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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ニューヨーク・タイムズに感謝

2008年09月08日 | デジタル・インターネット

私が読んでいる新聞を閲覧時間の順番に並べると、日経新聞とニューヨーク・タイムズがトップで並び、次にファイナンシャルタイムズが来て最後が読売新聞が来る。日経と読売は宅配。ファイナンシャルタイムズは購読料を払ってネットで読み、ニューヨークタイムズは無料でネットで読んでいる。

従って情報量当りの単価が低い順番に並べると無料のニューヨーク・タイムズがトップで次にネットのファイナンシャルタイムズが来て、日経新聞、読売新聞と続く。日経新聞の方が必要とする情報が少し多いので読売よりは情報単価がやや低い。それにしてもニューヨークタイムズが、日経や読売を質・量においてはるかに凌駕する記事を無料でネットで公開していることを見ると、日米の情報コストの大きな格差に嘆息を禁じえない。今日東京の株式市場は昨日米国の財務省が発表したファニーメイ・フレディマックの実質国営化というニュースを好感して大幅高となった。このように日本の株式相場は米国発のニュースに引っ張られることが多い。従って日本の株式相場を予想しようとすると、米国の経済状態を把握する必要がある。この時ニューヨーク・タイムズは非常に役に立つ(ウオール・ストリート・ジャーナルという経済専門誌があるが、ネット購読料を取るので今は購読していない)。

米国の新聞がネット広告を取り込むことで、生き残りを図っているのに対して、日本の新聞はネット記事を充実させずに紙ベースの記事に読者を引き止めることで生き残りを図っている。だがこれは長続きする戦略なのだろうか?私には援軍の来ない孤立無援の孤塁を守る絶望的な戦いに見える。消費者が日本の新聞を買わなくなる時代は必ずやってくる。

日本の政治・経済についても私はファイナンシャル・タイムズやニューヨーク・タイムズを通して再確認したり、理解を深めることが多い。何故ならそれらのペーパーを読む海外の投資家達が日本の市場を動かすからだ。日本の新聞のどっちつかずの解説を読んでいても、投資判断に役立つ材料は少ない。

新聞が生き残るためには紙に固執することではなく、読者を引きつけるタイムリーでかつディープな情報分析的な記事にあると私は考えている。無料で質の高い情報を提供しているニューヨーク・タイムズにあらためて感謝!

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住宅公社、多額の退職金をどう見る?

2008年09月08日 | 金融

日曜日(9月7日)ファニーメイとフレディマックの実質的な国有化が決まった。これにより両者の経営者は退陣する。ニューヨーク・タイムズによるとファニーメイのCEOダニエル・マッド氏には9.3百万ドルの退職給付が支給される。彼は2004年にCEOに就任してから既に12.4百万ドルの現金報酬とストックオプションを得ている。フレディマックのリチャード・サイロンCEOの退職給付は14.1百万ドルだ。彼は2003年のCEO就任以来17.1百万ドルの報酬とストック・オプションを得ている。

彼等の雇用契約(役員なので「雇用」という言葉より「委任」の方が良いかもしれないがemployment contractを直訳した)によると、今回の辞任は「引責辞任」ではないので、退職金を受け取る権利があるということだ。

しかしNTによると実質国有化で著しい損失を被る株主からは強い不満の声が上がっている。全米地方職員年金基金(American Federation of State, County and Municipal Employeesの仮訳)の企業統治責任者は「これは著しく正義に反する行為だ」と述べている。

ファニーメイやフレディマックが経営者に多額の報酬を払っているのは、マッド氏やサイロン氏以前からだ。詳細は省くがマッド氏の前任のレインズ氏は5年間で52百万ドルの報酬を受け取っていた。もっとも彼はファニーメイが収入を水増ししていたという訴訟により数百万ドルの罰金を払っているが。

ファニーメイとフレディマックの実質国有化で損する人、得する人悲喜こもごもだ。ファニーメイなどの株を空売りしていた人は大儲けだし、割安だと思って仕込んだ投資家は大損である。ファニーメイの従業員達は平均すると報酬の5分の1程度をファニーメイの株とストックオプションで受け取っていた。これらは無価値になったので、従業員には大きな痛手だ。そして住宅バブルに踊らされた多くの消費者も痛手を被った。彼等の怒りは相当なはずだ。

私はアメリカがいくら契約社会だからといって、ファニーメイとフレディマックの辞任するCEOが丸々退職金を受け取ることはできないだろうと見ている。

ファニーメイ達は以前から活発なロビー活動を展開して利権を得てきた。米国の良心がこれらの問題をどう解決し、再発防止策を講じることができるかどうかは、市場型資本主義の一つの試金石と考えておいて良いだろう。

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