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望郷いなか詩

田舎に燦々といきたい

礼節なきドブ板

2020-06-18 20:01:14 | 田舎色逍遙

礼節なきドブ板

側溝の上を歩いている
誰もが無意識なのだ
コンクリート溝蓋きれて鉄の溝蓋 
網目から雑草が覗いている
露草の花はドブにおりた何だろう
側溝は農業用水路でありながら汚泥の堆積するドブ溝だった

汚水の悪臭 汚泥は凄絶なまでの排泄物
ブクブクと泡立つ音にネズミ ボウフラ 蛆虫
意気盛んに最高の祝盃を上げていそうなドブ溝

スマホを見ながら自転車をこぐ娘たち男よ
ドブ溝の上で無意識に生理現象 食物に感謝するべきだ
俺は俺達は家族を愛し養えるのも食物を消化 あとは任せすぎる

我々はドブ溝の蓋になれないドブ板
側溝を踏みつけて歩いていくことを意識するべきだ






繭 七十歳の性春

2020-06-12 22:59:23 | 田舎色逍遙

七十歳の性春

繭の七十年は繭
青春期に母繭になるよりも
花を習いて花の道へ

繭は七十歳
独り身の七十歳に酷と言い聞かせる訳
自炊を知らない
夜な夜な独り言
一人ベッドの中で流れない涙
涙を流して身体に染みついたのは罰を課す七癖

母繭を拒否した七十年
繭は七十歳の性春
セピア色の繭 化粧でカムフラージュ
燃え尽きるまで官能と性春の生涯

子繭のいくすえを見届けず蝶々になった母繭の親心
七十歳 繭の性春に頷くのは母心

母繭は母繭であったことを誇示したかった

母心は夏よりあつく







絹子 九十歳の峰々

2020-06-10 18:24:04 | 田舎色逍遙

徳島市より剣山を遠望

 九十歳の峰々

絹子 独り九十歳
夫 娘を見送った
大風に葉っぱもがれ
枝骨は折られてでもブラリ
周囲360度の枝枝に護られて辿り着いた九十年

白髪を越える年季の入った深い顔 迷路の数だけ九十歳
小枝の細々とした身体に鋼の骨組み九十歳

絹子は言う出なく
感慨の中で謳った
生まれおちて今までの九十年
心 身体 変わり果てた
変わらないものは生理現象のいとなみのみ
だから生きている

絹子は思い切る
みすぼらしい枯れ木での旅立ち
今更御免こうむる九十歳
美食三昧の峰々より天界へ
羽衣の舞を求めて止まない絹子九十歳





背中合わせの生一本

2020-06-04 23:47:09 | 田舎色逍遙

背中合わせの生一本

背中と背中で重なる何か
透明ボード一枚で見えてても正体不明の罠
肉体を脅えさせ更に威嚇

善なる魂はマイクロフィルムの中で閉塞
背中合わせで前は見えても行き先は180度方向に不明

生一本 何が何だか行き詰まった囲いの中 背中合わせで無色の柱

今見え隠れする戦火
何が何だか戦火へ突き進む寸前
生一本のクロロフィル遠い背中合わせ
無限の背中合わせに詰まっていきそう

生一本のクロロフィル
戦火の渦に巻き込まれ 
緑の光りはブラックへ加速を始めた










緑からの逃亡

2020-05-13 16:51:21 | 田舎色逍遙

緑からの逃亡

若葉新緑のはざま
青空は区別なく青
風をはらんでソヨソヨ
絆の綻びを靡かせる

若葉新緑の底辺
微かな風に震えてる
其処にだけ風の道
すぐ隣の向き合う親愛の若葉 
あなたが風にそよいでいることを掴めなかった
風を感じずにあなたの微かな揺らぎをとらえ損ねた

四方は緑の山々
緑の住まい 
見晴らしのよさに我は満足
退屈という時間
親愛の絆 信頼も揺るがせてしまう

新緑のはざま
青い空は区別なく蒼天
だから時に心はブルー

何も語らず急ぎ足
あなたは山の緑を愛しても去って行く