金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

中国とインドの集合住宅大惨事、偶然か?何かの予兆か?

2010年11月16日 | 社会・経済

昨日中国の上海で高層マンションが火災で炎上し、少なくとも50名以上の人が死亡した。また同日インドのニューデリーでは5階建ての集合住宅が倒壊しこちらも50名以上の住民が死亡するという痛ましい事故があった。

どちらの事故も原因は調査中だが、インドの集合住宅倒壊は洪水で地盤が緩んだのではないかという意見がある。

急成長を続ける中国とインドの大都会でたまたま同じ日に起きた大事故。偶然なのだろうが、穿った見方をすると、建設ラッシュの中で安全性がおざなりになっていることに対する神の警告かもしれない。そしてそれは二つの大国が内包する危うさの断面かもしれない・・・・と私は感じている。

話は変わるが韓国統一省は、朝鮮動乱終結時から数えて2万人目の脱北者が韓国に亡命してきたと報じている。このところ脱北者の数は北朝鮮の経済状況の悪化により増えていて、昨年の脱北者は2,900名。今年は今のところ2,000名だ。

脱北者が韓国社会に定着するのはかなり難しいとニューヨーク・タイムズは報じていた。医師免許等資格を持っていても、韓国では通用せず、一から資格を取り直す必要がある等大変なようだ。

脱北者の増加は北朝鮮という時限爆弾が破裂する日が遠くないことを想起させて不気味だ。

日本から見ると羨ましいほど活気がある中国、インド、韓国だが色々なアキレス腱を抱えているのだ。

もっとも日本は対岸の火事などとのんびり構えていてはいけない。北朝鮮が崩壊すれば、難民が日本海を渡って舟で押し寄せる可能性だってあるのだ。広くアジアに目を向けて、ヘルプが必要な国にはヘルプの手を差し伸べながら、自国の安全性を再チェックする必要があるだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

量的緩和実施で国債利回りが上昇するという不思議な現象

2010年11月16日 | 金融

11月3日に米連銀が6千億ドルの国債購入プログラムを発表してから、国債利回りが上昇するという不思議な現象が起きている。米国の金利上昇を受けて、日本の10年国債の利回りも上昇し、流通利回りは1%を超えてきた。ただし日米の金利差が拡大傾向にあるので、為替はドル高に振れている。

昨日の米国10年国債は2.96%に上昇。これは3ヶ月前に連銀が量的緩和政策を示唆した時の水準に近い。この一週間で国債利回りは0.4%上昇している。この奇妙な現象を解釈する理屈についてニューヨーク・タイムズは幾つかの仮説を紹介していた。

一つの説は共和党の圧力により、連銀は6千億ドルの国債購入プログラムを遂行できないのではないかという懸念があるというものだ。

連銀に圧力をかけているのは、政治家だけではない。FTによると影響力のある歴史家ニール・ファーガソンやヘッジファンドマネージャー達23名のグループが「量的緩和は資産バブルを発生させ、金融政策の正常化を分かり難くする」と量的緩和に反対する手紙を連銀に送っている。

野村證券ニューヨークのエコノミストPandl氏は「連銀は独立した中央銀行だが、事実は政治的圧力をまったく受けない訳ではない。連銀は批判を真剣に受け止めなければならない」と解説する。

だがPandl氏はよりもっともらしい理屈は、市場は既に量的緩和を織り込んでいたという。

株式投資の格言に「うわさで買って事実で売る」という言葉があるが、債券市場は量的緩和が予想された時点で国債が買い進められて価格が十分上昇(利回りは低下)していたという仮説だ。

ここ数週間の国債の価格を見ると30年債の価格の落ち方が早く、10年-30年債の利回り格差が拡大している。この現象から連銀がインフレ抑制力を失い、金利はやがて急上昇すると市場は予測しているという仮説を立てるエコノミストもいる。

日本で過去国債利回りが1%を切ったことが、今回以前に2回あった。その時は金利が底をつけた後、利回りは急上昇(価格は暴落)した。これは国債を買い進んでいた金融機関が金利上昇懸念から売りに回り、売りが売りを呼ぶ暴落となった。

今年前半の邦銀は国債価格の利回り低下で、期初予想を上回る利益を上げている。しかしこれは低利回りの国債という時限爆弾を抱えた見せ掛けの好決算だ。

もし米国国債の利回り上昇が続くと、日本国債の価格も急落するリスクがある。売りが殺到する可能性があるからだ。

11月はヘッジファンドの決算月である。まだまだ経済理論通りにはいかないことが起きそうである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする