血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

2020年クラシックロード(牡馬)

2019-07-25 19:12:05 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、2020年の牡馬クラシックロードにおける注目馬を何頭か取り上げたいと思います。
※後日、複数頭追加する予定です。

ビアンフェ(キズナ×ルシュクル by サクラバクシンオー)牡・17生

Ⅰ 主:5 結:5 土:3 弱:2 影:3 集:5 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(38/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S □ M 〇 I □ C × L ×
ダ:S □ M 〇 I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:△ 成長型:遅め

 主導は不明瞭な配合で、自身5代目にLady Angela-Hyperion、Almahmoud、Nasrullahと並び、BMSサクラバクシンオー(1A)を強調。これらクロスはNorthern Dancerが傘下におさめた為、実質的にノーザンテースト内Northern Dancerが主導と言えるか(全体の多数派で、血統内に20連存在するPharos=Fairwayの血の流れから見ても、主導は不明瞭だと言える)。母であるルシュクル(2B)は、サクラバクシンオー×アジアンミーティア(=Unbridled’s Song全妹)と、日米のスピード血脈を豊富に抱えた血統で、Hyperion、Nasrullah主導と、父のサクラバクシンオー再現には一定の効果を発揮し、国内向きのスピードを再現する点では良かったものの、母が抱える米系の連動と再現が非常に弱く、そこが限界点だと言える血統構成であった。当馬も母の再現という点では良好であるものの、父であるキズナ(1A)も豊富に米系を抱えた血統構成であり、母と同じく米系(Blue Larkspur、Man o’War、Princequillo)や、父との配合で生じた仏系(Tourbillon-Ksar)または、加系(Chop Chop)を生かす事は出来ても、その連動が比較的弱く、潜在的な成長力を秘めるものの、いまひとつもどかしいタイプになる可能性を指摘しておきたい。とは、言うもののBMSであるサクラバクシンオーを全開にし、その再現に成功したのは当馬の大きなセールスポイントだと言えるだろうか。また、全体的にスピード再現が強いが、Wild Riskクロスを通じて、Torbillon-Ksarのスタミナを連動させる事が出来たのは幸運で、7代目以降のスタミナ系のクロスのアシストもある為、単なる早熟の単距離馬では無いが、10F以上の克服には展開の助けが必要か。本質は、芝向きのマイルタイプ。

サリオス(ハーツクライ×サロミナ by Lomitas)牡・17生

Ⅰ 主:6 結:4 土:3 弱:1 影:3 集:5 質:3 再:3 SP:4 ST:3 特:0
合計:(35/60)点 クラス:2B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I □ C △ L ×
ダ:S × M □ I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:△ 成長型:早熟

 主導は、Northern Dancer5×5・6。Almahmoudが。父父サンデーサイレンス内で5代目から影響を行使したのが、主導の明確性にやや影を落とした点と、父方に特に豊富に存在する欧米系の連動をはかれていない点を考慮すると、主導や結合といった血統の屋台骨に対する評価は、やや不満を感じる血統構成ではある。また、母サロミナが豊富に抱えた独系統を全く生かしていない点も、母の強みを生かしておらず、この父母の相性は本格的にはあっていない。しかしながら、全体で14連あるHyperionをシンプルに生かし、それらの血の流れが良好であるのは、当馬の血統を考えるにあたって幸いか。またクロス種も41と少なく、結合を果たさないものの、強調されたトニービン(3B)内のスピードの源泉の一つであった、Orbyの流れを汲むGold Bridgeが生きた点や、Nasrullahのスピード。Bois Rouseel・Hurry On・La Farina等のスタミナが隠し味的に生きた点は、当馬にとっては幸運だったと言えるだろう。そうした意味でもあくまでも主役としてHyperionをシンプルに主導へと押し出した配合で、成長力に疑問が残るものの、開花は早く日本適性が高い血統構成だと言える。本質的には芝向きのマイル~中距離タイプで、ダートは不適だと言えるだろう。
 蛇足ではあるが、この母に配するべき父は、薄く独系統を持ち、かつNorthern Dancerが自身の血統において一定の役割を果たした種牡馬が良いと考えられる。具体的にはワールドエース等であるが、個人的には、わずか2年の供用であったもののマンハッタンスカイや、ヒルノダムール、ジョーカプチーノのようなマンハッタンカフェ産駒との配合が一定の相性を示すものと考える。配合とは父母相互に絡みあう血の流れを阻害することなく前面に流し、細かい血をおさえていくのが常道ではないだろうか。そうした意味では、全体的な配合レベルは別にして、結果的に生きた父母の血の流れを阻害しない当馬の配合にも一見の価値はあり、反応は早いタイプに育つ可能性を秘める点は指摘しておきたい。

 本日はこのあたりで筆を置きたいと思います。