goo blog サービス終了のお知らせ 

金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ファニーとフレディの国有化

2008年09月07日 | 金融

昨日(9月6日土曜日)のニューヨーク・タイムズによると、日曜日にファニーメイとフレディマックの国営化が発表される予定だ。計画では5兆3千億ドルの住宅抵当を抱える両社をConservatorshipという政府の定めた管財人の監督下に置く予定だ。

ファニーメイとフレディマックの財務状態を調べた人間の見解では、両社は資本を過大に見積もっている。民間金融機関では、評価損が出ているサブプライムローンやオルトAローンについて巨額の評価損を計上した結果資本が毀損した。毀損した資本を補うべく金融機関は増資に走り、民間資本で増資できなかったベア・スターンズはJPモルガンに吸収合併されながら、税金の投入を受けた。

ファニーメイとフレディマックは、サブプライムローン等を満期まで持ちきるということで、その評価損の一部を実現せず先送りしていたのだ。また両社は繰延税金資産を過大に計上していた。繰延税金資産は会社が将来利益を上げる場合にのみ価値がある。しかし両社は過去四半期赤字だし、来年も赤字の見込みが高い。従って繰延税金資産を減額する必要がある訳だ。

両社の資本の状況が公表されているものより悪いということが国営化を早めたと言えそうだ。これで両社の普通株主と優先株主は被害を被るが、債券の保有者は救済される見込みだ。

問題はこれで信用収縮に歯止めがかかるかどうかである。今週はこれが大きな話題になりそうだ。それにしても市場経済の旗手であった米国が世界最大の国営化を行う時代である。まさに何でもありの時代だ。しかしこのまま何でもありにすると、未来永劫にバブルの発生を防ぐことはできない。つまり今回の住宅バブルでは美味しい汁を吸った人が沢山いる。不適切な会計処理をして、資金調達を続けて高給を貰ったファニーメイやフレディマックの幹部もそうだ。

金融機関の規律を正そうという声が米国で高まることは間違いない。そしてそれは信用収縮と表裏一体であると私は考えている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする