空間設計堂blog(ブログ)

新潟県上越市大潟区の建築設計事務所のブログです。

我が家にある青い柱

2008-08-27 16:09:46 | 建築関係
我が家には青い色のついた柱があります。実はその隣にはそれより大きな白い柱もあります。




この柱は我が家のOMソーラーに必要な柱。
実は構造的な意味での柱ではなく、白い方は屋根面で暖められた空気を床下へ導くダクト。(柱の中は空洞で煙突みたいになっているわけです。上から下へ空気が動くので煙突とは違いますが。)
青い方はお湯取り用の冷媒管が入っている塩ビ管なのです。
でも普通のOMソーラーの家ではこのダクトやら冷媒管のルートは壁の中に納められて、目立たないものなのです。

なんでそんな柱を堂々と出しているのかといえば、第一には物事を全て隠さずに見せてしまおうという自分の性分があったからかもしれません。
(一番合理的なルートであるとか、基本的にスケルトンなイメージが好きとか、線材デザインを好むとか、OMを説明するのに良いかな、とか理由はいろいろありますが...。)

とにかく、今回の記事において、書きたいのは、そういうことでなく、なぜにインテリアに色を用いるのかということなのです....。


最近の建築雑誌を見ると、モダンな住宅のインテリアの壁、天井はほとんど白。
なかには天井、壁、床とも真っ白という空間もあるほどです。
白を代表とする淡い色を使うと、空間が明るく、広く感じられるので住宅ではそのようにまとめることが多いのでしょう。

私もその傾向に異論があるわけではありません。正直に言えば、モダンな住宅を勉強してきたので、好んで、そのような空間をイメージするところがあると思います。
仕事でまとめる時には、現在、木造の仕事が主なので、白い(若しくは少し暖かみのあるベージュ系色)壁、天井に床や巾木、窓枠などで木の色合いを出すという方向が多いです。(時には木の柱、梁を現しにして木との関係を密にしようともします。)

で、我が家の青い柱。
実はこれは現場が進むまで、どう扱おうか、ずっと考えていました。
太い柱は存在感を消す為に廻りの色調とあわせ、白に、とは大体イメージしていました。細い方も、無難に白としておこうか...と悩んでいたのです。
でも、結局、青色に。
普通の住まいにはちょっと存在しない色でしょう。(ああいう柱自体、普通のお宅には存在しないのですが。)

この青い色。厳密に言うと、明るいブルーで何という名のブルーになるのでしょうか?
意識したのは、ル・コルビュジェが使うブルー。(しかし、色発注の段階で、塗料協会の色見本では微妙に違う感じがしていて、なるべく近い色にとしました。見る人が見たら、全然違う色じゃん、と言われそう...。少し薄いかな。)
もともと青系が好きな私は、コルビュジェの作品を雑誌なんかで見るときにも、どうしても青が使ってある壁なんかに目がいってしまいます。

(ちなみに下の写真は新婚旅行の時、嫁さんに頼み込んで行った、コルビュジェのサヴォア邸の青い壁。トップライトなんか見上げちゃって、喜んでいます。)




コルビュジェのように大胆には使う気(勇気?)はないけれど、建築に‘彩り’があっても良いのではないかと思っているのです。
お施主さんの好みにあった色で、明るく演出する。(特に冬、どんよりとする新潟では、あっても良いかと。)
始めは奇抜かなと思っていても、住宅だと、他に物がいろいろ入ってきて、意外に目立たないという気もします。
だから、ちょっとポイントの色使いを住まいにも...とお薦めしたいと思うところなのです。


最後に、ひとつ脱線。なんで色についてブログに書く気になったのかということ。(お前がずっと考えている建築に対する提案手法のひとつなんで、紹介したかったんだろう?と言われそうですが...。文としてちょこっと書いてみようと思った、きっかけです。)
それは北京オリンピック。

毎日のように見てた北京オリンピック。見ていたNHKのオリンピックテーマ曲がミスチルの‘GIFT’。
この曲の詞に、触発されたんです。

特に

「白と黒で答えろ」という難題を突きつけられ
ぶち当たった壁の前で
僕らはまた迷っている
迷っているけど
白と黒のその間に
無限の色が広がっている
君に似合う色を探して
やさしい名前をつけたならほら1番きれいな色
今 君に贈るよ

てな、ところに感じたんですね。

実は、建築でも白と黒という空間扱い分けがあったりするのです。
白が建築における象徴的な(といっても機能、用途がある空間ですけど)空間。黒が機能優先の空間。
(白と黒は、美と用と言い換えられるかもしれません。)
設計士はこの白と黒の間をいつもいったりきたり、頭を巡らせているのです。
そして、詞のように白と黒の間にある色を探しているのかもしれません。
お施主さんへの‘GIFT’となるものを。

