空間設計堂blog(ブログ)

新潟県上越市大潟区の建築設計事務所のブログです。

建築デザイナーという職業...

2006-08-27 07:30:23 | 建築関係
今放送中のドラマ「結婚できない男」の主人公の職業が“建築デザイナー”なのです。
実は私が建築を学び始めた頃は“建築デザイナー”なんていう名の職業名はあまり聞いたことはありませんでした。

耐震偽装が問題になった時に資格を持たず一級建築士の名前を借りて確認申請を出していた人に対して
確かニュースでは“建築デザイナー”という肩書きで話していたような気がします。
私の認識はそんな感じで、建築士の資格がないけれど設計業務をやられる方をそのような肩書きで呼ぶものと考えていました。
つまり資格をもたず、仕事をする時には人の資格に頼らないといけないアウトロー的な存在という認識でした。

でも一般の方が楽しく見るドラマの主人公の設定が“建築デザイナー”ということは
いまや“建築デザイナー”という名の肩書きが世に普通に通っているということです。

設計を仕事する人たちの肩書きに“建築家”というものもあります。
私があこがれたのはこの“建築家”というものです。
でもその“建築家”というのは極限られた方しか名のれないものだと思っていました。
それこそ建築業界での大雑誌「新建築」に作品が載った人しか名のれないものと思っていました。
しかし、最近ハウスコンペサイトに参加登録などしているのですが
そこでの扱いの肩書きが“建築家”となっていて
なにかしっくりこないような感じがしているこのごろなのです。
そう考えると資格を持っていても“建築デザイナー”もアリなのかなと。

多分、本当に多分なのですが
一般の方の認識は安藤忠雄さんや黒川紀章さんといったメディアでも有名な方達が“建築家”で
その他設計を仕事としている方達は“建築デザイナー”なのでしょう。
私が今までもっていた認識のほうがズレていたということだと思います。

でもこの一般の方の認識は私を困らせます。
なにか“建築デザイナー”って、どうかなって感じがするのです。
“デザイン”というのは大量生産を意図したものに対する意匠行為という認識があります。
大量生産でない住宅に“デザイン”という言葉が入ってくるとなにか
不思議な感じがするのです。

“建築デザイナー”-“建築家”その肩書きの狭間で
微妙になにか住宅の設計の方向性が違っているように感じている今日このごろなのです。
コメント (2)
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越後妻有の地へ

2006-08-21 11:46:49 | 建築関係
昨日、越後妻有地域の十日町市中里まで行って来ました。

今、開催中の大地の芸術祭が目的でなく
前職場で実施設計まで携わっていた保育園が建物まで工事が終了し
昨日1日だけ市民への内覧会が開かれたため
それを見学に行ったのです。

下がその保育園の全景です。



設計まで携わっていたのに、諸事情で私が会社を辞めることになり
現場監理を他の所員に託した保育園です。

建物の出来は素晴らしいものでした。
前職場の所長をはじめ現場監理の担当者や工事関係者の苦労が実ったと思います。
私が辞めるちょっと前に辞めた元専務の上司と一緒に設計していたのですが
二人で話していたイメージとはちょっと違った感じにはなっていましたが
これはこれで良い感じの保育園となっていました。



設計者の仕事は現場監理までして初めて、とりあえず終わったと言えると思います。
(とりあえずというのは、建築は工事が完成した後も引き続き面倒を見なければならないからです。)
なぜなら、建築は3次元のものですから設計では気付かれなかった事が
現場が始まって、初めて分かることもあり
工事中も良い建築になることを目指して
設計の変更や修正、設計中に保留としてきた問題の解決などを行っていきます。
ですから、現場監理までしてやっと設計者はその任務がとりあえず終了するのです。

そういうことなので、正直、現場監理ができなかった私はこの保育園の事は気がかりで心残りでした。
とりあえず市民のみなさんにお見せできる状態にまでして頂いて、工事関係者の方々には感謝を述べたいと思います。



これからこの保育園はまだ外構工事が残っています。
また昨日の内覧会で保護者の方達から使い勝手上問題になる点、子供達に危険でないかという点があがると思います。
そのような問題を解決しつつ、より良い建築になることを目指して
工事関係者の方達には更なる努力をお願いしたいと思います。
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前川國男建築展に行ってきました

2006-08-15 15:47:42 | 建築関係
昨日、新潟市美術館で開催中の前川國男建築展に行ってきました。



建築を学んだ方なら前川國男をご存じだと思いますが
日本の近代建築の巨匠の一人です。
フランスの建築家ル・コルビュジェのもとで修行し
更にアントニン・レーモンドの事務所で働いた後
独立し、戦前、戦後数多い名建築を残されました。
特に上野にある東京文化会館
丸の内にある日本最初の超高層ビルの東京海上ビルディングなどが有名だと思います。
展覧会会場の新潟市美術館も最晩年の作品です。

展覧会は図面や写真、また模型も数多く展示され、大変内容の濃いものでした。
また年代順に各建築作品が紹介されているのですが
それらの展示の合間に前川さんの残された言葉が随所に散りばめられており
その言葉ひとつひとつが現在、建築に携わる者に対する警鐘となっていました。

