血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

ブログ移転予定

2014-02-24 19:33:21 | 雑記・その他
いつも お世話になっております。

最近いそがしく更新がおろそかになっており 大変申し訳ございません。

また、ブログの移転を考えておりまして 詳細が決まりましたら
移転先を報告したいと考えております。

つたないブログではありますが 今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます。

13年ジャパンカップ海外馬

2013-11-23 15:34:26 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、近日行われるジャパンカップに出走予定の海外馬について簡単に考察をしてみたいと思います。


Dunaden ドゥーナデン(Nicobar×La Marlia-Kaldounevees)牡・06生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=221053

主:6 結:4 土:5 弱:6 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:5
合計:37点 クラス:3B 芝:9~15F ダ:~9~F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 
芝適性:○ 砂適性:△ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:× 距離延長適性:○

 主導は、Grey Sovereign6×6の系列クロス。その父Nasrullahを8連抱え血統全体をリードしている。しかしながら当馬の血統においては、Northern Dancer5×6やKlairon5×6の中間断絶クロスも強い影響を持ち、極めて強力にとはいかなかったのが惜しまれる点である。
 また、主導たるGrey Sovereignが6代目までに存在するクロスをまとめ切れていない点も指摘でき、この部分でも決して高い評価はできないものの、前述したNorthern Dancerが結合面においてはかなりのサポートしているのは、痛し痒しと言ったところか。
 しかしながら、Grey Sovereignのスピードを中核に、Klairon・Vieux Manoir・ヴィミー~Wild Riskのスタミナを補給したのは大きなアドバンテージを与えてくれていると考えられる。本質的には、中~長距離において厳しい流れを押し切れる血統構成だと言えるだろうか。

Simenon シメノン(Marju×Epistoliere-Alzao)セン・07生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=239125

主:5 結:4 土:4 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:4
合計:33点 クラス:2B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:× 距離延長適性:○

 主導は、Court Martial6×5の系列クロス。当馬の血統構成はPharos(=Fairway)系が強い血統の為、この主導は悪くはないものの、Northern Dancer4×4も強い影響を持つために極めて強力に血統をリードする事は出来ていない点は惜しまれる点である。
 また、血統全体の結合力も決して強固とは言えず、この部分が当馬の限界点を端的に示していると言えるだろうか。
 しかしながら、主導たるCourt Martial(Hurry Onが生きた為にスタミナ勢力へと能力変換をしている)を初めとして、Hyperion・Sir Gallahad・Princequilloと生きたスタミナ勢力は強靭で、若干スピードには劣るものの、スタミナといった個性は感じる事のできる血統構成である。本質的なステイヤーとは言い難いものの、中距離で長い脚を使える可能性を秘めていることは指摘しておきたい。

Joshua Tree ジョシュアツリー(Montjeu×Madeira Mist-Grand Lodge)牡・07生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=204784

主:5 結:4 土:4 弱:5 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:3 ST:4
合計:33点 クラス:2B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:普通 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:○ 距離短縮適性:△ 距離延長適性:□

 主導はNorthern Dancer3×5・5の中間断絶クロス。この主導はかなり明瞭に見えるが、当馬の血統においてはTurn-toを伴うHail to Reason5×7や、Lalun5×6の中間断絶クロスもかなり強い影響を持ち、煩雑な血統構成であると言わざるを得ない。ただし、少なからず幸いだったのは、これらのクロスは父父であるSadler's Wells内に存在し、結果的にSadler's Wells内に血を集合させた点で、決して褒められた状態でこそないものの、これらのクロスはしっかりと能力形成にかかわっていると言えるだろう。
 また、血統全体の結合は近親度が強い為にそれなりに良好でこそあるものの、決して強固ではなく、影響度バランスも大きく崩れているのが見て取れるだろう。
 ただし、前述したように強調されたSadler's Wellsはほぼ全開し、好調期においては強い競馬を見せることが可能だとも考えられる。
 本質的には、中距離を得意とするタイプだが、ムラな部分を秘めている事は指摘しておきたい事実である。


 今回は簡単にですが、ジャパンカップに登録された海外馬を血統面から振り返ってみました。簡単にですがご容赦ください。

13年 各国ダービー馬

2013-07-31 22:45:36 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、世界各国のダービー馬を血統構成から振り返ってみたいと思います。簡単にではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。

※日本ダービー馬
キズナ(ディープインパクト×キャットクイル-Storm Cat)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=231960

主:6 結:5 土:3 弱:6 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:38点 クラス:1A 芝:8~12F ダ:8~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:□ 距離延長適性:○

 主導は、Northern Dancer5×4の中間断絶クロス。その中のAlmahmoud5×7・6で実質的に血統をリードしている。決して明瞭とは言い難いものの、ひとまずNorthern Dancerに血が集合している事と、血統全体でGainsboroughの流れが強く、父母から継続しその維持が出来たのは大きなセールスポイントで、仕上がった際には非常に迫力のある内容だと言う事ができるだろう。また、血統全体の結合力は、やや間接結合に頼る部分はあるものの、ひとまず完了しているのも見て取ることができる。更に生かされたスピード・スタミナ勢力は強靭で、スピードは主導たるAlmahmoudを中核に、Pharamond(=Sickle)。スタミナは更に強靭で、Aurora~Hyperion・Donatello・Somethingroyal~Princequilloと隙が少ない。惜しむらくは父の決め手の源となったTurn-toや、スタミナを支えたCourt Martialの欠落だが、全体的には非常に良くできた血統構成。是非、無事な開花を望みたい。

※英ダービー馬
Ruler of the World(Galileo×Love Me True-Kingmambo)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=235550

主:5 結:5 土:3 弱:3 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:3
合計:33点 クラス:2B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:○ 距離延長適性:○

 主導はMr.Prospector4×3の系列クロス。このクロスはRaise a Native~Native Dancerを伴い、比較的強力に血統をリードしている。途中、Polynesian~Unbreakableが断絶するものの、6連存在するNasrullahが屈曲的ながら主導をサポートしている為に、不安定ながらも主導として機能はしている。しかしながら、この状態は決して良好であるとは言えず、Northern Dancerも3×5と中間断絶ながら強い影響力を行使したのはマイナスだと言えるだろう。反面、血統全体の結合力は近親度が強いものの比較的強固で、主導内Nearco~Pharos/Sickle(=Pharamond)~Phalarisを核に結合を完了しているのが見てとれる。
 惜しむらくは、父内Almyraにおいて弱点を発生させた点で、9代目においてPharos~Phalaris、Teddyとクロスさせるものの、近親度の強さから若干のマイナスだと言えるだろう。
 しかしながら、これだこの近親度が強い配合ながら、影響度バランスは(15-9-15-10)と比較的良好で、血統を構成する血の質もかなり良好で、仕上がった際の破壊力は感じられる内容だと言えるだろう。また、全体的にはスピード優位の配合で、芝12Fは守備範囲外だと考えられるが、7代目以降において質の高いスタミナを多数クロスさせ、主導と連動させている為に、距離延長に対し、ある程度の適性を秘めているのは指摘しておきたい。

※愛ダービー馬
Trading Leather(Teofilo×Night Visit-Sinndar)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=235891

主:8 結:4 土:2 弱:6 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:34点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:○ 距離延長適性:□