ちょっと、そんな事を思い、また普段からの色についての考えもあり、記事としたわけです。

でも、消化不良の考えになっていますね。もっとよく考え、まとまったら、また記事にします。
今回はご参考までに。

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確認直しに市役所へ

2008-08-22 16:12:26 | 建築関係
今日、午前中、確認申請を直しに上越市役所へ行ってきました。

久しぶりに行った市役所。少し前に確認を出す機会があったときは、民間審査機関へ提出したので、市役所は本当に久しぶり。
訂正指示頂いた審査係の担当者のOさんも私は初めてで、ちょっと行かなかった間に少し様変わりしたという感じがしました。


様変わりしたといえば、確認の図面の扱い。
ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、昨年の6月の基準法改正による審査の厳格化から、基本的には図面の差し替えはできません。
上越市では最近、その図面の扱い方を変えたのです。

どうするのかなと思っていたら、やり方を説明頂きました。
確認に提出した図面で不要になった図面には不要印を押し、追加になった図面には追加印を押すとのこと。
そして不要になった図面も確認正副両方に残し、保存するという取り決めだそうです。

これだとお施主さんのところにも、審査の跡がわかって、どれだけ大変なことをしているか理解してもらえるかもしれません。
逆に、こんな訂正されていると、こちらの不注意ぶりを見せてしまう可能性もありますが...。
図面を多く添付する必要があると、けっこう注意しないといけませんね。

今回はなるべく、そんな状態にならないようにと、描き込み訂正をするようにしたため、直すのに少し時間がかかってしまいました。
(差し替えなら、図面を入れ替えて、ハイ終わり..という感じなのですが。)

そして、先程、市役所より電話があり、無事、確認が下りました。
午前中に直してきて、午後3時に確認済証ができたという連絡を受けたのは、(私は)上越市役所に確認を出して初めてのことです。
様変わりしたなぁ...したのかなぁ?(4号物件で法的に難しいことはなかったからかもしれませんね。訂正内容も内容加筆や書き方の違いが多かったし。)

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A邸 キャットウォーク

2008-08-21 15:43:43 | 建築関係
A邸では、既存の玄関廻りも手を加えました。

A邸の既存部分は約30年前に建てられたもの。
玄関を入ると階段室を伴った吹抜があります。
そして、シャンデリアという程ではないですが、それなりにデザインされた照明が下がっているのです。
(この玄関吹抜の空間、いかにも30年前の良好な住まいシーン?って気がします。最近は流行らないかな。どうだろう。)

その照明器具の電球を換えることや、高窓の掃除に一苦労だったとのことで
キャットウォークが設けられたのです。




上の写真はそのキャットウォークを下から見上げたところ。
ファイバーグレーチングを使っています。


電球を換える為、掃除の為だけにキャットウォークを作るのでは芸がないので
見て格好良く、活かされなければならないと考えた結果でした。




当初、お施主さんとは、植木なんて置いて、下から見上げるのも良いですね。と話していたのですが
ご覧のように、お施主さん好みのカワイイ演出が現在なされています。

住まいの中に、お施主さんの個性を演出できるスペースがあると良いですね。
最近は家族ギャラリーなんてスペースを設けることもあるみたいです。(かしこい子が育つ助けになるみたいです。)
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感覚にズレ?

2008-08-13 10:58:52 | 建築関係
他人と自己の考えは一緒ではないと、わかっているつもりではいるけれど
どうして?ってわからなくなることは本当に多くあります。

特に、ネットコンペに参加すると、自分の案がダメだということを別においたとしても
なんで、この案が当選?と思うことは度々ありました。
(ちなみに、具体的には、これで予算内になるの?という疑問が多かったですけど...。)

ネットコンペで案を最終決定するのはもちろん、お施主さん。
家を建てるということがなければ、普段はあまり建築に対し、意識していなかっただろう、一般の方々
(それでもコンペして家を建てたいということだから、かなり意識は高いのですが...。特定の建築家に自信をもって依頼するほどの知識を持ち合わせていないレベルではないでしょうか。)
多分、お施主さんなりのこだわりの視点があって、それに合致した案を選んでいるはずです。
そのこだわりの視点が設計側とは(いえ、私とだけ?)微妙に違う感じが前々からしていました。
個人的な住宅のことだから、お施主さんの考え重視が当たり前。それはそれで当然のことで、私も最近はそういうものだ納得していました。
(逆に私がお施主さんの好みを理解できなかったと、最近は反省していたりもしていたのです。ちなみに、これがコンペでなく、一般の設計業務なら、打ち合わせの過程の中で、当然、お施主さんの好みを理解し、それを踏まえて設計はしますよ。誤解のないようにお願いします。)

