これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

よい子の合宿所

2012年08月12日 20時52分39秒 | エッセイ
 娘がテニス部の合宿に行った。4泊5日と、結構長い日程だ。
「どこに行くんだっけ」
「えーと、たしか山梨方面」
 貸切バスでの移動だと、行き先なんぞどうでもいいらしい。適当な返事をして、さっさと出かけて行った。

 私が通っていた高校は、敷地内に合宿所があった。運動部は日にちをずらし、ここを使うのが基本だったらしい。もっとも、私は簿記部という地味な部に入っていたため、合宿そのものがなかったのだが。
 施設見学で、合宿所に入ったことが一度だけある。畳の部屋に、何台もの洗濯機、大きな台所が目に入った。部員全員で、ワイワイ料理を作ったり、仲よく洗濯したりする場面を想像する。
 だが、風呂場に足を踏み入れたとき、何ともいえない違和感を感じた。電気がついているのに、やけに暗く感じるのだ。その日は晴れていて、開いた窓から外の景色が見える。合宿所は敷地の端にあるため、窓の外には塀があった。その塀から、何本もの卒塔婆がニョキッと顔を出していた。

 隣は墓地!?

 腕にも足にも鳥肌が立ち、私は早々に浴室を出た。気味が悪い……。
 入学後、バドミントン部の友人が「あそこは出るから合宿がイヤ」と嘆いていたので、やはりと納得した。

「ただいまぁ」
 合宿を終え、娘が帰ってきた。山梨だと言っていたのに、持ち帰ったおみやげには信州と書かれている。



「山梨じゃなくて長野だったよ、ははは」
「……」
 開けると、なかなか美味しそうだった。



「アップルパイとジャムも買ってきたよ」



 しかし、こづかいを3000円渡したのに、40円しか残らないとはどういうことか。
「ああ、コンビニに行ったの。本当はホテルから出ちゃいけないんだけど、こっそりとね」
 なんというガキだ。
「もし、お母さんが通っていた学校みたいに、外にお墓があったらどうする?」
「コワッ!! 絶対出ないよ!」
 きっと母校の合宿所では、誰もがよい子になるに違いない。
 計算ずく?


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (14)
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