 主導は、Northern Dancer4・5×5・6を伴うDanzig4×5の系列クロス。この主導はNatalma~Native Dancerと継続し、他に強い影響を持つクロスも少ない事から、位置の悪さを残すものの比較的明瞭で、当馬の血統を強力にリードしている。
 しかしながら、当馬の血統構成の最大の弱点は、近親度が強い割りに結合力が弱い点である。6代目までに存在するクロスはほぼDanzig~Northern Dancerの傘下にあるものの、Lalunは完全に離反し、そのスタミナを取り込むことに失敗したのは非常に勿体ない部分であると言えるだろうか。加えて、その土台構造は散漫で、常に安定した走りを望むのは難しい配合であるとも言えるだろうか。
 ただし、これといった弱点はかろうじてと言える部分もあるが、存在せず本質的に両親の相性は良くない配合だと言えるものの(父母の持った影響の強いクロスの殆どを欠落させている。ただし、そのおかげでバランスの悪い配合だったと言える、母の血の流れを断ち切ったのは評価に値するが。)
 また、生かされたスピード勢力はなかなかに良好で、主導たるDanzigを中核にNasrullahがアシストし、7代目以降であるものの、Turn-to~Royal Chargerを上手く生かしているのが見て取れる。反面、スタミナ勢力はかなり貧弱で、Sadler's Wells内Northern Dancer程度であるのが見て取れる。それでも、当馬が12Fを克服できた要因を血統的に解釈すれば、前述した父母の欠落したクロス馬達(Buckpasser・Ribot・Wild Risk・Hurry Onを伴うCourt Martial等、その殆どがスタミナ系のクロス)に求められるかと考えられる。従って本質的にはマイル~中距離馬であり、将来的には10F前後に最も適性を示すと考えられるだろうか。

※仏ダービー(ジョッキークラブ賞)馬
Intello(Galileo×Impressionnante-Danehill)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=236123

主:7 結:5 土:2 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:3
合計:32点 クラス:2B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:□ 距離延長適性:□

 主導は、Natalma~Native Dancerと継続させた、Northern Dancer3×4・5の系列クロス。Northern Dancer~Natalmaは血統の3ブロックに存在し血統を強力にリードしているものの、父母内(Ⅱブロック)においては6代目Native Dancerから、影響を行使しているのは、やはりマイナスで惜しまれる点である。反面、近親度が強い配合ではあるものの、その結合力は強固で、6代目までに存在するクロスにとどまらず7代目においても、ほぼ結合を完了している点は当馬の血統構成を考える際に、大きなアドバンテージを与えていると考えて良いだろう。
 ただし、近親度が強い配合でありながら、父方Almyra内に弱点を発生させており、土台構造も決して強固とは言えず、影響度バランスもさほどの安定感は無く、これらを勘案すると決して安定的な血統構成だとは言い難い。
 しかしながら、明確な主導を武器に、Raise a NativeのスピードとBuckpasserのスタミナを上手く補給しているのも見て取ることができ、仕上がった際の破壊力は期待出来る内容であるのは指摘しておきたい。

※伊ダービー(デルビーイタリアーノ)馬
Biz the Nurse(Oratorio×Biz Bar-Tobougg)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=235641

主:7 結:5 土:3 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:34点 クラス:3B 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 
芝適性:○ 砂適性:○ 重馬場適性:○ 距離短縮適性:□ 距離延長適性:□

 主導はDanzig3×4の系列クロス。この主導はAlmahmoudこそ欠落するものの、Northern Dancer~Natalmaと継続させ、血統を強力にリードしているのが見て取ることができる。また、近親度こそ強いものの、6代目までに存在するクロスの全ては主導と結合し、連動しているのも当馬の大きなセールスポイントであると言えるだろう。
 しかしながら、近親度が強い配合にもかかわらず、母方Fairy Bridge内に弱点を発生させているのは無視できないマイナスで、影響度バランスもかなりいびつな為、安定感にはやや劣る事は指摘しておきたい部分である。
 それでも、本質的にはスタミナ優位で、生かされたスピード・スタミナも強靭な為、距離適性の幅は広いタイプに育つ可能性を秘めているとも言え、生かされた血の内容から本質的には芝向きであるものの、ダートへの適性をある程度、秘めている可能性も考えられ、全天候型の血統構成であると考えて良い。

※独ダービー(ドイチェスダービー)馬
Lucky Speed(Silvano×Lysuna-Monsun)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=236524

