血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

クレスコグランド

2011-05-05 18:21:19 | 08年生
クレスコグランド(タニノギムレット×マンハッタンフィズ-サンデーサイレンス)牡・08生

主:5 結:5 土:1 弱:5 影:2 質[近]:3 質[遠]:4 SP:3 ST:4
合計:32点 クラス:2B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (5)

 主導は判断が難しいものの、Nasrullah6・7×7の系列クロス。しかしながら、Romanが6・6×8、Alibhaiも6・7×8と系列クロスを形成し、同程度の影響力を行使したのは明らかにマイナス要素で(単体の血量的にはRomanのほうが強く、その意味でもちぐはぐな配合)、更に単一クロスであるものの、Hail to Reason4×4や、Ribot5・6×7が主導の明確性を妨げている。したがって、主導項目の評価は決して良好であるとは言い難い。ただし、ある程度の血の流れがNasrullahへと見られるのは幸いだろうか。

○ 結合   (5)

 主導たるNasrullahと6代目までに存在するクロスである、Hail to ReasonはNearcoで、RibotはPharosで、MahmoudはBlenheimでそれぞれ結合を完了している。しかしながら、Roman・Solario・AlibhaiはHail to Reasonを介して間接的に結合しているのはマイナスだと考えられる。これは、明確な主導勢力を形成できなかった血統構成全体の問題であると考えられるが、7代目以降に存在するクロスや、前述のRoman・Solario・AlibhaiがHail to Reasonによってしっかりと結合している状態は見てとることができる。つまりHail to Reasonのクロス自体は有効で、主導勢力の明確性において多少のマイナスは生じるものの、クレスコグランドの血統においては重要な役割を果たしていると考えられる。

○ 土台   (1)

 Pharos(=Fairway)が11ヶで形成。単一の土台構造としてはかなり貧弱で、決して安定感のある形態とは言い難い。また、サポートもBlandfordが7ヶとかなり弱い。決して良好であるとは言い難い。

○ 弱点   (5)

 これといった大きな弱点や欠陥は存在しない。母方Ticinoに欠陥は存在するが実質的に異系交配である点と、影響が非常に弱い部分であるのは幸いしているだろうか。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは、(9-3-5-0)とけっして良好とは言い難い。母母方7代目の影響度0は大きなマイナスだが、7代目においてNasrullahが存在しひとまず連動をはたしているのは幸いだろうか。

○ 質[近]  (3)

 近い血の質は比較的高い。母マンハッタンフィズは平均的だと言えるが、3代目までに存在するサラブレッドの質はかなり高い。底力勝負可能。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるNasrullahの血の質は良好であるとはいい難いが、Ribotをはじめクロス馬の質は総じて良好である。前述の質[近]とあわせ、優秀だと考えられる。

○ スピード (3)

 主導たるNasrullahを中核に、Roman・Blue Peterがアシストする配合。比較的良好で芝・ダート兼用の素質を備えている。ただし、決して器用なタイプだとは言い難い。

○ スタミナ (4)

 Plucky Liegeを伴うBull Leaを中核にした配合。血統全体でTeddy系のスタミナが生きている為に比較的良好だと考えられる。また、父系クロスであるGraustark・Sicambreが目覚めた場合、距離延長に適性を見せても不思議は無い(この評価はGraustark・Sicambreを効果ありと判断している)。


 総合的に見ると、主導の不明瞭さをはじめ、土台構造の貧弱さなど決して褒められた内容であるとは言い難い。しかしながら、生きた血の質はかなりのレベルで、タニノギムレットやマンハッタンカフェ(=マンハッタンフィズ)を血統表に含むサラブレッドが血統評価以上に活躍しやすいのは、近い世代の血の質がかなり良好であるのが理由だと個人的には考えている。
 また、本馬の場合12F克服はクロスだけを考えた場合、やや厳しいと考えられるが、7代目以降のスタミナ勢力を確実に補給できた点や、前述した父系クロスのスタミナを確保できた場合、12Fをギリギリ克服できる可能性は考えられる。
 したがって、本質的にはパワー型の配合だと考えられるため、長い眼で鍛えて欲しい配合で、総合評価こそ2Bだが底力は秘める。ただし、実質的にはノーカウントだが世代のバランス(母母方が特に悪い)や土台構造の貧弱さなどを考えると、決して信用を置ける内容だとは言い難い。面白い血統構成ではあるので、無事な開花を願う。


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