金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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ムーディーズ、中国のアウトルックを安定からネガティブへ変更

2016年03月03日 | ライフプランニングファイル

昨日(3月2日)ムーディーズは中国のソブリン格付をAa3に維持するとともに、アウトルック(見通し)を安定からネガティブに変更すると発表した。

ムーディーズがアウトルックをネガティブにすると、平均的には1年以内に格付の変更が行われ、その内約半分は格付の引き下げまたは引き下げ見直しの検討が行われている。

ムーディーズが中国のアウトルックをネガティブにした理由は、外貨準備の減少・国有企業の債務増加による返済懸念が高まったこと・経済改革の推進能力に対する懸念である。

ムーディーズによると、GDPに対する中央政府の債務比率は2012年の32.5%から昨年末には40.6%に上昇し、2017年末には43%まで増加すると予想している。またUBSによると中国の総債務は2007年はGDP比で160%だったが、今年の1月には260%に達している(WSJによる)。

中国政府は今月後半に財政赤字幅を現在のGDPの2.3%から3%に拡大すると予想されているから当面債務比率が上昇することは確実視される。

外貨準備は2014年6月をピークに今年1月には3.2兆ドルに減少した(減少額は7,620億ドル)。

先月中国政府はこれまで制限してきた外国の機関投資家による国内債を購入しやすくすると発表している。

最近の欧米の株式市場は中国発の悪材料にあまり反応しなくなっているので、ムーディーズのアウトルック見直しもそれほどインパクトはないだろう。

それにしてもソブリン格付とは不思議なものである。中国はAa3で日本は一つ下のA1である。しかし日本国債の人気は高い(マイナス金利になってもまだ買われる)。日本国債が買われる理由は金融取引上日本国債を短期的に保有することにうま味があるからなのだが・・・

とはいうものの、これは危険な火遊びである。中国政府は真似をせずに、経済改革を推進して格付維持に努めてほしいと思う。

 

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