血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

ブエナビスタ(天皇賞・秋)

2010-11-01 20:05:08 | 2010年GⅠ勝ち馬
ブエナビスタ(スペシャルウィーク×ビワハイジ-Caerleon)牝・06生

主:5 結:5 土:2 弱:5 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:33点 クラス:2B 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (5)

 主導は、不明瞭ながらTurn-to5×5・6を伴うHail to Reason4×5。このHail to Reasonは、一見強力に血統をリードしているように見えるが、Royal Chargerが断絶した点と、単一クロスでありながらNijinsky4×3が作成された点、Almahmoud5・7×6の系列クロスを作成した点、などを考慮した場合決して高評価できる形態ではない。しかしながら、Hail to Reason・Nijinsky・Almahmoudの三者の連動性は比較的良好なのは幸いで、主導に対しての評価はかろうじて平均レベルにあると言えるだろう。

○ 結合   (5)

 主導たるHail to Reasonと、6代目までに存在するクロスである、Turn-to・NearcoはHail to Reasonに含まれる血統で確実に結合している。また、PharamondはPhalarisで、AlmahmoudはGainsboroughで、StymieはMan o'Warで、NijinskyはNearco・Sir Gallahad(=Bull Dog)を通じて非常に強固に、HyperionはGainsboroughを通じて、それぞれ強固に結合を果たしているものの、PrincequilloはAlmahmoud内White Eagleを通じて間接的に結合を完了している点と、FeolaはHyperion内Son-in-Law~Dark Ronald~Bay Ronaldを通じ間接的に結合している点は明らかにマイナスだと言える(FeolaはBay Ronaldを10代目に配したためにその結合具合は極めて疑問で、実質的に未結合状態と言って差し支えないレベル。この評価は結合を完了していると判断している)。結合の弱い部分は比較的影響が弱い点である事と、Hail to ReasonとNijinskyの結合が極めて強力であるのは幸いだろうか。

○ 土台   (2)

 Pharos(=Fairway)が14ヶで形成。近交馬にしては非常に貧弱で、安定味にかける内容だといえる。しかしながら、Gainsboroughが13ヶでサポートしているのは幸いだと言えるか。ただし、全体的に見るとかなり不満が残る。

○ 弱点   (5)

 近交馬ではあるものの、血統表上において大きな欠陥は存在しない。若干、母母アグサン内Ticinoにおける、8代目Dark Ronaldの結合が弱い点が気にはなるが、さほど大きなマイナスではないだろう。ただし、近交馬としてはやや良いと言った程度。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(10-6-16-4)と決して優れたバランスとは言えないが、強調された部分にHail to Reason・Nijinsky・Almahmoudが配されたのは幸いで、父父サンデーサイレンス、母父Caerleonの生かし方は良く、その意味でも一定の評価はできる。

○ 質[近]  (3)

 母ビワハイジの血統レベルは決して高いとは言い難いが(それでも平均点にはある)、父方スペシャルウィーク~サンデーサイレンス、母方Caerleon~Nijinskyと各父系のラインは質が非常に高い。底力ある血統構成。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるHail to Reasonは決して質が高いとは言い難いが、影響の強いNijinsky、Princequillo~Prince Rose、Hyperion等がそれをサポートしたのは幸いだと言える。主導の質が低いため、極めて良好とは言えないのが惜しまれる点である。

○ スピード (4)

 主導たる、Hail to Reason内Turn-toを中核に、Almahmoud・Pharamond・Menowと日本向きの軽いスピードを生かした配合形態。血統全体を見た場合、やや乱雑にすぎる為常に軽いスピードを見せられるタイプではないだろうが、仕上がった場合相応の破壊力を見せる事は可能だろう。

○ スタミナ (4)

 Hyperion・Princequillo~Prince Rose・Bull Lea(その父Bull DogがPlucky Liegeを伴いスタミナ勢力となっている)を中核にした配合。この底力溢れるスタミナを比較的上手く主導勢力に結合させたのは、ブエナビスタの大きなセールスポイントで、7代目以降においても、スタミナ優位で芝12F克服可能だと判断した。


 総合的に見ると、生かされたスピード・スタミナがかなり良好なだけに、主導の明確性が失われた点が非常に惜しまれる内容で、ちぐはぐな内容だと言える。しかしながら、仕上がった際にはかなりの破壊力を秘めた内容で、底力や成長力にも期待が持てる。牝馬としては非常に重厚で、本来は開花が困難なタイプだと言える。
 それだけに、欧州のような深い芝にも対応できるタイプだと考えられるが、主導の不明瞭さや、結合・土台構造の弱さ、また影響度バランスの悪さなどは明らかにマイナスポイントで、多種のスピード要素を生かしてはいるものの、決して器用なタイプだとも言えない。
 また、この手の配合タイプは全兄弟で能力が異なるタイプが多いと推測される。常に信頼できるタイプでは無いだろうが、それなりに魅力がある内容であるとも言えるか。