血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

13年 安田記念

2013-06-25 17:53:53 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、先日行われた安田記念の上位馬や人気馬、及び見所がある配合馬を取り上げてみたいと思います。簡単にではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。


ロードカナロア(キングカメハメハ×レディブラッサム-Storm Cat)牡・08生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=210611

主:5 結:5 土:3 弱:6 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:37点 クラス:3B 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:○ 距離延長適性:○

 主導はNorthern Dancer5・5×4の中間断絶。一見かなり明確に見えるが、当馬の場合Nasrullahが6・7・8・8×6・7と系列クロスを形成し、両者の影響が拮抗したのは大きなマイナスで、この両者のうち片方のクロスが存在しない方が、総合評価的には良かったと考えられる。しかしながら、6代目までに存在するクロスの結合はPharosを中核に、かなり強固だと言え、この結合力がこの配合の最大の長所で、本来結合しにくいPrincequillo~Prince Roseも、主導たるNorthern Dancerが4代目からクロスした為に、Traceryを介して結合しそのスタミナをかろうじてとは言えるものの、補給できたのは幸運と言えるだろう。ただし父内Spy Songの結合はNative Dancer内Fair Playを介しての間接結合となったのが惜しまれる点で、このクロスはできるなら無い方が良かったと考えられる。
 しかしながら、生かされたスピード・スタミナ勢力はかなり強靭で、スピードは、Nasrullah・Tudor Minstrel・Count Fleet(本質的にはスタミナ勢力だが、その内容からスピード勢力と考えられる)と生かし、スタミナは、前述したPrincequillo~Prince Roseを中核にGraustark(=His Majesty)も、その内容からスタミナ勢力として機能していると考えてよい。したがって、スプリントG1を連勝しているものの、本質的には中距離馬だと言え、スタミナの引き出しによっては12Fの克服は可能。重ねて言えば、距離適性の幅は広いタイプに成長する可能性は秘めているだろう。

ショウナンマイティ(マンハッタンカフェ×ラグジャリー-Storm Cat)牡・08生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=209588

主:7 結:6 土:2 弱:4 影:3 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:36点 クラス:3B 芝:8~12F ダ:8~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:普通 
芝適性:○ 砂適性:△ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:□ 距離延長適性:○

 主導は、Alleged4×3の中間断絶クロス。その中のPrince John6×5・5及び、Almahmoud5×6、Bold Ruler6×5の系列クロスで血統全体をリードした形態。この三者は全てAllegedに集合し、極めて明確にとはいかなかったものの、比較的明瞭に主導勢力を形成していると言える。また、近親度こそ強いものの、6代目までに存在する全てのクロスはAllegedが傘下におさめているのも確認でき、その意味においてもAllegedを有効活用していると言えるだろう。反面、土台構造はかなり貧弱でこの部分が当馬の血統構成を考える上でのアキレス腱と言えるだろうか。ただし影響度バランスは良好で、開花した場合、常に安定感があるとは言い難いが、仕上がった際には相当の迫力を秘めた内容だとも考えられる。
 また、生かされたスピード・スタミナ勢力は強靭で、本質的には中距離馬だと言えるが、距離延長に対する適性はかなり高く、血統構成上からの推測では12Fは十分に守備範囲内である事を指摘しておきたい。

ダノンシャーク(ディープインパクト×カーラパワー-Caerleon)牡・08生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=209210

主:6 結:4 土:2 弱:6 影:2 質[近]:3 質[遠]:4 SP:3 ST:4
合計:34点 クラス:3B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 
芝適性:○ 砂適性:△ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:□ 距離延長適性:○

 主導は、Turn-toを伴うHail to Reason4×5。次いで、Almahmoud5・7×6の系列クロスを内包するNorthern Dancer5×4の中間断絶クロスで血統をリードしている。従って主導は不明瞭だと言えるだろう。また、6代目までに存在するクロスは間接結合が主体で、けっして褒められた状態ではなく、Feolaは9代目までに結合できないのも、大きなマイナスであると言え、多分に結果オーライの配合であるとは言えるだろうか。雑多なクロスを多用したせいではあるのだが、父のような切れ味を期待するのは厳しい血統構成であるとは言えるだろう。更に、影響度バランスや土台構造も決して良好とは言えず、血統構成の背骨にあたる、部分においてはやや懐疑的な血統構成だと考えられる。
 しかしながら、Princequillo~Prince RoseのスタミナをTraceryを通じNorthern Dancerへと補給できたのは大きなセールスポイントで、じりじりと伸びる脚は兼ね備えた血統構成で、長く脚を使える可能性は否定できない。本質的には中長距離向きの配合で、スタミナの引き出しが比較的難しいタイプだと言えるが、是非とも無事な開花を望みたい、個性はあると言えるだろう。

グランプリボス(サクラバクシンオー×ロージーミスト-サンデーサイレンス)牡・08生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=209307

主:5 結:6 土:3 弱:5 影:3 質[近]:1 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:34点 クラス:3B 芝:6~10F ダ:6~8F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め
芝適性:○ 砂適性:△ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:○ 距離延長適性:□

 主導は、Nasrullah5・6×5の系列クロス。この主導は血統の2ブロックにしか存在しないが、4ブロック全てにおいて、その父Nearcoを散在させ強力に血統をリードしている。しかしながらグランプリボスの血統においては、Almahmoud6×5、Hyperion5・6・7×7・8・8も系列クロスを作成したため、その主導が不明瞭となっている。したがって、決して高評価できる状態にはない。ただし、この三者の結合がしっかりと強固になされているのは幸いで、この結合力の強固さが、当馬の血統構成を考える上で、大きなセールスポイントだと言えるだろう。また、影響度バランスも良好で、安定感のある血統構成。
 決して重厚なタイプではなく、あくまでもジャパンスペシャルな血統構成ではあるものの、生かされたスピード・スタミナはなかなかに強靭で、父とは流れが若干異なるものの、迫力がある血統構成ではある。ただし、血統を構成する血の質はいまひとつ高くなく、本当の意味においての底力勝負には不向きだと考えられる。また、世代の新しい母に対して、父の世代がやや古いために、土台構造が若干散漫でこの部分から安定感や距離延長に対しての適性はあまり高いとは考えづらい。それでも貴重なテスコボーイ直系の後継者としての活躍をこれからも期待したい。また、それに応えられるだけの資質は有すると考えられる。



 今回の血統徒然草は、先日行われた安田記念においての上位馬と人気馬、及び見所のある血統構成馬を取り上げてみました。簡単にではありますが、今回はこんなところで。