空間設計堂blog(ブログ)

新潟県上越市大潟区の建築設計事務所のブログです。

はて?...違和感のある例だなぁ

2024-04-30 14:26:13 | 建築関係

今朝の朝日新聞を読んでいると、‘災害大国 家の耐震化 まずは診断から’という記事がありました。

全体的には家の耐震診断をまずやりましょう、家の耐震化は大事ですという啓蒙の記事なので、反対意見を述べるわけではないのですが

例として出されている最初の1件目 大阪住之江区の家に違和感を感じました。

 

今年の2月に工事したらしいですが、費用がけっこう安い。今の物価高騰、人手不足の建築業界で、耐震診断から耐震改修設計をして耐震改修工事まで行って合計236万円はなかなか頑張った数字のように思えました。因みに診断の評点が0.288のものを1.025まで上げています。

県か市かわかりませんが、行政からの補助額110万円をもらって自己負担126万円です...は、正直なところ私は実感がわかなかった...。

2番目の例の費用は、かなり私が日頃持っている感覚と同じでなるほどなぁ...という感じだったのですが。

向学のため具体的は補強方法及び概算でも良いので、診断幾ら、設計幾ら、工事に幾らと示してほしいと思いました。改修する家の大きさ、形状も知りたいところ。(階数は2階と記述あり。)

 

実は最近、家の耐震化の相談を受けて少し調べたのですが、とにかく私が住む市の状況では、けっこう耐震化に(大阪住之江区の例とは違って)費用がかかって、家の耐震化が進まないという現状が知れました。

家の耐震化を勧めようと補助金を出してくれる行政の担当部署に相談に行ったところ、現況として、耐震診断から耐震改修設計をして、概算でなくちゃんと工事費を算出したところで、かなりの割合で家の耐震化を諦める方が多いとの話を聞きました。

耐震化されていない古い家に住むのは高齢者が多く、なかなかまとまった費用を払えない状況のようです。

 

費用の概算を出す公式というのも調べてあったのですが、それは少しデータが古いと思われ、ここ2年くらいの現況とは違っていると感じました。

 

そういうところで掴んだ感覚に比べ、記事の1番目の例は安いなぁ...と。

これなら耐震化をしたいと思う方は多くいるだろうと思いました。

ただ、これが普通の相場感覚なら良いけど、あくまで一番の成功例だったら困るよなぁ...と。

これ位でできるものだと思って、途中でそうでなかった時のリスクは、お客さんも業者にも皆にあるような。(実は補助金を出す行政にも。私の住む市では、今までは設計と工事別々に補助金を出していたのですが、設計止まりで工事がされず耐震化が進まないので、今年から設計と工事を一緒にして、工事をちゃんと終えた家に補助金を出すことにしたそうです。お金を出しても耐震化が進まないのは問題だったそうです。)

啓蒙はわかるけど、経済戦時でもある現在では、費用面の正直さ、透明性は大事なのではないかと思うわけです。

 

新築工事の建物でもここ2年くらいの工事費は上がっていて、見積しても1か月後にはその見積は通用しないくらいの話を聞きます。

最近では、こちらも簡単に坪幾らで家は建ちます...なんて軽々しく言えないというのが正直なところ。(きっぱり 坪60万円で出来ます...と言える人が羨ましい。)

私が不勉強なだけで、世の中はそういうレベルが普通の相場だ、というのなら良いのですけど。

(こういうことをブログ記事にすると、私に仕事を依頼すると費用がかかると思われて、一段と仕事の依頼が来なくなるというリスクがあるのですが、責任を持てないことを言ってまで仕事を得たいとは思えないのです...甘いのかなぁ。)

 

 

 

 

 

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森の中の小さな教会...案

2024-04-01 15:09:59 | プロジェクト

森の中の小さな教会...です...。(私のパース表現が悪くて森の中には見えませんが、実際、周囲は木々が多い敷地でした...。)

 

