望郷いなか詩

田舎に燦々といきたい

晩鐘 山奥の穴

2019-09-28 16:30:50 | 望郷クリームソーダ
海部郡美波町山河内

山の穴

急な坂に苦しみながら
急斜面にへばりつく家
人は山を降りてあばら屋
便りは途絶えて草ぼうぼう
月を目でないススキに愛でられてススキ原
家人なきあばら屋の庭に
柿のみの鈴なり
居たくてもとどまれない傷み
戻れない悔しさが柿の鈴なり

高い遠い山より押し寄せる水流
深山の清水は寂しいほど透明で溢れる
激しさ勢いに流される
冷たさにやられた
倒壊寸前のあばら屋裏山に掘られた穴一つ防空壕
岩肌からシトシト空き缶を鳴らし人恋しさを駆り立てる晩鐘
奥山の静寂さに響く人恋し晩鐘