昨日夜9時半米連銀はゴールドマン・ザックスとモルガン・スタンレーが、銀行持株会社を設立することを承認したと発表した。正確にいうと独占禁止法の問題があるので、効力が発効するのは5日後だ。これはゴールドマンとモルガンが、連銀の監督を受ける代わりに、預金受入を行う商業銀行になることを意味する。1999年に銀行・証券の分離を規定したグラス・スティーガル法が廃止されて9年。証券・銀行の戦いは総ての大手(小さなブテッィク的投資銀行はあるが)の専門的投資銀行が、商業銀行化するか破綻するかという形で消滅した。
2008年9月21日は「投資銀行が消滅した日」と記憶されるだろう。実は毎月書いている雑誌への寄稿内容を「米国の金融危機」にしようと思っていたが、毎日のように様相が変わるので、中々筆が取れずに困っていた。ここにきて投資銀行が消滅して、銀行・証券業務が連銀の監督下に入り、厳しい規制を受けることになったことは大きな節目であり、原稿を書く目処が立ったのでほっとした次第だ。
ところでこの出来事を日本の銀行や証券会社の経営陣はどうみるだろうか?米国の一連の動きを見ると生き残ったのは「当局の規制を受け」「自己資本費比率が高く」「顧客から預金受入を行う」「大手」銀行ということである。いわばユニバーサル・バンクだけが生き残った・・・・。ここから日本の金融機関は何を学ぶだろうか?
大手銀行の傘下にいないのは野村證券だが、野村は独自路線を走るのか?あるいはどこかで銀行の買収に動くのだろうか?など想像を巡らすと面白い。だが多くの中堅以下の株式取引頼みの証券会社にとっては、総ての投資銀行が消滅したということはかなりショックではないだろうか?(いくら投資銀行と日本の証券会社が規模とやっている仕事で違いすぎるとはいえ)