昨年の11月から今年2月くらいまで、時間をかけて提案させてもらっていたのですが

残念ながら落選。

 

地元に計画されている教会だったので、なんとか仕事にしたかったのですが

チカラ及ばず。(地元枠である程度の段階まで残してもらっていたようですが、全国の設計事務所相手ではなかなか太刀打ちできなかったというところだったのかな...。)

 

教会を考えるなんて、大学の課題以来でした。

大学の課題なら予算関係なく考えられました(コンクリートの有孔箱体の中に、ミースのようなガラス箱を入れ子に入れて、十字架を宙に浮かせて見せる案でした...)が、今回は厳しかった。(最終選考に残った3案は予算内に納まっているとのこと。私にはそんなことができる知恵がなかった...。)

 

とにかく、地元に良い教会が無事に完成することを祈るしかありません。

 

追記;このブログを書いてから気になって教会のHPを見に行ったら当選案が紹介されていました。

う~ん。当初求められていた雪対策がいつのまにかうやむやになってしまったのかな...とちょっと心配になりました。(なぜに今回、教会を建設するに至ったかの原因が忘れ去られてしまったのかと。)

私も雪国としてはそんなに多く雪が降るところに住んでいるわけではないけど、雪に対して甘いような気が個人的にしました。

冬季に施設を運営するとしたら除雪に相当労力がかかると思われるし、周囲積雪から開口部を守れるかな。

落雪案なのだろうけど、積雪後更に大雪となる場合、実際ある程度高床にしないと屋根雪と建物周囲の積雪がくっ付いて、屋根に雪が留まってしまう恐れがあって

軒先や構造的にあれだけのスパンが跳んでいる木造小屋組が大丈夫なのかなという感じを持ちました。

まあ、私が心配性なだけかもしれませんけど。

(あまり当選案に難癖をつけると、負け犬の遠吠えでみっともないとはわかっているのですが、心配なのです。)

 

 

 

 

 

 

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設計技術者の単価も上がっているけど

2024-04-01 11:38:57 | 建築関係

国土交通省では毎年、設計業務委託等技術者単価 というのを制定して公表しています。

この単価が基になって、全国の市町村は公共事業の設計委託業務の金額を決めているはずなのですけど

この単価の適用が毎年、年度終わりの3月なのです。

これを基に私も業務の見積もりをするので、年度末の頃はどうしようか悩みます。普通の感覚なら年度内はその年度の単価を使うような気がするので。

まあ、年度始まってからの4月適用というのは都合が悪いことがあるのでしょうね。私にはわかりませんが。

 

この単価が平成9年から平成18年まで下がっていたのですけど

平成18年を底に少しづつ上がってきて、平成24年に一旦少し下がったこともありましたけど

今では10年前の平成27年に比べると、1.35倍くらいになっています。大体10年前に比べ日額1万円上がっている感じです。(1日8時間仕事とすれば時間給で1250円上がっていることになります。)

 

国が単価を上げてくれているのは非常にありがたいのですけど

これ、なかなか知られていないので、こちらの設計料見積ではそのまま請求して良いものか非常に悩ましいことになります。

都会の設計事務所なら強気なのかもしれませんが、こちらのような田舎の一人事務所では正直なところそんな請求はできません。

つまり国は上げているつもりでも、そんなに上がっていない、上げられない...というのが実際のところ。

 

世は賃上げムードが出てきていますが、それはニュースなんかで取り上げられてなんとなく世間的にも了承されつつあるからでしょう。

設計の技術者単価の件も、世にもっと知られれば、ありがたいと思うところです。(フリーランスには春闘というのはないですから。)

国が定めた基準の設計料算出と単価でそのまま報酬を頂いていたならば、今頃、軽自動車には乗っていなかったかなぁ。

(多くの依頼から仕事を選べるようなスター建築家だとポルシェに乗ってたりするのですよね...。まあ、それだけ人気があり、需要があるからで、私とは雲泥のチカラの差があるからですけど...。)

 

 

 

 

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