納得していることについて、何で、こんなことをブログ記事に書く気になったかというと
私が参加しなかった、あるネットコンペの優秀案を見て、やっぱり意識の違いというのは根深いものだなぁという思いをしたからなのです。

そのコンペは春先から告知され、100社以上の設計事務所が名乗りを上げ、80強、案が提出されました。
(私も出したかったのですが、たまたま仕事も忙しかったため参加は見合わせました。)
提出された案は登録している建築家は見ることができて、私も興味本位で全案、見て廻りました。

私が学生時代、教えて頂いた講師(先輩筋にあたります)の方の案があったり、大学の同級生の案があったりと、楽しく見たのですが
私の見方からすると80強の案は、高レベルのものから、‘これはないだろう、学生の課題提出案だな’というレベルのもの様々でした。
高レベルのものには、実現すれば、建築雑誌の表紙を飾ることもできるだろうというものもありました。

最近、そのコンペの途中経過を見ることができたのです。優秀7案が選ばれて、最終選考に移っているとのこと。
優秀案の中に、私が建築雑誌の表紙を飾ることができるだろうと思った案はなく、学生の課題提出案レベルだなと思った案がありました。

その優秀案の傾向を見ると、無難に計画されている(用途的機能だけちゃんと計画されている、機能の拡張性は考えなくてもよかったようです。)
その用途に見合った、姿形が一塊りのボリュームでソツなくまとまっている(予算の心配もあるからかもしれません。詳しく見ると、単純な形態であるけれども、難しいことをやっている案もありましたが...)
という感じがしました。
そういう感じはしましたが、基本的には審査側の視点が読みにくい選考でした。これは感覚のズレ?なのでしょうか。

実はこのコンペは住宅でなく、公共性のある建物のコンペ。審査する方々、関係者が多くいらっしゃるようです。
しかし、その審査員のなかには建築関係者、特に建築意匠文化に精通しているような方々はいらっしゃらないような気がしました。(と思うのは、感覚のズレ?)

最近、実施前提の公のコンペはプロポーザルが多く、私のように実績のない者は参加することもできなくなっています。
この100社以上が名乗りをあげ、80強も案が提出されたコンペは、たいへん貴重なものでした。
(だから、多くの建築家が参加したのでしょう。)
そして、設計する側から言わせてもらうと、こんな貴重な機会で建てられる建物は、‘建築’でなければならないという思いがあります。
(多分、参加された建築家の方々の多くはそんな思いを抱いていらっしゃったと思います。)
結果、正直に言わせてもらうと優秀案(の一部)はわからない。‘建築’となっている案が少ない。一般の方々が審査するとこうなるのか....という感じ。
(これは私だけがズレている思いなのか...すごく心配です。)
せっかく全国コンペまでして建てる公の建物が、‘建築’になっていないなんてことがあるのかなぁという思いがします。
10~20、最大でも30位の案から選ばれる個人住宅でなく、80強もの案の中から選ばれる公共性のある建物の優秀案にしてはいささか?な感じがしました。

私の感覚がズレているのでしょうか?それとも、コンペまでして案を募ったわりには、‘建築’というものに対する社会的意義を審査では評価の判断にしなかったのでしょうか?
私がどれだけズレているのか、選考理由を各案ひとつひとつに対し、説明してくれないかなぁ。
ネットコンペサイトの運営の方々も、お施主さん側にちゃんとアドバイスをしているか疑問にも感じます。(公共性のある建物に対しては、その社会的意義を説明してあげないといけないのではないでしょうか?審査に専門家を入れるとか、ネット内で専門家から公開審査投票をしてもらう等して、お施主さんに専門的な意見を提供することも考えたら良かったのに...。)

優秀案の中には、(私が見て)高レベルの案も残っており、今後の審査、そして建物の完成まで興味が持たれます。
(高レベルな案を最終決定してください!とお願いしたいくらいです...。)
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A邸 完成

2008-08-08 17:29:59 | 建築関係
以前記事にもしたA邸増築工事が終了しました。



空間設計堂は意匠設計担当。

現場監理をさせてもらってないこともあり、少々こちらのイメージとは違った内部仕上りヵ所もあるのですが
(微妙な立場での関わり。難しいものです。)

でも、お施主さんのカラーが色濃く出ていて、それもこの建物の個性かなと思っていたりします。

写真の方を数枚、空間設計堂HPの方にUPしておいたので、ご興味のある方は覗いてみてください。→空間設計堂 A邸のページへ

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