主:7 結:6 土:2 弱:4 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:4
合計:34点 クラス:3B 芝:10~15F ダ:~10~F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:普通 
芝適性:○ 砂適性:△ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:△ 距離延長適性:○

 主導はSurumu4×4の中間断絶クロス。Literatが断絶するものの、その父Birkhahnを6×5・6と血統の3ブロックに配置しひとまず主導としての機能を果たしていると言える。また、主導たるSurumuは欧州においても異端児的な独血統であるため、この血を主導とした場合、全体の結合力が弱くなりがちだが、当馬の場合Northern Dancerが血統全体の結合力を多少なりとも、引き締める役割を果たしているのは幸いだと言えるだろうか。惜しむらくは、土台構造がかなり散漫な点と影響度バランスの不安定さに加え、母方Hardiemma内の弱点だが、ここまで明確に独血統中心で構築された血統もかなり珍しく、やや古臭さを感じるものの、全体的にBay Ronald系の流れを強く維持しているのは、大きなセールスポイントであると考えられ、厳しい流れを押し切るような底力を秘めていると考えてよい。
 また、全体的にスタミナ優位で、本質的にはステイヤーといっても構わない内容だがOwen Tudorをはじめとして、NasrullahやAlmahmoudも隠し味的に不足しがちなスピードを補給しているのは、当馬の競争成績に少なからず影響を与えていると考えてよいだろう。

※ケンタッキーダービー馬
Orb(Malibu Moon×Lady Liberty-Unbridled)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=234996

主:5 結:5 土:4 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:5 ST:3
合計:33点 クラス:2B 芝:7~10F ダ:5~9F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 
芝適性:□ 砂適性:○ 重馬場適性:○ 距離短縮適性:○ 距離延長適性:□

 主導はMr.Prospector3×4の中間断絶クロス。Raise a Nativeが断絶するものの、ひとまず主導として機能している。しかしながら、当馬の血統においてはBold Rulerが5・6×5と系列クロスを形成し、両者はNasrullahで非常に強固に結合するものの、その明確性を大きくみだしているのが、惜しまれる点である。ただし、近親度の強い配合である為にある意味当たり前であるが、血統全体の結合力は非常に強固で、土台構造もSir Gallahad(=Bull Dog)を中心としてPharos(=Fairway)、Man o'Warと連合勢力であるものの、良好な状態を作り出していると言えるだろう。
 ただし、近親度が強いゆえに影響度バランスは不安定で、母方Anguar内に弱点を発生させるなど、かなりちぐはぐな印象も受ける内容となっている。
 それでも、生かされたスピード勢力は非常に強靭で、スタミナ勢力もそれには劣るものの、なかなかに優秀な内容となっている。決してシンプルな血統構成では無く、前述の問題も併せて鑑みるに、安定感には程遠いと言えるだろうが、本質的には爆発力があるマイル向きのダート馬だと言えるだろう。


今回の血統徒然草は、世界各国のダービー馬を簡単に見ていきました。簡単にではありますが今回はこんなところで。

13年 安田記念

2013-06-25 17:53:53 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、先日行われた安田記念の上位馬や人気馬、及び見所がある配合馬を取り上げてみたいと思います。簡単にではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。


ロードカナロア(キングカメハメハ×レディブラッサム-Storm Cat)牡・08生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=210611

主:5 結:5 土:3 弱:6 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:37点 クラス:3B 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:○ 距離延長適性:○

