先週末のフランス大統領選、ギリシャの総選挙の後の欧州債務危機問題に対する欧米のマスコミの論調を見ていると、財政緊縮支持派と景気浮揚のための財政拡大支持派の意見が比変わり的に紙面を賑わしている。
フランス大統領選でオランド氏が勝った後は、緊縮一辺倒ではいかんわなぁというムードがあり、ドイツが孤立したような気がした。ところがギリシャの総選挙で第二位に躍進した急進派左派連合のツィプラス党首が、連立政権樹立には「支援合意破棄が条件」とハードスタンスを取った後は、約束を守ろうとしないギリシャの態度にムードはかなり変わったような気がする。
市場では数ヶ月から1年程度でギリシャがユーロから離脱するのではないか?という見方が急速に広がっている。ニューヨーク・タイムズによるとドイツ・ジーゲン大学のHefeker教授は「ギリシャがユーロを離脱するならその方が良いという意見が圧倒的だ。自分達が行なった約束を守りたくないという国とどう対処していくことができるのか?」と述べている。
ギリシャに対する論調はスペインやイタリアに対する論調より、厳しくそして敵対的になってきた。
もしギリシャが今年2月に合意された二回目のローン契約に基づく予算削減を行なわないと、INF等は追加貸出を行なわないことになり、追加貸出が行なわれないと、5月17日に期日を迎える債券の償還ができなくなる。
もっとも現段階でIMF等が追加融資を行うか行なわないかは不透明だ。アナリストの中には、政府を維持する上で最低必要な金額は融資されるのではないか?という見方もあるし、10年前にアルゼンチンへの融資をストップしたように追加融資を打ち切るのでは・・・という見方もある。
もっともギリシャの債務は大部分がIMF、ECB等に保有されているため、民間金融機関に短期的に与える影響は限定的だろう。それ故にドイツは約束を守ろうとしないギリシャに対し、ハードポジションを取ると考えられる。
今度こそ本当にギリシャのユーロ離脱の可能性が高まっている。