前川さんから始まった日本の建築家の流れは今まで建築界の主流でもありました。
代表的なお弟子さんとして丹下健三さんがいらっしゃいます。
丹下さんから更に現在巨匠といわれる建築家達へとつながっていきます。
そのまた弟子の世代が現在多く活躍されており
今活躍中の建築家を遡っていくと前川さんにたどりつくということが多いと思います。

かくゆう私も東京にいた頃所属していた設計事務所の所長さんが
前川さんの弟子である鬼頭梓さんの事務所出身でしたから
極めて薄い血でありますが、多少の血を受け継いでいることになります。

極微量ながらDNAを受け継いだ者として、この展覧会での前川さんの言葉は
襟を正す良い機会になりました。

耐震偽装で信頼を失った建築業界は今、前川さんの言葉に耳を傾けるべきでしょう。
建築を造るという行為に対し、社会的使命感を認識し、責任をもって対応していく
そのような姿勢を強く持ち続けなければいけません。

そんなことを強く感じた展覧会でした。
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たまには読んだ本の話しでも

2006-08-11 16:20:02 | 建築関係
高校まではけっこう小説を読むことが多かったのですが
設計を仕事にするようになってからは小説より建築関係の本を読むことが多くなりました。

概して、設計者という人達は本をよく読みます。
建築家の顔写真でも背景に書棚が写っている写真はけっこう多いです。
事務所の書棚にどういう類の本が揃えられているかで
けっこうその建築家のスタイルなんかも伺いしれるかもしれません。

話しを本題に戻して、最近読んだ本の紹介です。
関西の建築家、渡辺豊和さんが書いた「文象先生のころ 毛綱モンちゃんのころ」という本です。
文象先生というのは大設計事務所のRIAを設立された山口文象さん、毛綱モンちゃんというのは毛綱毅こう(漢字がでません)さんという建築家のことです。
すでに故人のお二人と渡辺さんがどういうつきあいであったか、そしてどのように建築に取り組んでいったかという内容の本です。

現在、20代から30代前半で建築に携われる方達にはなじみのない方達かもしれません。
かくいう私も山口文象さんはすでに歴史上の人物という印象の方です。
毛綱さんと渡辺さんは私が大学で建築を学んでる頃、まさにスターのお二人でした。
毛綱さんは私が通っていた大学に時々来られ、実際お顔も拝見したことがありますし
渡辺さんは渡辺さんが書かれた「建築を侮辱せよ さらば滅びん」という本からその頃主流だったポストモダニズムについて
ずいぶん勉強させて頂いたので
正直、懐かしさ半分で本を手にしました。

読んでみて、お三方の建築に対する姿勢にたいへん勉強になりました。
建築に対し、なにかもう少しつっこんでやってみたいという気持ちが沸き上がってきました。

建築を仕事としてやっていくと
時にその姿勢がブレることがあると思います。
特に仕事に恵まれないと、どこへ進んでいけば良いかわからなくなることもあります。
でも、お三方の姿勢を見習ってやっていきたいと思いました。

最近、仕事に気持ちが乗らない同業者の方
この本を読めば、熱き情熱が帰ってくるかもしれませんよ。
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建築家の顔写真

2006-08-04 16:20:33 | 建築関係
ホームページを立ち上げてから
広く閲覧してもらうためにいろいろなポータルサイトに登録してきました。
その中でポータルサイトではないのですが
住宅設計において施主と建築家をコンペ(設計競技)で結ぶサイトがあり
そこに登録すると自分の紹介ページがもて
自分のHPアドレスも紹介できるので
登録しました。(もちろん、チャンスがあればコンペにも参加するつもりで、です。)

そのサイトでは登録する建築家は顔写真を紹介ページに載せることになっています。
これには正直困りました。
そのサイトに登録されている建築家の方たちは、皆すばらしい顔写真を載せられています。
まるでスターのブロマイド写真のようなものまであります。
こちらは人さまに見て頂くほどの顔でもないし
どのような写真が良いか本当に困りました。

建築家というものは自己演出も大事です。
ある有名な建築家は人と会う時に夕方薄暗い部屋で自分の顔に少し光りがあたるくらいの時間を指定して
荘厳というか、高尚というか、そんな雰囲気を演出をしていたという話しもあるくらいです。
青シャツや赤シャツを必ず着る建築家もいます。
正直、そこまでやるのは建築雑誌に出るようなスター建築家だけだと思っていました。
今は設計に携わる者全てがそれくらいの意識が必要なのでしょう。

登録されている方達の写真を見ると
カメラ目線はあまりなく、動きのなかでなにげない一瞬をとらえたような写真が多いようです。
遠くを見るような目線で、なにか語りかけてくるような感じの印象もあります。
それが本当に一瞬を捉えたものか、いささか疑問なのですが
どのように撮影しているのか教えて頂きたいものです。

結局、事務所を始めたばかりで
まだ自己演出するところまで頭がいかない私は
自分のHPでも使っている子供とのスナップ写真を小さく載せることにしたのでした。
いつかカッコイイ写真を載せることを夢みて...
その為には顔の整形も考えないといけないかも...無理だなぁ。
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