 主導はNorthern Dancer5・5×4の中間断絶。一見かなり明確に見えるが、当馬の場合Nasrullahが6・7・8・8×6・7と系列クロスを形成し、両者の影響が拮抗したのは大きなマイナスで、この両者のうち片方のクロスが存在しない方が、総合評価的には良かったと考えられる。しかしながら、6代目までに存在するクロスの結合はPharosを中核に、かなり強固だと言え、この結合力がこの配合の最大の長所で、本来結合しにくいPrincequillo~Prince Roseも、主導たるNorthern Dancerが4代目からクロスした為に、Traceryを介して結合しそのスタミナをかろうじてとは言えるものの、補給できたのは幸運と言えるだろう。ただし父内Spy Songの結合はNative Dancer内Fair Playを介しての間接結合となったのが惜しまれる点で、このクロスはできるなら無い方が良かったと考えられる。
 しかしながら、生かされたスピード・スタミナ勢力はかなり強靭で、スピードは、Nasrullah・Tudor Minstrel・Count Fleet(本質的にはスタミナ勢力だが、その内容からスピード勢力と考えられる)と生かし、スタミナは、前述したPrincequillo~Prince Roseを中核にGraustark(=His Majesty)も、その内容からスタミナ勢力として機能していると考えてよい。したがって、スプリントG1を連勝しているものの、本質的には中距離馬だと言え、スタミナの引き出しによっては12Fの克服は可能。重ねて言えば、距離適性の幅は広いタイプに成長する可能性は秘めているだろう。

ショウナンマイティ(マンハッタンカフェ×ラグジャリー-Storm Cat)牡・08生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=209588

主:7 結:6 土:2 弱:4 影:3 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:36点 クラス:3B 芝:8~12F ダ:8~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:普通 
芝適性:○ 砂適性:△ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:□ 距離延長適性:○

 主導は、Alleged4×3の中間断絶クロス。その中のPrince John6×5・5及び、Almahmoud5×6、Bold Ruler6×5の系列クロスで血統全体をリードした形態。この三者は全てAllegedに集合し、極めて明確にとはいかなかったものの、比較的明瞭に主導勢力を形成していると言える。また、近親度こそ強いものの、6代目までに存在する全てのクロスはAllegedが傘下におさめているのも確認でき、その意味においてもAllegedを有効活用していると言えるだろう。反面、土台構造はかなり貧弱でこの部分が当馬の血統構成を考える上でのアキレス腱と言えるだろうか。ただし影響度バランスは良好で、開花した場合、常に安定感があるとは言い難いが、仕上がった際には相当の迫力を秘めた内容だとも考えられる。
 また、生かされたスピード・スタミナ勢力は強靭で、本質的には中距離馬だと言えるが、距離延長に対する適性はかなり高く、血統構成上からの推測では12Fは十分に守備範囲内である事を指摘しておきたい。

ダノンシャーク(ディープインパクト×カーラパワー-Caerleon)牡・08生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=209210

主:6 結:4 土:2 弱:6 影:2 質[近]:3 質[遠]:4 SP:3 ST:4
合計:34点 クラス:3B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 
芝適性:○ 砂適性:△ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:□ 距離延長適性:○

 主導は、Turn-toを伴うHail to Reason4×5。次いで、Almahmoud5・7×6の系列クロスを内包するNorthern Dancer5×4の中間断絶クロスで血統をリードしている。従って主導は不明瞭だと言えるだろう。また、6代目までに存在するクロスは間接結合が主体で、けっして褒められた状態ではなく、Feolaは9代目までに結合できないのも、大きなマイナスであると言え、多分に結果オーライの配合であるとは言えるだろうか。雑多なクロスを多用したせいではあるのだが、父のような切れ味を期待するのは厳しい血統構成であるとは言えるだろう。更に、影響度バランスや土台構造も決して良好とは言えず、血統構成の背骨にあたる、部分においてはやや懐疑的な血統構成だと考えられる。
 しかしながら、Princequillo~Prince RoseのスタミナをTraceryを通じNorthern Dancerへと補給できたのは大きなセールスポイントで、じりじりと伸びる脚は兼ね備えた血統構成で、長く脚を使える可能性は否定できない。本質的には中長距離向きの配合で、スタミナの引き出しが比較的難しいタイプだと言えるが、是非とも無事な開花を望みたい、個性はあると言えるだろう。

グランプリボス(サクラバクシンオー×ロージーミスト-サンデーサイレンス)牡・08生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=209307

