ニューヨーク・タイムズによると、金曜日に米国キャンプ・ディビットで開かれるG8に参加予定のドイツのメルケル首相は、昨日(5月16日)のCNBCとのインタビューで「私はギリシャ経済を再び成長軌道に戻すため、景気刺激策について討議する用意がある。私はギリシャをユーロ圏内にとどめる責任がある」と述べ、態度を軟化させていることを示した。
ギリシャの混乱に出口が見えないまま、G8に行くと各国、特に米国から強い圧力を受けるメルケル首相は、ここ数日長期的な財政赤字を削減するという目標に反しない限り、追加的な経済成長策に理解を示し始めている。
不安定な状況の下で、ハードポジションを取るメルケル首相の政策は、ギリシャで銀行の取り付け騒ぎ(6日の総選挙以降900万ドル近い預金が引出された)を起こしている。
以前ブログに書いたが、メルケル首相の緊縮政策はドイツ国内でも不人気になり、先週の北ライン・ウエストファリア州の州議員選挙でも大敗を喫した。
メルケル首相の軟化でドイツ・フランス両首脳が、ギリシャをユーロ圏内にとどめたいという強い意志を表明したことになるが、行き着くところは金の問題である。つまり欧州連合の基金からどれだけ金銭的な支援を行なうかということが現実的な課題だろう。
ドイツが抱える命題は「ギリシャ等周辺国への援助は極力抑えたいが、ユーロの崩壊は食い止めたい」ということだ。ギリシャの離脱がユーロの崩壊を惹起するかどうかは不明だが、ユーロ分裂を人質にした交渉の決着点はまだ見えない。
メルケル首相の軟化は好ましい変化だと思うが、最後は金の問題なので簡単に決着する見込みはないだろう。