金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

独メルケル首相軟化、ギリシャ危機を緩和できるか?

2012年05月17日 | 国際・政治

ニューヨーク・タイムズによると、金曜日に米国キャンプ・ディビットで開かれるG8に参加予定のドイツのメルケル首相は、昨日(5月16日)のCNBCとのインタビューで「私はギリシャ経済を再び成長軌道に戻すため、景気刺激策について討議する用意がある。私はギリシャをユーロ圏内にとどめる責任がある」と述べ、態度を軟化させていることを示した。

ギリシャの混乱に出口が見えないまま、G8に行くと各国、特に米国から強い圧力を受けるメルケル首相は、ここ数日長期的な財政赤字を削減するという目標に反しない限り、追加的な経済成長策に理解を示し始めている。

不安定な状況の下で、ハードポジションを取るメルケル首相の政策は、ギリシャで銀行の取り付け騒ぎ(6日の総選挙以降900万ドル近い預金が引出された)を起こしている。

以前ブログに書いたが、メルケル首相の緊縮政策はドイツ国内でも不人気になり、先週の北ライン・ウエストファリア州の州議員選挙でも大敗を喫した。

メルケル首相の軟化でドイツ・フランス両首脳が、ギリシャをユーロ圏内にとどめたいという強い意志を表明したことになるが、行き着くところは金の問題である。つまり欧州連合の基金からどれだけ金銭的な支援を行なうかということが現実的な課題だろう。

ドイツが抱える命題は「ギリシャ等周辺国への援助は極力抑えたいが、ユーロの崩壊は食い止めたい」ということだ。ギリシャの離脱がユーロの崩壊を惹起するかどうかは不明だが、ユーロ分裂を人質にした交渉の決着点はまだ見えない。

メルケル首相の軟化は好ましい変化だと思うが、最後は金の問題なので簡単に決着する見込みはないだろう。

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明日は平泉へ旅行

2012年05月17日 | 旅行記

明日(5月18日)は金曜日だが休みを取って、ワイフと一泊で平泉に行く予定だ。目的は世界遺産にも入った中尊寺や毛越寺の拝観だ。平泉には高校の修学旅行以来である。修学旅行の頃は芭蕉の「奥の細道」の断片を読んでいた(正確にいうと読まされていた)だけで特別の感慨はなかったが、一応「奥の細道」を読み通した今、平泉に行くとまた違った印象を持つのだろうか?と多少の期待を持っている。

「奥の細道」は名文の宝庫だが、特に平泉のくだりは名文中の名文だ。

・・・・三代の栄耀一睡の中にして大門の跡は一里こなたにあり(藤原三代の栄華が今では夢のようで、平泉の表門の跡は一里手前にある)・・・・・・

・・・・国破れて山河あり、城春にして草木青みたりと、笠打敷て時のうつるまで泪を落としはべりぬ(杜甫の国破れて山河あり、の詩を思い出しながら、笠を脇に置いて栄枯盛衰の思いにいつまでも涙を流していた。

芭蕉が平泉に旅したのは5月12日から13日。一瞬丁度今頃か?と思ったが、これは旧暦なので現在の暦では6月末だ。梅雨でたっぷり水を吸収した夏草が青々と茂る様が眼に浮かぶ。

夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡

☆   ☆   ☆

私事になるが、某信託銀行に勤めて30年その後リース会社で7年というサラリーマン生活もそろそろ終わりが近づいている。大した栄耀を楽しんだ訳ではないが、ある時期は「坂の上の雲」をつかむ心意気で仕事を楽しんでいたことを少し懐かしむ気分になっている。だがやがてそれらのことは想い出の中に沈んでいく・・・・・

明日の天気はあまり良くないという予報だが、平泉に旅するには僕にとって良い季節のようだ。

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日本の年金基金も金を買い始めた~FTニュースから

2012年05月17日 | 投資

ファイナンシャルタイムズによると岡山県機械金属厚生年金基金が日本の年金基金として初めて金を買ったということだ。

記事のタイトルはJapanese pension fund switches to goldで、「日本の年金金基金が金に乗り換えた」という意味だが、基金の運用担当理事によると実際には400億円の資産の内、1.5%を金に配分するアセットアセットアローケーションを目指すということで、今月豪ドル資産を売却して金ETFを購入したという話だ。

まともな年金基金は、資産配分ターゲットを日本国債〇〇%、外国債券〇〇%という形で定めている。そして債券価格や株価の時価が変動すると、保有する資産の構成割合が変わってくる。これを定期的にターゲットとする資産配分に戻す(その結果値上がりした資産を売却し、値下がりしている資産を買い増すことになる)リバランスを行なっている。

FTの記事によると、みずほ信託が小さな年金基金でも金投資ができるスキームをセールスし始めているということだ。

日本の一年金基金が金を買い始めたからといって、金価格に影響がでるとは思わないけれど、世界的にペーパーカレンシーへの信頼が低下する中で面白いトピックだったからFTは取り上げたのだろう。

記事はAIJのことは触れていないが、怪しげな投資顧問に多額の資金運用を任せるよりは、きちんとした資産配分計画の中で、一部を金という実物資産に振り向けるというアイディアは悪くないと思う。ただし金は配当を生まない資産だから、年金基金の大きな部分を配分できる資産ではない。年金基金を長期的に運営するには、もう少し国内の長期金利が上昇するべきだと私は思っているが、目先はギリシャ問題等で日本の長期金利は低下傾向だ。

日本の年金基金もギリシャからコラテラル・ダメージ(間接的被害)を受けている・・・・

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