これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

皇居に行こう!

2012年08月02日 21時32分24秒 | エッセイ
 パレスホテル東京に泊まった翌朝、皇居東御苑に足を運んだ。



 その日は日曜だったせいか、ジョギングやサイクリングを楽しむ人も多く、切れ目を待って門に行く。



 お濠の白鳥が愛らしい。



 入場は無料だが、券の代わりに札を渡される。



 退園時には、これを返すシステムになっているらしい。
 園内には警官の姿も目立ち、普通の庭園ではないことがわかる。
 入口からすぐのところに、宮内庁三の丸尚蔵館があった。どうやら、「珍品ものがたり」という展示をしているようだ。「入場無料」の文字が目につく。
 ちょっと覗いてみるかという程度の気持ちで、何の期待もせずに入ってみた。ところが、この展示、仰天するような作品ばかりだったのだ。
「ねえ、お母さん。あの絵、社会の教科書に載ってたよ」
 娘が吸い寄せられるように、鎌倉時代の作品に近づく。作品名を見た。
「蒙古襲来絵詞」


  ※館内は写真撮影禁止のため、リーフレットからの写真です。

「あっ、載ってたかも! 見たおぼえがあるよ!!」
 なぜ、こんなに著名なものが、ここにあるのだろう? 
 どうやら、尚蔵館を見くびっていたとわかり、展示への見方が一変した。
 他にも、豊臣秀吉が禁裏の所蔵品を模した伝承がある「蔦細道蒔絵文台硯箱(つたのほそみちまきえぶんだいすずりばこ)」、大坂城の備蓄金ともいわれた「黄金分銅」、開国後に初めて使節がアメリカ合衆国に渡ったさい、ブキャナン大統領から贈られたメダルなどを見ることができる。
 中でも、度肝を抜かれた作品は、「象墜(しょうつい)」という象牙の根付である。



 これは、手のひらに載るくらいの小さなサイズなのに、いくつもの楼閣、880人もの人々、鳥や動物などが彫り込まれ、人間離れした精密さに言葉を失う作品である。まったく、見事としか言いようがない。
 私が一番気に入ったのは、真珠王と呼ばれた御木本幸吉の「瑞鳳扇」だ。
 写真がなくて残念だが、相撲の行司が持つ「軍配」を丸くしたような団扇の輪郭に、純白の真珠が並んでいて、たいそう美しい。ぜひ、ご覧になっていただきたい。
 思わぬ場所で目の保養をし、館を出る。
 次の見どころは、天守閣跡だ。



 昔は、この上に江戸城があった。1607年に完成したというが、1657年の大火で焼失してしまった。わずか50年の命だったわけだ。
 出口に向かって歩くと、「殿中でござる」でおなじみの「松の大廊下跡」があった。



 何の名残もないところに、時の移り変わりを実感する。
 御苑の背後には、無数の高層ビルが立ち並ぶ時代になったのだから。



「お母さん、ホテルに戻ろうよ」
「そうだね」
 散歩が終わり、ホテルに到着する。



 フロントに続く通路の外壁を見て、私は思わず笑ってしまった。



「天守閣跡とおんなじ~!」
「ホントだ、おんなじ~!」
 ここは、現代の江戸パレスなのである。
 わずか一泊、都内の小旅行だったが、前日の花火見物に引き続き、皇居東御苑を散策し、とても充実した時間となった。
 夏の旅行は、これですませてしまいたい。


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コメント (20)
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