主:5 結:6 土:3 弱:5 影:3 質[近]:1 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:34点 クラス:3B 芝:6~10F ダ:6~8F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め
芝適性:○ 砂適性:△ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:○ 距離延長適性:□

 主導は、Nasrullah5・6×5の系列クロス。この主導は血統の2ブロックにしか存在しないが、4ブロック全てにおいて、その父Nearcoを散在させ強力に血統をリードしている。しかしながらグランプリボスの血統においては、Almahmoud6×5、Hyperion5・6・7×7・8・8も系列クロスを作成したため、その主導が不明瞭となっている。したがって、決して高評価できる状態にはない。ただし、この三者の結合がしっかりと強固になされているのは幸いで、この結合力の強固さが、当馬の血統構成を考える上で、大きなセールスポイントだと言えるだろう。また、影響度バランスも良好で、安定感のある血統構成。
 決して重厚なタイプではなく、あくまでもジャパンスペシャルな血統構成ではあるものの、生かされたスピード・スタミナはなかなかに強靭で、父とは流れが若干異なるものの、迫力がある血統構成ではある。ただし、血統を構成する血の質はいまひとつ高くなく、本当の意味においての底力勝負には不向きだと考えられる。また、世代の新しい母に対して、父の世代がやや古いために、土台構造が若干散漫でこの部分から安定感や距離延長に対しての適性はあまり高いとは考えづらい。それでも貴重なテスコボーイ直系の後継者としての活躍をこれからも期待したい。また、それに応えられるだけの資質は有すると考えられる。



 今回の血統徒然草は、先日行われた安田記念においての上位馬と人気馬、及び見所のある血統構成馬を取り上げてみました。簡単にではありますが、今回はこんなところで。

13年 ダービー

2013-06-06 19:30:54 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、先日行われたダービーの上位馬や人気馬、及び見所がある配合馬を取り上げてみたいと思います。簡単にではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。

キズナ(ディープインパクト×キャットクイル-Storm Cat)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=231960

主:6 結:5 土:3 弱:6 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:38点 クラス:1A 芝:8~12F ダ:8~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□
距離短縮適性:□ 距離延長適性:○

 主導は、Northern Dancer5×4の中間断絶クロス。その中のAlmahmoud5×7・6で実質的に血統をリードしている。決して明瞭とは言い難いものの、ひとまずNorthern Dancerに血が集合している事と、血統全体でGainsboroughの流れが強く、父母から継続しその維持が出来たのは大きなセールスポイントで、仕上がった際には非常に迫力のある内容だと言う事ができるだろう。また、血統全体の結合力は、やや間接結合に頼る部分はあるものの、ひとまず完了しているのも見て取ることができる。更に生かされたスピード・スタミナ勢力は強靭で、スピードは主導たるAlmahmoudを中核に、Pharamond(=Sickle)。スタミナは更に強靭で、Aurora~Hyperion・Donatello・Somethingroyal~Princequilloと隙が少ない。惜しむらくは父の決め手の源となったTurn-toや、スタミナを支えたCourt Martialの欠落だが、全体的には非常に良くできた血統構成。是非、無事な開花を望みたい。

エピファネイア(シンボリクリスエス×シーザリオ-スペシャルウィーク)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=233298

主:8 結:5 土:2 弱:4 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:34点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:◎ 成長力:□ 成長型:早め
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□
距離短縮適性:○ 距離延長適性:□

 主導はHail to Reason4・7×5・6の系列クロス。父母内(Ⅱブロック)は位置の関係で若干動き出しがおそいものの、血統の4ブロック全てに存在し全体を強力にリードしている。反面、結合力は全体としては悪くは無いものの、父方6代目Gold Bridgeが完全に離反している点は非常に気になる点で、ここが当馬の血統構成を考える上で、限界点だと言えるだろうか。しかしながら、世代ズレを抱えたバランスの悪い配合であった、父シンボリクリスエスの配合として、その補正に成功したのは大きなセールスポイントで、国内向きのスピードは、母の主導であるAlmahmoudこそ欠落するものの非常に豊かな配合で、自在性のあるマイル~中距離馬だと言えるだろう。

アポロソニック(Big Brown×Purely Surprized-Pure Prize)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=234975

主:5 結:6 土:2 弱:4 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:3 ST:3
合計:31点 クラス:2B 芝:9~11F ダ:8~10F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め
芝適性:□ 砂適性:○ 重馬場適性:□
距離短縮適性:□ 距離延長適性:○

 主導はNashua7×5・7・7の系列クロス。次いで、Bold Ruler6×6で全体をリードしている。この両者は、血統内において9連存在する、その父Nasrullahによって強固に結合する。従ってかなり強力な主導に見えるが、当馬の血統においては、Northern Dancer4・4×5・6やPrincequillo6・7×6・7の中間断絶クロスや、Sword Dancer5・6×7の単一クロスの影響も強く、決して明瞭であるとは言い難い状態で、惜しまれる点ではある。ただし、複雑な血統構成をしながら、非常に優秀であった、父Big Brown(1A級)のキーホースをおさえたのは幸いで、本質的にはダート向きの血統構成ではあるものの、仕上がった際にはなかなかに迫力がある血統構成だと言えるだろう。
 また、全体的にスタミナ優位の血統構成で、ペース次第では距離延長への適性を秘めている事を指摘しておきたい。

テイエムイナズマ(ブラックタイド×クラスター-Danzig)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=233192
主:6 結:5 土:4 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:5 ST:3
合計:35点 クラス:3B 芝:6~10F ダ:7~9F
日本適性:◎ 成長力:□ 成長型:早め 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□
距離短縮適性:○ 距離延長適性:□

主導は、Northern Dancer5×3の中間断絶クロス。その中の、Nearco7・7・9×5・6・7およびAlmahmoud5・7×5で実質的に血統をリードしている。この影響の強い両者によって、BMSのDanzigを圧倒的に強調し、血を集合させたのが、当馬の血統構成において、最大の長所であると言える。また、生かされたスピード勢力はかなり強靭で、その結合も自身の土台構造を形成するPharos(=Fairway)~PhalarisやGainsboroughを核として、上手く結合させ連動させているのが見て取ることができる。
 惜しむらくは、圧倒的にスピード優位の配合で、血統前面でスタミナを供給するのが、Bull Lea7×6、Feola7×6、Princequillo7×5と最低限そろっているものの、本質的にはマイラーの内容だと言える。父であるブラックタイド(=ディープインパクト)の産駒としては珍しい内容だと言えるが、スピードという個性を上手く引き出したのは、当馬にとって幸いで評価に値する部分だと言えるだろうか。

コディーノ(キングカメハメハ×ハッピーパス-サンデーサイレンス)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=232411

主:7 結:6 土:2 弱:5 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:35点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□
距離短縮適性:□ 距離延長適性:□

 主導はAlmahmoud7・7×5の系列クロス。キングカメハメハ産駒にありがちなNorthern Dancerクロスは無く、同父産駒としてはシンプルな形態を形成しているのが最大の長所。また、6代目以内に生じたクロスとはGainsboroughを核として結合し、かなり強固な状態だと言え、影響度バランスも良好な為、安定感のある血統構成。反面、土台構造はかなり散漫で、血統の字面ほどの成長力は期待しづらいとも言えるだろう。それでも、国内向きのスピードの血はかなり豊富で、最低限のスタミナを確保している為、12Fを自力で克服するのは難しいだろうが、10F前後でなら自力勝負は十分可能。主導の明確性と結合の強さから考えて、決め手のある早期有利な国内向きの中距離馬だと言えるだろう。


 今回の血統徒然草は、先日行われたダービーにおいての上位馬と人気馬、及び見所のある血統構成馬を取り上げてみました。簡単にではありますが、今回はこんなところで。