の検事は政敵だったこと、それは最後まで言わない方がいい。検察側が発見したことで、弁護側の役に立つものは全てこちらに見せなければならない。だが、向こうに役の立つかもしれない部分は教えない方がいい」


大人の都合で犠牲になるのは子供『告白』

2023-10-29 07:45:56 | ミステリー小説から見えるもの
「子供の心理と親の都合」犯人(少年)の背景にはとても複雑な精神状態があった。それは親の都合で離婚、少年は母親から見放され、母親の愛情を探し求めた事だ。発明に没頭する事でいつか母親が認め、抱擁してくれることを望んだ単純な事が大人の都合で崩れてしまったことが犯行に繋がったのだ。
現代でも「親の愛情」は子供にとって厳しくても一番の心の安らぎを保てる存在なのだ。大人の都合だからといって子供を邪魔者扱いすることで子供はグレて非行に走るのが増えているのはうなづける
『告白』湊かなえ
「概要」愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞した国民的ベストセラー。
女性教師の一人娘が水死体で発見される。そこには担当クラスの二人の少年が関わり実行した形跡があったが、警察は「事故死」として処理。教師としての判断と親としての判断・行動が実行されていく。
ー精神的に不安を与える事で家族、同級生を巻き込んでいく。但し発明かと自称し過信する犯人に対しては心の傷(弱み)を訴えていく


人は正直になれない時がある『異邦人』

2023-10-15 12:51:16 | ミステリー小説から見えるもの
人は死刑の判決にならない様に「嘘をつく」、だが、ムルソーはその演技が出来なかった。ムルソーは不条理であったが避ける事なく罪を受けた。所謂「罪は罪」として裁かれて当然である、それが正当防衛、虚い申告であっても。だが、現代はずる賢い、権力を持った者が優勢であり、例え相手が真実を訴えても覆ることはさせない、のが現実だ。
『異邦人』カミュ
「概要」私ははじめて、世界の優しい無関心に、心をひらいた。太陽の眩しさを理由にアラビア人を殺し、死刑判決を受けたのちも幸福であると確信する主人公ムルソー。不条理をテーマにした、著者の代表作。
母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男ムルソーを主人公に、理性や人間性の不合理を追求したカミュの代表作。
ー友を守る為に、ナイフを持って反抗する相手を正当防衛で殺害、独房に入れられる
ー独房での日々の生活は寝そべり空を眺めること、昼から夜へと色彩の凋落を眺める事だけ
ー裁判での質問においてムルソーは真実、真理だけしか言えず死をも考えていなかった
ー独房で最後のお祈り、司祭がいう「神の裁きが一切だ。死刑を与えたのは人間の裁きだ」、そして「神を見る事です」と