血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

アドマイヤコスモス

2012-03-26 22:25:29 | 私的名馬
アドマイヤコスモス(アドマイヤマックス×アドマイヤラピス-Be My Guest)牡・07生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=208137

主:8 結:6 土:4 弱:3 影:1 質[近]:2 質[遠]:3 SP:5 ST:3
合計:35点 クラス:3B 芝:6~10F ダ:5~9F
日本適性:◎ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (8)

 主導は、Northern Dancer4×3の中間断絶クロス。このNorthern Dancerはノーザンテーストと呼応してのクロスであるため、自動的にその中の、AlmahmoudとLady Angelaで血統をリードしている。当馬の血統構成上、前面で他のクロスを作成しなかったために、非常に強力に血統をリードしている。また、血統全体でGainsborough系の流れが圧倒的に強い配合で、その意味においてもNorthern Dancer内に血を集合させているのが有効に作用している。

○ 結合   (6)

 主導たるNorthern Dancerと6代目までに存在するクロスである、Almahmoud~Mahmoud、Lady Angela~Hyperion、Nearco~Pharos(=Fairway)、Pharamond(=Sickle)はNorthern Dancerに含まれるために確実に結合している。また、単一クロスであるStymieは9代目に存在するFair Playによって結合を果たしている。近親度が強い配合の為に決して万全であるとは言い難いが、7代目以降においての連動性も高く、ひとたびNorthern Dancerが目覚めた場合は血統全体が連動する体制が整っている。

○ 土台   (4)

 土台構造は、Gainsboroughが20ヶで形成。さらに、Swynford(=Harry of Hereford)13ヶでそれをサポートしている。これは、世代の新しい配合としてはかなり脅威的で、近親度の強さはあるものの、堅牢な状態であると言って良い。

○ 弱点   (3)

 ノーザンテースト内Victoria Parkに弱点を派生している。ノーザンテーストを血統内に持つ配合馬全般に言えるが、非常に大きな課題で、当馬の場合も完全に解決はされていない。9代目においてSir Gallahadがかろうじてクロスしているのは幸いだが、影響の強い部分であるのはやはりマイナスだと言えるだろう。

○ 影響   (1)

 影響度バランスは(5-9-16-1)と、圧倒的にBMSのBe My Guestを強調している。この部分は主導勢力を含み、Be My Guestの生かし方も良いために、決して劣悪とは言えないものの、決して良好であるとも言い難い。

○ 質[近]  (2)

 近い世代の血の質は決して低くはないが、ノーザンテースト等バランスを崩した配合もいくつか存在するために、本質的な意味においての底力勝負はやや疑問がある。平均点にはあるか。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるNorthern Dancerは優秀な配合であるが、実質的に血統をリードしているAlmahmoudとLady Angelaは若干質に劣る血統構成である。ノーザンテーストを含むサラブレッドがNorthern Dancerクロスを作成した場合、避けて通れない道であるものの、惜しまれる部分である。

○ スピード (5)

 主導内AlmahmoudとLady Angelaを中核に、Pharamond(=Sickle)のスピードを補給した配合。国内向けの軽いスピードにかなりのよさがあり、7代目以降においてもTetratemaの決め手をしっかりと主導内に取り込んでいる。かなり優秀な内容だと考えられる。

○ スタミナ (3)

 10連あるHyperionを中核にした配合であるが、当馬の場合その殆どがLady Angelaの傘下にある為、明確なスタミナ勢力として機能しているかは若干疑問が残る。母方のハイハット内に存在するHyperionが不安定ながらもスタミナ源として機能していると考えられるが、本質的に距離延長は向いていないと考えられる。


 総合的に見ると、母アドマイヤラピスの産駒に共通するスタミナ優位の配合では決してないものの、非常にスピードに恵まれた配合で、またスタミナ勢力もある程度確保しているため、マイル~中距離においては優れた可能性を秘めた配合だと考えられる。また、圧倒的に強調されたBMSのBe My Guestはほぼ全開し、この父母の相性はかなり良好だと言えるだろう。それだけに、父方ノーザンテースト内の弱点やバランスの悪さは惜しまれる部分だが、マイラーとしての配合を考えるうえで参考になる部分も多数持ち合わせているといえるだろう。
 これからの活躍を期待したい配合であっただけに、夭折が非常に残念である。