Alternative work arragement jobsは直訳すると「代替的な労働契約による仕事」だが、正規雇用に対するフレキシブルな働き方と理解して良いだろう。ただし定訳はないようだ。
定訳がないということは、日本にまだこのような概念が定着していないということだろう。
WSJにContract workforce outpaces growth in Silicon Valley style "Gig jobs".という記事がでていた。
「契約ベースの労働力の伸びはシリコンバレーのウーバータクシードライバーのようなギグ・ジョブの伸びより早い」という意味だ。
ウーバ―タクシーとは、シリコンバレーからスタートした「タクシー+空いている自家用車」を利用する配車サービスで、ギグ・ジョブ(一回きりの仕事)の代名詞となっている。
しかし労働市場を見るとこのようなオンライン・ベースのギグ・ジョブよりも、個人の委託ベースによる働き方の伸びが大きいというのが記事の主旨だ。
つまりウーバ―タクシーのような目立つ現象面にばかり目を奪われると労働市場の大きな流れを見誤るということなのだろう。
記事によると、10年前はフレキシブルな働き手は労働力の10%だったが、現在は16%に拡大している。また別の情報源によると2020年には20%まで広がると予測されている。
Alternative work arragementの代表例はフレックスタイムだが、compressed work weekなどいう選択肢もある。これは毎日8時間週5日働く代わりに毎日10時間週4日働くことを選択するものだ。
私のようにアウトドアライフを趣味とするものにとっては、現役時代にこのような選択肢があれば、迷わずこれを選択していたと思う。
Alternative work arragementのポジティブな面は従業員にとって自分のライフスタイルに合わせた働き方を選択できる点だ。
一方雇用者側のメリットは正社員を雇用を抑えながら、大きなプロジェクトに外部の専門性の高い労働力を投入できるというメリットがある。
コンピュータや通信技術の発達が、会社のオフィス以外でも仕事ができるようにしたことも大きい。
ただし委託ベースの働き手は、雇用保険や年金の面で不利を被ることも多い。諸刃の剣である。
理論的には委託ベースの仕事であれば、一人の人が複数の会社に同時に働くことも可能だ(現実に私は2つの会社と委託契約を結んでいる)。
労働力の減少が経済成長のボトルネックになる日本でも前向きにAlternative work arragementを考えるべきかもしれない。
その会社が「何時間オフィスにいたか?」で従業員を評価するのではなく、成果で従業員を評価するシステムの確立が要になる。
日本の会社の場合、まず解決するべきはこの問題かもしれない。