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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

投資銀行が消えた日

2008年09月22日 | 金融

昨日夜9時半米連銀はゴールドマン・ザックスとモルガン・スタンレーが、銀行持株会社を設立することを承認したと発表した。正確にいうと独占禁止法の問題があるので、効力が発効するのは5日後だ。これはゴールドマンとモルガンが、連銀の監督を受ける代わりに、預金受入を行う商業銀行になることを意味する。1999年に銀行・証券の分離を規定したグラス・スティーガル法が廃止されて9年。証券・銀行の戦いは総ての大手(小さなブテッィク的投資銀行はあるが)の専門的投資銀行が、商業銀行化するか破綻するかという形で消滅した。

2008年9月21日は「投資銀行が消滅した日」と記憶されるだろう。実は毎月書いている雑誌への寄稿内容を「米国の金融危機」にしようと思っていたが、毎日のように様相が変わるので、中々筆が取れずに困っていた。ここにきて投資銀行が消滅して、銀行・証券業務が連銀の監督下に入り、厳しい規制を受けることになったことは大きな節目であり、原稿を書く目処が立ったのでほっとした次第だ。

ところでこの出来事を日本の銀行や証券会社の経営陣はどうみるだろうか?米国の一連の動きを見ると生き残ったのは「当局の規制を受け」「自己資本費比率が高く」「顧客から預金受入を行う」「大手」銀行ということである。いわばユニバーサル・バンクだけが生き残った・・・・。ここから日本の金融機関は何を学ぶだろうか?

大手銀行の傘下にいないのは野村證券だが、野村は独自路線を走るのか?あるいはどこかで銀行の買収に動くのだろうか?など想像を巡らすと面白い。だが多くの中堅以下の株式取引頼みの証券会社にとっては、総ての投資銀行が消滅したということはかなりショックではないだろうか?(いくら投資銀行と日本の証券会社が規模とやっている仕事で違いすぎるとはいえ)

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A high roller (イディオム・シリーズ)

2008年09月22日 | 英語

High rollerとは「カジノなどで大金を賭ける人」「ぜいたくな暮らしをする人」という意味のイディオムだ。ニューヨーク・タイムズに次の文章が出ていた。 It  is a turning point for the high-rolling culture of Wall Street, with its seven-figure bonuses and lavish perks for even midlevel executives.

「それは中間層の社員でも7桁のボーナスと豊富な役得を貰うウオール・ストリートの大金を賭け贅沢な暮らしをする文化の転換点である。

7桁とは100万のこと。7桁のボーナスとは100万ドル(約1億円)単位で数えるボーナスだ。

この文章はウオール・ストリートに生き残っているゴールドマン・ザックスとモルガン・スタンレーが、銀行持株会社を設立するという記事の中に出ていた。二つの投資銀行が何故銀行持ち株会社になるのか?というと、連銀の監督下に入り、連銀融資の面でメリットを得るためである。つまり商業銀行としての規制を受ける代わりに、資金面の安定性を図ろうというものだ。

現在ゴールドマンは1ドルの資本で22ドルの資産に投資を行っている。これがバンクオブアメリカのような商業銀行になるとその半分以下の資産しか保有していない。つまり商業銀行化するとより高い自己資本比率が求められ、リスクの高いハイ・レバレッジな取引が出来なくなる。

その結果社員のボーナスや派手な社交費なども制約されるだろうという話だ。

このことは日本のビジネスにも大きな影響を与える。高給取りの投資銀行マン(ウーマン)を当てにした六本木辺りの高給ホテルやレストランには閑古鳥が鳴くことになるだろう。少なくとも当面の間は。

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モーゲージ買取、在米外銀に拡大か?

2008年09月22日 | 金融

今日(9月22日)の日経朝刊を見ると、公的資金による「不良債権買取規模は7千億ドル」という記事が出ていたが、最新の情報では1兆ドル位まで拡大しそうだ。というのは先週土曜日時点では「買取の対象を米銀に限定」していたが、米国に大きな拠点を持つバークレーズやUBSの米国法人は排除されていた。これに対し欧州の銀行から猛烈な反発が起きた。つまり彼等は金融・雇用などの面で米国に深くコミットしているので、資本の出所によって米銀と外銀を区別するなという議論である。

最終結論は今週末の法案可決待ちだが、米国財務省は米国に拠点を持つ外銀からも問題モーゲージ債権を買い取ることにした。

ところで日本の新聞は公的資金という言葉を使うが、米国では政治家からマスコミまでパブリック・マネーという言葉など使わない。タックス・ペイヤーズ・マネーつまり税金である。恐らくマスコミはTax payers moneyの意訳は公的資金だと理解しているのだろうが、言葉というものは一人歩きする。タックス・ペイヤーズ・マネーというと、国民一人一人が払った税金という感じが強くでるが、公的資金というとどこか「お上が懐から金を出す」ようなニュアンスが付きまとう。この「お上」感覚が日本の年金記録改ざん問題や事故米問題につながっている。

マスコミは英文にTax paysers moneyと書かれている時は税金と訳せばよいと思うのだがどういうものだろうか?

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リーマン・アジアをどこが買収するか?

2008年09月22日 | 金融

今週米国発の金融危機問題は第2ステップに向かう。最大の関心事は先週発表されたモーゲージ買取機構の具体的プランだ。次の関心事は破綻したリーマン・ブラザースの買い手だろう。特に日本の市場ではリーマンのアジア・オペレーションをどこが買収するかの噂が交錯するだろう。

今朝ファイナンシャル・タイムズを読んだところでは、スタンダード・チャータード、バークレイズ、野村證券の名前が筆頭候補に上がっていた。事情通によると昨夜遅く3社は香港で札を入れたと予想されている。この他に韓国のサムソンや中国のCITICの名前も上がっている。

バークレイズは既に北米でリーマンの投資銀行部門と資本市場部門を買収することを決めているので、アジアのオペレーションを買収する点でも本命と見られていた。野村證券はアジアでのプレゼンスを一気に高めるため、リーマンのアジア(含むオセアニア)のオペレーションを手に入れたいところだ。これからの買収競争は興味のあるところだ。

いずれにせよ破綻したリーマンに筋の良い後継者がでることは、リーマンからファイナンスのアレンジを受けている安楽亭など日本企業にとっては明るい話題だ。

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